精神疾患とセルフスティグマ(self-stigma)について

スティグマ(stigma)とは個人や集団あるいは、ある事柄に対する偏見に基づく誤ったものの見方のことです。

長い間、精神疾患、精神疾患当事者はスティグマにさらされてきました。

近年は心療内科の受診も普及し、敷居が低くなったものの、今なお続いていると言えます。

セルフスティグマ(self-stigma)は、他者の偏見や偏見に基づく誤ったものの見方を自分自身にあてはめてしまい、自分自身を恥の意識や否定的に捉えてしまうことです。

例えば、仕事が忙しい状態が続き、抑うつ状態となった時に、うつ病であるかもしれないと思っても、精神科受診は抵抗があるという、セルフスティグマのために受診が遅れてしまうことがあります。

同様にうつ病の診断のもと、治療がはじまっても、家族や会社に伝えにくいといった状況も生まれてしまいます。

治療には疾病受容といい、自らの病気を自分自身で受け入れることがより改善につながりやすいことがわかっています。

自らのセルフスティグマを乗り越えて、治療に取り込むことで、必ず、セルフエスティーム(自尊心)につながることができます。

仲間とのつながり、ソーシャルサポート、適度な病気の自己開示もセルフスティグマの軽減に有効であることが報告されています1)、2)。

参考

  • 1) Li XH, et al: Peer-to-peer contact, social support and self-stigma among people with severe mental illness in Hong Kong. Int J Soc Psychiatry, 67: 622-631, 2021.
  • 2) Corrigan PW, et al.: Who Comes Out With Their Mental Illness and How Does It Help? J Nerv Ment Dis, 204: 163-8, 2016.

執筆者

院長 宮本 浩司(みやもと こうじ)

院長 宮本浩司

川崎市・溝の口の心療内科・精神科
高津心音メンタルクリニック
・ 精神保健指定医
・ 日本精神神経学会認定専門医・指導医