イフェクサー(ベンラファキシン)の特徴・作用・副作用

特徴・作用

イフェクサー(ベンラファキシン)は、気分の落ち込み、意欲低下、不安を改善する効果をもつ抗うつ薬です。

日本で3剤目となるSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤)という抗うつ薬に分類される薬です。

日本ではデュロキセチン(サインバルタ)が先に承認・発売されましたが、米国をはじめ海外では、デュロキセチンより前に承認・発売されすでに長く使用されています。

ミルナシプラン(トレドミン)、デュロキセチン(サインバルタ)と異なり、低用量ではセロトニン再取り込み阻害作用が強く(セロトニンの量を増やし)、用量をあげていくとノルアドレナリン再取り込み阻害作用が強くなっていきます(ノルアドレナリンの量を増やします)1)、(図1)。

また、弱いドパミン再取り込み阻害作用も有しています2)。

図1 ベンランファキシン(イフェクサー)の作用

イフェクサーの作用

効能・効果

日本での保険承認は、「うつ病・うつ状態」・「全般不安症」となっています。

米国、英国ではうつ病の他に「パニック障害」、「社交不安障害」、「全般性不安障害」の承認を得ています(図2)。

図2 ベンランファキシン(イフェクサー)の各国の保険適応

イフェクサーの各国の保険適応

また、保険承認は得ていないものの、ADHDに対する有効性も報告されています3)。

用法・用量

うつ病・うつ状態、全般不安症ともに、通常、成人にはベンラファキシンとして1日37.5mgを初期用量とし、 1週後より1日75mgを1日1回食後に経口投与する。

なお、年齢、症状に応じ1日225mgを超えない範囲で適宜増減するが、増量は1週間以上の間隔をあけて1日用量として75mgずつ行うこととなっています(図3)。

図3 ベンランファキシン(イフェクサー)の投与方法

イフェクサーの投与方法

薬物動態

内服後、肝臓で代謝され薬理活性(薬としての効果)を有するO-脱メチルベンラファキシン(ODV)が産生されます(図4)。

ODVはデスベンラファキシン(医薬品名:プリスティーク)として2008年に米国で抗うつ薬として承認されています。未変化体のベンラファキシンとデスベンラファキシンが血液中を循環し、脳へ移行します。

図4 ベンランファキシンとデスベンランファキシン(ODV)の化学構造

化学構造式

1日1回単回で内服した際は血液中の濃度は約6時間で最高濃度に達し、約8~9時間後に血液中の濃度は半分に下がります(図5)

図5 ベンランファキシン(イフェクサー)1回内服時の血中濃度の推移

イフェクサーの血中濃度の推移

毎日内服すると、血液中の濃度は約6時間で最高濃度に達し、3日程で一定の濃度に維持されます(図6)。食事による影響はありません。

図6 ベンランファキシン(イフェクサー)を毎日内服した時の血中濃度の推移

イフェクサーを毎日内服した際の血中濃度の推移

女性は男性と比較し、高齢者は若年者と比較し血中濃度が高くなることが報告されており、性別、年齢を考慮した用量設定が必要になります4)、5)、(図7)。

図7 性別・年齢によるベンランファキシンの血中濃度の差

性別・年齢によりイフェクサーの血中濃度の差

剤型

剤型には37.5mgカプセルと75mgカプセルがあります(図8)。

図8 イフェクサー(ベンランファキシン)の剤型

イフェクサーの剤型

副作用

国内臨床試験では1225例中1028例(81.9%)に副作用発現を認め、主なものは以下でした(図9)。

  • 悪心 33.5%
  • 腹部不快感 27.2%
  • 傾眠 26.9%
  • 浮動性めまい 24.4%
  • 口内乾燥 24.3%
  • 頭痛 19.3%
  • 動悸 13.2%
  • 肝機能検査値異常 10.0%

でした。

図9 イフェクサー(ベンランファキシン)の主な副作用

イフェクサーの主な副作用

メンタル面ではデュロキセチン(サインバルタ)同様ノルアドレナリン再取り込み阻害作用を介した躁転に注意が必要です6)、7)、(図10)。

身体面では上記副作用以外に、ノルアドレナリンの影響による血圧上昇、頻脈に注意が必要です。

図10 イフェクサー(ベンランファキシン)の躁転のリスク

イフェクサーの躁転のリスク

イフェクサーの離脱症状

イフェクサーはパキシルと同様に離脱症状(抗うつ薬中断症候群)のリスクが高いことがわかっています8)、(図11)。

図11 各抗うつ薬の中断症候群の発症リスク

そのため、イフェクサーの内服を急に中止することは危険なので避けてください。

中止する場合はゆっくり用量を下げて、中止します。

イフェクサーの内服で体重は増えるか?

