2026年1月、Zhangらは、アゴメラチン(日本未承認)、ミルタザピン、トラゾドンのうつ病患者さんの不眠に対する治療効果を解析し、報告しました 1)。
(アゴメラチンはメラトニンMT1・MT2受容体作動作用、セロトニン5-HT2C阻害作用を有し、主に不眠を有するうつ病患者さんの治療に、欧州などの保険承認された国で使用されています。)
うつ病では睡眠が浅くなることがわかっています 2)。
より正確に表現すると、N3とよばれる深睡眠が減少します。
うつ病の不眠の効果的な治療は、うつ病の改善ももたらすとともに、再発リスクを低下させます 3)。
今回の解析によるミルタザピンのうつ病患者さんに対する不眠への効果は、以下の結果でした。
- 総睡眠時間の増加
- 睡眠効率の向上(睡眠効率(%)は(実際の睡眠時間÷ベッドにいた時間)×100であ表します)
- 徐波睡眠(深睡眠)の増加
- 中途覚醒の減少
トラゾドンは以下の結果でした。
- 総睡眠時間の増加
- 睡眠効率の向上
- 徐波睡眠(深睡眠)の増加
- 睡眠潜時の減少(睡眠潜時はベッドに入ってから眠りにつくまでの時間です)
- 中途覚醒の減少
今回の研究では3剤の抑うつ症状の改善がHAMD(ハミルトンうつ病評価尺度)を使い解析されました。
その結果以下の結果でした
- アゴメラチン;SMD = -3.21、p < 0.001
- ミルタザピン:SMD = -2.77、p < 0.001
- トラゾドン:SMD = -8.09、p = 0.04
副作用
ミルタザピンでは、体重増加が一般的で、次いで鎮静がみられました。
トラゾドンは、めまい、傾眠、鎮静、吐き気、頭痛などみられました。
今回の報告では、ミルタザピンとトラゾドンがうつ病の不眠症に対し、睡眠の質と構造を改善し、うつ病そのものの改善にも寄与することがより明確になりました。
不眠を伴ううつ病の治療では、ミルタザピン、トラゾドンを不眠症治療薬として効果的に使う治療戦略も有効な手段です。
参考
- Zhang X, et al.: Management of insomnia symptoms in depressed patients treated with agomelatine, mirtazapine and trazodone: A systematic review and meta-analysis. J Affect Disord, 402:121378, 2026.
- Henckaerts P, et al.: Slow wave activity during non-rapid eye movement (NREM) sleep in patients with major depressive disorder: a meta-analysis. Sleep Med Rev, 83:102141, 2025.
- Gebara MA, et al.: Effect of insomnia treatments on depression: A systematic review and meta-analysis. Depress Anxiety, 35: 717-731, 2018.