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044-455-7500喘息やアレルギー性鼻炎の治療に用いられるモンテルカスト(商品名:キプレス、シングレア)は、小児にも広く使用されている薬剤です。
モンテルカストはロイコトリエン受容体拮抗薬に分類されます。
気道の炎症や収縮に関わるロイコトリエンの作用を抑えることで、喘息症状のコントロールに役立ちます。
一方、近年、モンテルカストと睡眠障害、注意力の低下、多動、気分の変化などの精神神経症状との関連が注目されています。
2026年10月に発表された研究では、米国とカナダの約9.7万人の小児喘息患者を対象として、モンテルカストの使用とADHD(注意欠如・多動症)などの精神神経疾患との関連が検討されました1)。
その結果、モンテルカストを使用した小児では、吸入ステロイド薬を使用した小児と比較して、ADHDの診断リスクが約40%高いことが報告されました。
モンテルカストは、気管支喘息やアレルギー性鼻炎の治療に使用される薬剤です。
小児喘息では、気道の炎症を抑える吸入ステロイド薬(ICS)が重要な治療選択肢です。
しかし、モンテルカストも喘息の長期管理に用いられています。
モンテルカストは内服薬であり、通常1日1回の服用で使用できます。
そのため、吸入操作が難しい小児などでも使いやすいという特徴があります。
しかし、海外ではモンテルカスト使用中の
などが報告されてきました。
米国食品医薬品局(FDA)は2020年、モンテルカストの重篤な精神神経系副作用に関する警告を強化しています。
ただし、これまでの研究では精神神経症状との関連について一致しない結果も報告されています。
そのため、実際にどの程度のリスクがあるのかは議論が続いています。
Jiaoら(2026)は、米国とカナダの2つの出生コホートを利用して、モンテルカストと精神神経疾患との関連を検討しました。
対象は、初めて喘息と診断され、その後の初期治療としてモンテルカスト単剤または吸入ステロイド薬単剤を使用した、1歳以上18歳未満の小児です。
研究開始前に精神・神経疾患が診断されていた小児などは除外されています。
対象者数は以下のとおりです。
| 研究対象 | モンテルカスト群 | 吸入ステロイド群 |
| 米国 | 21,534人 | 63,788人 |
| カナダ | 373人 | 11,481人 |
| 合計 | 21,907人 | 75,269人 |
総対象者数は97,176人でした。
研究では、ADHDと睡眠障害を主要評価項目としています。
また、気分障害、不安症、反抗挑発症・素行症についても検討しています。
など、結果に影響する可能性のある要因を統計学的に調整しています。
今回の研究で特に注目されたのが、ADHDとの関連です。
2つのコホートの結果を統合した解析では、モンテルカスト使用群は吸入ステロイド薬使用群と比較して、ADHDの診断リスクが有意に高いことが報告されました。
これは、モンテルカスト使用群におけるADHD診断の発生ハザードが、吸入ステロイド薬使用群より相対的に約40%高かったことを意味します。
ただし、「モンテルカストを服用した子の40%がADHDになる」という意味ではありません。
また、薬剤がADHDの直接的な原因であると証明されたわけでもありません。
ADHDは、不注意、多動性、衝動性を特徴とする神経発達症です。発達過程や遺伝的要因など、さまざまな要素が関与すると考えられています。
今回の研究は、モンテルカストの使用とその後のADHD診断との間に統計学的な関連があることを示したものであり、薬剤によってADHDが新たに生じたかどうかまでは明らかにしていません。
ADHD以外では、反抗挑発症・素行症との関連も報告されました。
反抗挑発症では、怒りっぽさ、反抗的な態度、口論しやすさなどがみられることがあります。
素行症では、攻撃的行動や他者の権利を侵害する行動などが問題となります。
今回の研究では、これらをまとめた診断カテゴリーについて、モンテルカスト使用群で発生ハザードが約43%高い結果となりました。
ただし、薬剤使用中に一時的にみられる易刺激性や落ち着きのなさと、反抗挑発症・素行症という診断は同じものではありません。
行動面の変化がみられた場合には、
などを含めて評価することが重要です。
研究では、その他の精神神経疾患についても解析が行われています。

今回の研究では、気分障害や不安症について、モンテルカスト群と吸入ステロイド群の間に統計学的に有意な差は認められませんでした。
ただし、これはモンテルカストによる気分や不安に関する副作用が存在しないことを意味するものではありません。
睡眠障害については、米国とカナダで異なる結果が得られました。
米国のコホートでは有意な関連が認められませんでした。
しかし、カナダのコホートではモンテルカスト使用群で睡眠障害リスクの上昇が認められました。
また、喘息が比較的良好にコントロールされている小児や、経口ステロイド薬を使用していない小児では、睡眠障害との関連が示されました。
ただし、カナダのモンテルカスト使用群は373人と少なく、推定値の不確実性が大きい点には注意が必要です。
睡眠障害については、今回の研究だけで一貫した結論を出すことはできません。
モンテルカストの使用とADHD診断リスクの上昇には関連が認められましたが、因果関係が証明されたわけではありません。
喘息やアレルギー疾患そのものが、睡眠や日中の注意力、行動に影響する可能性があります。
また、薬剤が処方される背景には、喘息の重症度や治療経過などの違いが存在します。
研究者らはこうした要因を統計学的に調整しています。
しかし、観察研究である以上、測定されていない要因の影響を完全に除外することは困難です。
さらに、研究対象の多くは就学前の小児でした。
ADHDの症状は幼児期から認められることがあります。
しかし、年齢や発達段階によって診断の難しさが異なります。
診療記録にADHDの診断が記載されたことと、薬剤使用によって神経発達症が発症したことは区別して考える必要があります。
今回の研究結果だけを理由に、モンテルカストを服用しているすべての小児が薬剤を中止する必要があるわけではありません。
喘息を適切にコントロールすることも、小児の健康や生活の質を守るうえで重要です。
一方、モンテルカストを使用している間に、次のような変化がみられた場合には注意が必要です。
特に、薬剤の開始や変更後にこうした症状が現れた場合には、服薬との時間的関係を確認し、処方医に相談することが重要です。
薬剤の継続や変更については、喘息の状態と精神神経症状の両方を踏まえて判断する必要があります。
2026年に発表された約9.7万人の小児喘息患者を対象とした研究では、モンテルカスト使用群において、吸入ステロイド薬使用群よりもADHDの診断リスクが約40%高く、反抗挑発症・素行症のリスクも約43%高いことが報告されました。
一方、気分障害や不安症では有意な関連は認められませんでした。
また、睡眠障害については研究集団によって結果が異なりました。
今回の研究は、モンテルカストの精神神経系への安全性を考えるうえで重要な知見です。
しかし、モンテルカストがADHDを直接引き起こすと結論づけることはできません。
小児の喘息治療では、薬剤の効果だけでなく、睡眠、注意力、行動、気分の変化にも目を向けることが大切です。
Jiao XF, et al.: Neuropsychiatric outcomes after montelukast versus inhaled corticosteroids in pediatric asthma: a pooled birth cohort study. BMC Medicine, 24: 536, 2026.
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