公開日 2023.12.27
作用・特徴
防風通聖散は肥満や便秘、むくみに使用されます(図1)。
図1 防風通聖散の作用と効果
防風通聖散は肥満への治療効果があり、有害事象が少ないことが報告されています1)。
使用目標(証)は、体力の充実したいわゆる卒中体質者で、便秘し、腹は臍を中心に膨満して力のある、いわゆる太鼓腹の場合に用いるとされています。
図2 防風通聖散の東洋医学的使用目標
防風通聖散は、とりすぎると肥満の原因になるといわれるフルクトース(果糖)の吸収を抑制すること、腸管でのコレステロールの吸収を抑制し、脂質の排出を促進し、肥満やメタボリックシンドロームの改善につながっていることが示唆されています2)、3)、(図3)。
図3 防風通聖散の肥満改善メカニズム
また脂肪を分解する作用のある褐色脂肪細胞において、食欲抑制に関与するホルモンである、レプチンの産生を増加することが報告されています4)。
防風通聖散は以下の生薬から構成されています(図4、5)。
- 滑石
- 黄芩
- 甘草
- 桔梗
- 石膏
- 白朮
- 大黄
- 荊芥
- 山梔子
- 芍薬
- 川芎
- 当帰
- 薄荷
- 防風
- 麻黄
- 連翹
- 生姜
- 芒硝
図4 防風通聖散の構成生薬①
図5 防風通聖散の構成生薬②
剤型
医薬品のツムラの漢方薬(62番)は1包顆粒2.5gとなっています(図6)。
図6 防風通聖散の剤型(ツムラ医療用)
効能・効果
腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの次の諸症がみられます。
- 高血圧の随伴症状(どうき、肩こり、のぼせ)
- 肥満症
- むくみ
- 便秘
用法・用量[ツムラ防風通聖散(医療用)]
通常、成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前又は食間に内服します。
なお、年齢、体重、症状により適宜増減します。
副作用
重大な副作用として以下が挙げられています。
- 間質性肺炎(頻度不明)
- 偽アルドステロン症(頻度不明)
- ミオパチー(頻度不明)
- 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)
- 腸間膜静脈硬化症(頻度不明)
その他の副作用として以下が挙げられています(頻度不明)。
- 発疹
- そう痒
- 不眠
- 発汗過多
- 頻脈
- 動悸
- 全身脱力感
- 精神興奮
- 食欲不振
- 胃部不快感
- 悪心
- 嘔吐
- 腹痛
- 軟便
- 下痢
- 排尿障害
参考
- 1) Uneda K, et al. : Japanese traditional Kampo medicine bofutsushosan improves body mass index in participants with obesity: A systematic review and meta-analysis. PLoS One, 17 : e0266917, 2022.
- 2) Takagi K, et al. : Inhibitory effect of Bofutsushosan (Fangfengtongshengsan) extract on the absorption of fructose in rats and mice. J Nat Med, 77 : 535-543, 2023.
- 3) Akaki J, et al. : Promotive effect of Bofutsushosan (Fangfengtongshengsan) on lipid and cholesterol excretion in feces in mice treated with a high-fat diet. J Ethnopharmacol, 220 : 1-8, 2018.
- 4) Kobayashi S, et al. : Mechanisms for the anti-obesity actions of bofutsushosan in high-fat diet-fed obese mice. Chin Med, 12 : 8, 2017.
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