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044-455-7500「仕事で同じミスを繰り返してしまう」
「締め切りが迫らないと仕事を始められない」
「忘れ物や物をなくすことが多い」
「片付けや予定の管理が苦手」
こうした困りごとの背景に、ADHD(注意欠如・多動症:Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder)が隠れていることがあります。
ADHDは、不注意、多動性、衝動性などを特徴とする神経発達症の一つです。
以前は「子どもの病気」というイメージが強かったのですが、成人になっても症状が続くことがあり、仕事や家事、人間関係などをきっかけに、大人になって初めてADHDと診断される人もいます。
ADHDの症状は、大きく「不注意」「多動性」「衝動性」に分けられます。
大人のADHDでは特に目立ちやすい症状です。
一方、興味のあることには非常に集中できる場合もあります。そのため、単純に「集中力がない」と説明するだけではADHDの特徴を十分に表せません。
子どものADHDでは「席を離れる」「走り回る」といった行動として現れることがあります。
成人になると、このような目立った多動は減少し、
など、内面的な落ち着かなさや思考の多動として残ることがあります。
「考える前に行動してしまう」という特徴です。
たとえば、
などとして現れることがあります。

ADHDを理解するうえで重要なキーワードが、実行機能(executive function)です。
実行機能とは、目標を達成するために、
計画する → 優先順位をつける → 行動を開始する → 集中を維持する → 必要に応じて行動を修正する → 最後までやり遂げる
といった一連の行動をコントロールする機能です。
ADHDでは、このような自己調整が苦手なことがあります。
典型的なのが、
やらなければならないと分かっている
↓
でもなかなか始められない
↓
先延ばしする
↓
締め切り直前になる
↓
焦って一気に取り組む
↓
ミスが増える
というパターンです。
本人も「なぜもっと早くやらなかったのだろう」と自分を責めてしまうことがあります。
しかし、このような行動の背景には、単なる「怠け」ではなく、注意、作業記憶、時間管理、行動開始、抑制などの実行機能の問題が関係している可能性があります。
ADHDは大人になって突然発症するものではありません
ADHDは神経発達症です。
そのため診断では、現在の症状だけでなく、子どもの頃から同じような特徴があったかを確認することが非常に重要です。
DSM-5-TRでは、いくつかの症状が12歳になる前から存在していたことが診断要件の一つとなっています。
そのため成人の診断では、
などについて確認します。
昔の通知表に、
などと繰り返し書かれていることが、診断の参考になる場合もあります。
成育歴に現在の症状、評価尺度、心理検査等を組み合わせるなどして、診断を行います。
ここは非常に重要です。
集中力低下や物忘れは、ADHDだけで起こる症状ではありません。
たとえば、
うつ病、不安症、双極性障害、睡眠不足・睡眠障害、ASD(自閉スペクトラム症)
などでも、集中力の低下や仕事上のミスが生じることがあります。
特に、以前は問題なく仕事や勉強ができていた人が、ある時期から突然集中できなくなった場合には、ADHD以外の原因についても慎重に検討する必要があります。
ADHDの治療には、薬物療法と非薬物療法があります。
薬物療法では、症状や併存疾患などを考慮して、コンサータ(メチルフェニデート)、ストラテラ(アトモキセチン)、インチュニブ(グアンファシン)などが使用されます。
しかし、ADHD治療は薬を服用するだけではありません。
予定を一つのカレンダーにまとめる、タスクを小さく分割する、物の置き場所を固定する、スマートフォンのリマインダーを利用するなど、自分の特性に合わせて環境を調整することも重要です。
心理教育や認知行動療法的なアプローチが役立つ場合もあります。
成人ADHDの患者さんの中には、
「どうして自分だけこんな簡単なことができないのだろう」
と長年悩んできた方もいます。
ADHDの診断の目的は、単に人を「ADHD」というカテゴリーに分類することではありません。
なぜ同じところでつまずきやすいのかを理解し、その人に合った対策を考えることが重要です。
ADHDは「集中できない病気」というだけではありません。
注意を向ける、維持する、切り替える、行動を抑える、時間を管理する、計画を立てて実行する――こうした自己調整の難しさを特徴とする神経発達症として理解すると、大人のADHDのさまざまな困りごとが見えてきます。
