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044-455-7500アイデンティティ(自己同一性)とは、「自分は自分である」という一貫した感覚や、自分らしさを認識できることを指します。
心理学者エリック・エリクソン(Erik H. Erikson)は、アイデンティティを「時間が経っても、自分は自分であるという連続性と一貫性の感覚」と説明しました。
つまり、
という自己理解の土台となるものです。
アイデンティティ(自己同一性)は幼少期から少しずつ育まれます。
特に思春期から青年期(およそ12~25歳頃)に大きく形成されると考えられています。
この時期には、
について考える機会が増えます。
このように、試行錯誤を繰り返しながら、自分らしさを見つけていきます。
アイデンティティは、さまざまな経験を通して形成されます。
例えば、
などが影響します。
また、自分自身について考え、さまざまな価値観に触れながら選択を重ねることも重要です。
アイデンティティ・クライシス(Identity Crisis:自己同一性の危機)とは、「自分は何者なのか分からない」「自分らしさを見失う」状態をいいます。
例えば、
などがみられます。
これらは思春期や青年期には誰にでも起こり得る正常な過程です。
しかし、長期間続く場合には心理的な支援が必要になることもあります。
アイデンティティと自己肯定感は混同されやすい言葉です。しかし、意味は異なります。
つまり、「自分はどのような人間なのか」「何を大切にして生きるのか」といった、自分自身に対する一貫した認識(自己同一性)がアイデンティティです。
一方、自己肯定感とは、「ありのままの自分を価値ある存在として受け入れられる感覚」のことです。
例えば、自分の将来の目標や価値観が明確であれば、アイデンティティは比較的確立されているといえます。
しかし、仕事で失敗したことで自分に自信を失っている場合には、自己肯定感は低下していても、アイデンティティは保たれていることがあります。
逆に、「自分が何をしたいのか分からない」「自分らしさが分からない」という状態では、アイデンティティが十分に形成されていない可能性があります。
自己概念(Self-concept)とは、「自分についての知識やイメージ全体」を指します。
例えば、
といった、自分自身についての認識が自己概念です。
一方、アイデンティティ(自己同一性)は、それらの自己概念を統合した「自分らしさ」や「人生の方向性」を意味します。
つまり、自己概念は『自分について知っていること』、アイデンティティは『それらを踏まえて自分は何者なのかという感覚』と考えると理解しやすいでしょう。
パーソナリティ(性格)とは、考え方や感情、行動の傾向など、その人に比較的安定してみられる特徴です。
例えば、
などはパーソナリティの特徴です。
一方、アイデンティティ(自己同一性)は、「自分はどのような人間として生きていくのか」という自己認識や価値観を指します。
パーソナリティは生まれ持った気質の影響も受けます。
しかし、アイデンティティは人生経験を通して少しずつ形成されていく点が大きく異なります。
アイデンティティという概念を広く知られるようにしたのは、アメリカの精神分析家・発達心理学者であるエリック・H・エリクソン(Erik H. Erikson)です。
エリクソンは、人の一生を8つの発達段階に分け、それぞれの時期に乗り越えるべき課題があると考えました。
中でも、思春期から青年期(約12~20歳頃)の発達課題は「アイデンティティの確立」とされています。
この時期には、
について試行錯誤を繰り返します。
この課題を十分に乗り越えられると、自分らしさや人生の方向性が定まりやすくなります。
しかし、この時期に十分な自己理解が得られない場合には、「自分は何者なのか分からない」というアイデンティティの混乱(Identity Diffusion)が生じることがあります。
乳児期では、一番身近な存在である母や父の絶対の信頼感が得られる必要があるとされています。
しかし、それがないと、他者への不信が生じ、成長してからの、対人拒絶や引きこもり等が生じる可能性があります。
この時期は、排便を自分の力でできるようになることと、関連しているとされています。
その結果、自尊心を失うことのない自制心から自律が生まれます。
一方で、排便がうまくコントロールできない場合、誰かにみられてしまう等の恥につながるとされています。
この時期に、屈することのない自主性(イニシアティブ)を獲得する必要があるとされています。
