公開日 2024.2.19
作用・特徴
小青竜湯は花粉症の時期のアレルギー性鼻炎の治療に多く用いられます。
また、気管支炎、感冒罹患時の鼻汁にも効果があります(図1)。
図1 小青竜湯の効果と作用
小青竜湯はアレルギー性鼻炎の鼻汁と鼻閉を改善することが報告されています1)。
使用目標(証)は、体力中等度の人で、喘鳴、咳嗽、呼吸困難、鼻症状などを訴える場合に用います。
- 1)泡沫水様性の痰、水様性鼻汁、くしゃみなどを伴う場合
- 2)心窩部に振水音を認める場合
とされています。
図2 小青竜湯の東洋医学的使用目標
小青竜湯は、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)及び、Th2サイトカインのダウンレギュレーションを介して、抗アレルギー作用を発揮している可能性が報告されています2)。
また、炎症性サイトカインのインターロイキン33(IL-33)のシグナル伝達を抑制する作用も、抗アレルギー作用に関与していることが示唆されています3)。
図3 小青竜湯の薬理作用
小青竜湯は以下の生薬から構成されています(図4)。
- 半夏
- 乾姜
- 甘草
- 桂皮
- 五味子
- 細辛
- 芍薬
- 麻黄
図4 小青竜湯の構成生薬
剤型
医薬品のツムラの漢方薬(19番)は1包顆粒3.0gとなっています(図5)。
図5 小青竜湯の剤型(ツムラ医療用)
効能・効果
下記疾患における水様の痰、水様鼻汁、鼻閉、くしゃみ、喘鳴、 咳嗽、流涙:
- 気管支炎
- 気管支喘息
- 鼻炎
- アレルギー性鼻炎
- アレルギー性結膜炎
- 感冒
用法・用量[ツムラ小青竜湯(医療用)]
通常、成人1日9.0gを2~3回に分割し、食前又は食間に内服します。
なお、年齢、体重、症状により適宜増減します。
副作用
重大な副作用として以下が挙げられています。
- 間質性肺炎(頻度不明)
- 偽アルドステロン症(頻度不明)
- ミオパチー(頻度不明)
- 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)
頻度は不明ながら以下が挙げられています。
- 過敏症:発疹、発赤、瘙痒等
- 自律神経系:不眠、発汗過多、頻脈、動悸、全身脱力感、精神興奮等
- 消化器:食欲不振、胃部不快感、悪心、嘔吐、腹痛、下痢等
- 泌尿器:排尿障害等
参考
- 1) Yan Y, et al. : Efficacy and safety of the Chinese herbal medicine Xiao-qing-long-tang for allergic rhinitis: A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. J Ethnopharmacol, 297 : 115169, 2022.
- 2) Liu HL, et al. : HDAC Downregulation of Xiaoqinglong Decoction in the Treatment of Allergic Rhinitis. Int Arch Allergy Immunol, 184 : 376-390, 2023.
- 3) Zhang JJ, et al. : Xiao-qing-long-tang ameliorates OVA-induced allergic rhinitis by inhibiting ILC2s through the IL-33/ST2 and JAK/STAT pathways. Phytomedicine, 119 : 155012, 2023.
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