マインドワンダリングとは?

はじめに

マインドワンダリング(Mind Wandering:心のさまよい)とは、目の前の課題から注意がそれ、過去の出来事や未来の予定、空想などへ意識が向かう現象です。

日本語では

  • 心のさまよい
  • 心の迷走
  • 心ここにあらず

などと表現されます。

例えば、

  • 本を読んでいるのに内容が頭に入らない
  • 会議中に夕食のことを考えてしまう
  • 運転中に仕事のことを考えていて目的地に着いてしまう

などが代表例です。

マインドワンダリング

なりやすい人はいるのですか?

マインドワンダリングは、通常の人間の認知現象です。

人々は、日常生活の約35.5%をマインドワンダリングに費やしていると報告されています1)。

なぜ起こるのですか?

マインドワンダリングには、脳のデフォルトモードネットワーク(Default Mode Network:DMN)が深く関与しています2)。

DMNは

  • 内省
  • 自己について考える
  • 過去を思い出す
  • 将来を想像する

ときに活動します。

逆に、仕事や勉強など集中課題では、実行機能ネットワーク(Executive Control Network)

が働き、DMNは抑制されます。

しかし、疲労やストレスなどで実行機能が低下するとDMNが優位となり、マインドワンダリングが生じます。

マインドワンダリングの良い面

以前は集中力低下の原因と考えられていましたが、

現在では

  • 創造性
  • アイデアの発想
  • 将来計画
  • 問題解決
  • 自己理解

にも役立つことがわかっています。

「ぼーっとしていると急に良いアイデアが浮かぶ」のは、このためです。

特に、多様な内容へ心がさまよう人ほど柔軟な発想が促進され、意図的にマインドワンダリングを行う傾向が強い人ほど独創的な発想が促進されることが報告されています3)。

マインドワンダリングの悪い面

一方、

過剰なマインドワンダリングは

  • 集中力低下
  • 学習効率低下
  • 作業ミス
  • 幸福感の低下

と関連します4)。

マインドワンダリングとADHD・うつ病・不安症との関連

ADHDとマインドワンダリングの関係

ADHDでは

  • DMNの抑制が弱い
  • 課題中でもDMNが活動し続ける

ことが報告されています。

そのため、マインドワンダリングが生じることと、注意散漫を含めたADHD症状が関連するとされています5)、6)。

うつ病とマインドワンダリングの関係

うつ病では健常者と比較し、約2倍マインドワンダリングが生じやすいとされています7)。

マインドワンダリングの内容が、日常的なことや、雑多なことは変わりはありません。

しかし、うつ病では、健常者と比較し、個人的な心配事のマインドワンダリングが多いことがわかっています8)。

うつ病では、マインドワンダリングが反芻思考(Rumination)へ変化しやすいことが知られています。。

例えば

  • 「あの時なぜあんな行動をとってしまったのだろう」
  • 「その時は嫌な思いをしたな、その光景を思いだしてしまう」

など同じ内容を繰り返し考えてしまいます。

反芻は

  • 抑うつ症状
  • 不安

を悪化させることがわかっています。

そのため、マインドワンダリングが反数思考につながり、うつ病の発症や悪化につながると考えられています。

不安症との関係

不安症では

未来について

  • 「失敗したらどうしよう」
  • 「病気だったらどうしよう」

などの心配へ注意が向きやすくなります。

これもマインドワンダリングの一種ですが、将来への脅威に偏っている点が特徴です9)。

マインドワンダリングの治療は?

過剰なマインドワンダリングに対してはマインドフルネス、ADHD治療薬、十分な睡眠等が有効と考えられています10)~13)

マインドフルネス

マインドフルネスは「今この瞬間に注意を向ける練習」です。

研究では

  • マインドワンダリングを減少させる
  • DMN活動を抑制する
  • 不安や抑うつを軽減する

ことが示されています

ADHD治療薬

成人ADHDの患者さんを対象に、メチルフェニデートアトモキセチンで治療した後の、過剰なマインドワンダリングとADHD症状を評価したところ、いずれも改善した結果が報告されています

十分な睡眠

不眠や睡眠の質の悪さは、マインドワンダリングの増加と関連していることが報告されています。

そのため、十分な睡眠の確保は、過剰なマインドワンダリングの抑制につながると考えられます。

まとめ

マインドワンダリングとは、注意が現在行っている課題から離れ、過去や未来、空想へ向かう正常な認知現象です。

創造性や問題解決に役立つ一方で、過剰になると集中力や作業効率、幸福感の低下につながることがあります。

ADHDでは実行機能ネットワークによるデフォルトモードネットワーク(DMN)の抑制が弱いためマインドワンダリングが起こりやすく、うつ病では反芻、不安症では将来への過度な心配として現れやすいことが知られています。

そのため、まずは十分な睡眠をとり、疲労をためないことが大切です。

文献

  • 1)Kawashima I, et al.: Ecological momentary assessment of mind-wandering: meta-analysis and systematic review. Sci Rep, 13: 2873, 2023.
  • 2)Philippi CL, et al.: Lesion network mapping demonstrates that mind-wandering is associated with the default mode network. J Neurosci Res, 99: 361-373,2021.
  • 3)Teng SC, Lien YW.: Propensity or diversity? Investigating how mind wandering influences the incubation effect of creativity. PLoS One, 17: e0267187, 2022.
  • 4)Hobbiss MH, et al.: Attention, mindwandering, and mood. Conscious Cogn, 72:1-18, 2019.
  • 5)Lanier J, et al.: Mind Wandering (Internal Distractibility) in ADHD: A Literature Review. J Atten Disord, 25: 885-890, 2021.
  • 6)Hayashi W, et al.: Mind wandering in adults with attention deficit hyperactivity disorder: Preliminary evaluation using the Mind Excessively Wandering Scale in a Japanese clinical population. PCN Rep, 1: e19, 2022.
  • 7)Welhaf MS, et al.: Mind-wandering in daily life in depressed individuals: An experience sampling study. J Affect Disord, 366:244-253, 2024.
  • 8)Welhaf MS, et al.: Mind-wandering content in major depressive disorder: A preregistered secondary analysis. J Affect Disord, 413:122244, 2026.
  • 9)Fell J, et al.: Mind wandering in anxiety disorders: A status report. Neurosci Biobehav Rev, 155:105432, 2023.
  • 10)Prakash RS.: Mindfulness Meditation: Impact on Attentional Control and Emotion Dysregulation. Arch Clin Neuropsychol, 36: 1283-1290, 2021.
  • 11)Bauer CCC, et al.: Mindfulness training preserves sustained attention and resting state anticorrelation between default-mode network and dorsolateral prefrontal cortex: A randomized controlled trial. Hum Brain Mapp, 41: 5356-5369, 2020,
  • 12)Takım U, Gökçay H.: Examination of Excessive Mind-Wandering Following Attention-Deficit and Hyperactivity Disorder Treatment in Adults. Psychol Rep, 128: 816-826, 2025.
  • 13)Cárdenas-Egúsquiza AL, Berntsen D.: Sleep well, mind wander less: A systematic review of the relationship between sleep outcomes and spontaneous cognition. Conscious Cogn, 102:103333, 2022.

執筆者

院長 宮本 浩司(みやもと こうじ)

院長 宮本浩司

川崎市・溝の口の心療内科・精神科
高津心音メンタルクリニック
・ 精神保健指定医
・ 日本精神神経学会認定専門医・指導医