しかし、自主性(イニシアティブ)を獲得に失敗すると、規範を超えた行動が生じることがあります。
また、この時、罪の意識が生じるとされています。
この時期に、勉強をして、自分は役にたっているという感覚を「勤勉の感覚」と呼んでいます。
しかし、それまでの葛藤などの解決が不十分だと、劣等感が増大する危険があるとされています。
この時期に、いよいよ「自分」が「自分」を作っていく心の段階になります。
すなわち、このプロセスで「自分が自分であるという感覚」、「社会(共同体)に所属し、役割を果たすこと」、「信念を有すること」を得ていく自分を獲得していきます。
しかし、このプロセスから逃げ出すと、「自分」についてわからなくなる、アイデンティティ拡散が生じます。
エリクソンは、職業的アイデンティティを決められないことが、何よりも若い人々を混乱させると記しています。
成人期に本当に愛する人との、親密さが可能になるとされています。
親密と対をなす概念として孤立が挙げられています。
しかし、これは、本人が孤立になることでなく、その人にとって危険と感じられる力や人物を孤立させることです。
この時期で重要なことは「ジェネラティヴィティ」であるとエリクソンは述べています。
「ジェネラティヴィティ」は、主として次の世代を確立し、導くことへの関心です。
「ジェネラティヴィティ」の豊かさを獲得できず失敗すると、停滞の感覚が生じるとされています。
この時期に、「自らの1回限りのライフサイクルを受容することであり、また、その人生の中で重要な存在であった人々を、あるべきものとして、また必然的に、かけがえのない存在として受容すること」で、①~⑦の段階が結実すると、エリクソンは述べています。
また、上記の心の段階を「インテグリティ」と呼んでいます。
自我のインテグリティが欠如したりすると、絶望や死の恐怖が現れることがあるとされています。
モラトリアム(Moratorium)とは、「アイデンティティを形成するために、さまざまな可能性を模索している期間」のことです。
心理学者ジェームズ・マーシャ(James E. Marcia)は、エリクソンの理論を発展させ、アイデンティティの状態を4つに分類しました。
モラトリアムでは、
など、まだ答えは出ていないものの、自分なりに模索している状態です。
一見すると不安定に見えます。しかし、モラトリアムは健全なアイデンティティ形成に必要な過程と考えられています。
一方で、長期間にわたり決断を避け続けたり、自分の将来について考えること自体を放棄したりすると、アイデンティティ(自己同一性)の形成が遅れることがあります。
アイデンティティの揺らぎは、さまざまな精神疾患と関連することがあります。
うつ病では、自分に対する否定的な考えが強くなり、「自分には価値がない」「何をしたいのか分からない」と感じることがあります。
不安症では、将来への不安や失敗への恐れから、自分で決断することが難しくなり、アイデンティティの形成に影響することがあります。
ASDでは、対人関係の困難さや周囲との違いを感じる経験から、自己理解に悩むことがあります。
ADHDでは、失敗体験や自己肯定感の低下が積み重なることで、自分に自信を持ちにくくなることがあります。
境界性パーソナリティ症では、「自分がどのような人間なのか分からない」という不安定な自己像が特徴の一つです。
すなわち、価値観や目標、人間関係が大きく変化しやすいことがあります。
アイデンティティは、一度形成されたら変わらないものではありません。
例えば、就職や結婚、子育て、転職などの人生経験を通して少しずつ変化し、より成熟していくと考えられています。
そのため、「今の自分らしさ」に迷うことがあっても、それは決して特別なことではありません。
アイデンティティは、日々の経験や人との関わりを通して育まれます。
例えば、
といったことが、自分らしさを理解する助けになります。
アイデンティティ(自己同一性)とは、「自分は自分である」という一貫した感覚や、自分らしさを認識することを指します。
特に、思春期から青年期にかけて形成されますが、人生を通して少しずつ変化し続けるものでもあります。
また、誰でも将来や自分自身について悩む時期がありますが、それはアイデンティティを育てる大切な過程です。
一方で、自分らしさが分からない状態が長く続き、強い苦痛や生活への支障がある場合には、背景にうつ病や不安症、発達特性などが関係していることもあります。
そのような場合は、一人で抱え込まず、精神科や心療内科に相談することも大切です。

