歯周炎とうつ病の関係について

歯周炎を含む歯周病は種々の全身疾患の発症に関与することが、近年知られるようになっています。

2026年1月、Zhaoらは歯周炎と全身疾患の因果関係についての解析を報告しています1)。

解析では、歯周炎では以下の4疾患と有意な関連がありました。

  • 心原性脳塞栓症
  • 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)
  • うつ病
  • 糖尿病

歯周炎と新たに診断されたグループと、歯周炎のないグループを分けて追跡した台湾の研究があります。

この研究では、歯周炎と新たに診断されたグループの12年後のうつ病発症リスクは、歯周炎のないグループと比較して、76%高かったことが報告されています2)、(図1)。

図1 歯周病によるうつ病発症リスクの増加

歯周炎があり、かつ慢性のストレスがある状況では、歯周病菌が脳内に侵入する可能性が示唆されています3)、(図2)。

図2)歯周病菌+慢性ストレスによるうつ病の発症モデル

その結果、免疫・炎症反応が引き起こされ、うつ病の原因になる可能性が考えられています。

また、うつ病の予防・回復につながるとされる脳由来神経栄養因子(Brain-Derived Neurotrophic Factor:BDNF)を減少させてしまうことも関与しているとされています4)。

これらのことから、普段からの口腔ケアはうつ病予防に有効であると考えられます。

また治療中や寛解後の場合でも、悪化・再燃予防のため、より入念にケアすることが役立つと思われます。

おひとりで悩んでいませんか?

不眠症状がある場合は、我慢せず早めの心療内科・精神科への受診をおすすめします。
まずはかかりつけ内科等で相談するのも1つの方法です。

ハートを包み込むイメージ

文献

  • 1) Zhao Y, et al.: Causal association between periodontitis and systemic diseases: a systematic review and meta-analysis of mendelian randomization studies. BMC Oral Health, 26: 383, 2026.
  • 2) Hsu CC, et al.: Association of Periodontitis and Subsequent Depression: A Nationwide Population-Based Study. Medicine (Baltimore), 94: e2347, 2015.
  • 3) Martínez M, et al.: Periodontal diseases and depression: A pre-clinical in vivo study. J Clin Periodontol, 48: 503-527, 2021.
  • 4) Robledo-Montaña J, et al.: Microglial morphological/inflammatory phenotypes and endocannabinoid signaling in a preclinical model of periodontitis and depression. J Neuroinflammation, 21: 219, 2024.

執筆者

院長 宮本 浩司(みやもと こうじ)

院長 宮本浩司

川崎市・溝の口の心療内科・精神科
高津心音メンタルクリニック
・ 精神保健指定医
・ 日本精神神経学会認定専門医・指導医