抗うつ薬の心血管・代謝への影響を調べた解析では、イフェクサーの内服は体重が減少する結果でした9)、(図12)。

そのため、太ることを気にされている方は心配ないと思われます。

図12 抗うつ薬間の体重変化の比較

副作用で頭痛が生じることがある一方、抗うつ薬の中で三環系抗うつ薬のアミトリプチリン(先発医薬品名:トリプタノール)と並び片頭痛の予防効果があり10)、2021年に改訂された日本神経学会の頭痛診療ガイドラインでは記載されなかったものの、米国頭痛学会のガイドラインでは以前から記載されています11)。

2021年に米国頭痛学会は片頭痛発作時治療、予防治療の合意声明を出し、その中でイフェクサー(ベンラファキシン)はあらためて予防治療としてprobably effective(有効である可能性が高い)として記載されました12)、(図12)。

図13 米国頭痛学会 コンセンサスステイトメント2021 片頭痛予防薬治療

また、アミトリプチリンと効果は同等であるも、アミトリプチリンより副作用が少なく、優先される選択肢であるとする研究も報告されています13)。

意欲低下や不安症状とともに身体疾患の背景も考慮し、性別・年齢で用量を調整し、慎重に使用します。

イフェクサーの値段(薬価)

イフェクサーの値段(薬価)は以下となっています。

  • イフェクサーSRカプセル37.5mg:98円
  • イフェクサーSRカプセル75mg;160.8円

3割負担、1割負担だと以下になります。

3割負担

  • イフェクサーSRカプセル37.5mg:約29~30円
  • イフェクサーSRカプセル75mg;約48円

1割負担

  • イフェクサーSRカプセル37.5mg:約10円
  • イフェクサーSRカプセル75mg;約16円

おひとりで悩んでいませんか?

うつ症状がある場合は、我慢せず早めの心療内科・精神科への受診をおすすめします。
まずはかかりつけ内科等で相談するもの1つの方法です。

ハートを包み込むイメージ

文献

  • 1) Coutens B, et al.: Psychopharmacological properties and therapeutic profile of the antidepressant venlafaxine. Psychopharmacology (Berl), 239: 2735-2752, 2022.
  • 2) Morton WA, et al.: Venlafaxine: a structurally unique and novel antidepressant. Ann Pharmacother, 29: 387-95, 1995.
  • 3) Maji S, et al.: Efficacy and safety of monoamine reuptake inhibitors in attention deficit hyperactivity disorder: A Bayesian network meta-analysis. J Psychiatr Res, 176:403-410, 2024.
  • 4) Schoretsanitis G, et al.: Sex and body weight are major determinants of venlafaxine pharmacokinetics. Int Clin Psychopharmacol, 33: 322-329, 2018.
  • 5) Hansen MR, et al.: Therapeutic Drug Monitoring of Venlafaxine in an Everyday Clinical Setting: Analysis of Age, Sex and Dose Concentration Relationships. Basic Clin Pharmacol Toxicol, 121: 298-302, 2017.
  • 6) Post RM, et al.: Mood switch in bipolar depression: comparison of adjunctive venlafaxine, bupropion and sertraline. Br J Psychiatry, 189: 124-31, 2006.
  • 7) Leverich GS, et al.: Risk of switch in mood polarity to hypomania or mania in patients with bipolar depression during acute and continuation trials of venlafaxine, sertraline, and bupropion as adjuncts to mood stabilizers. Am J Psychiatry, 163: 232-9, 2006.
  • 8)Gastaldon C,  et al. : Withdrawal Syndrome Following Discontinuation of 28 Antidepressants: Pharmacovigilance Analysis of 31,688 Reports from the WHO Spontaneous Reporting Database. Drug Saf, 45 : 1539-1549, 2022.
  • 9)Pillinger T, et al.: The effects of antidepressants on cardiometabolic and other physiological parameters: a systematic review and network meta-analysis. Lancet, 406: 2063-2077, 2025.
  • 10) Burch R.: Antidepressants for Preventive Treatment of Migraine. Curr Treat Options Neurol, 21: 18, 2019.
  • 11) Silberstein SD, et al.: Evidence-based guideline update: pharmacologic treatment for episodic migraine prevention in adults: report of the Quality Standards Subcommittee of the American Academy of Neurology and the American Headache Society. Neurology, 78: 1337-45, 2012.
  • 12) Ailani J, et al.: The American Headache Society Consensus Statement: Update on integrating new migraine treatments into clinical practice. Headache, 61: 1021-1039, 2021.
  • 13) Hedayat M, et al.: Venlafaxine can reduce the migraine attacks as well as amitriptyline: A noninferiority randomized trial. Clin Neurol Neurosurg, 214: 107151, 2022.

執筆者

院長 宮本 浩司(みやもと こうじ)

院長 宮本浩司

川崎市・溝の口の心療内科・精神科
高津心音メンタルクリニック
・ 精神保健指定医
・ 日本精神神経学会認定専門医・指導医