麻黄湯(マオウトウ)の効果・作用・副作用

2025.01.16

作用・特徴

麻黄湯はインフルエンザの感染初期、かぜを引いた時に効果があります。

その他に、乳児の鼻閉塞、哺乳困難、関節リウマチなどにも用いられます(図1)。

図1 麻黄湯の効果

2011年に、麻黄湯はタミフル、リレンザと比較して、A型インフルエンザ感染症状の治療効果が同等であることが報告されています1)。

この研究では、解熱までの期間は同等だったものの、関節痛の改善では、麻黄湯が有意に優れていたことが示されました。

2019年に、麻黄湯と抗インフルエンザウイルス薬の効果を比較した、12件の研究を解析した結果が報告されました2)。

発熱時間と症状持続時間は、麻黄湯と抗インフルエンザウイルス薬との間で差はありませんでした。

しかし、12件の研究のうち麻黄湯+抗インフルエンザウイルス薬と抗インフルエンザウイルス薬の効果を比較した5件の研究の解析では、麻黄湯+抗インフルエンザウイルス薬の方が早く解熱する結果でした(図2)。

図2 解熱効果 麻黄湯+抗インフルエンザウイルス薬vs抗インフルエンザウイルス薬

インフルエンザは鼻やのどの粘膜に付着すると、人の細胞のエンドソームと呼ばれる小胞に取り込まれ、細胞内でウイルスタンパクを放出します。

麻黄湯は、インフルエンザウイルスがエンドソームからタンパクを放出することを抑制します3)。

生体には、不要なタンパクを細胞内に取り込み、消化するオートファジーと呼ばれる機能が備わっています。

インフルエンザウイルスはオートファジー機能を障害し、感染力を高めますが、麻黄湯はオートファジーの機能を正常化することがわかってきています4)。

また、IL-6などの炎症性サイトカインを抑制します5)。

これらの働きを介し、麻黄湯は、抗インフルエンザウイルス作用を発揮します(図3)。

図3 麻黄湯のインフルエンザウイルスに対する薬理作用

使用目標(証)は、普段から丈夫で体力充実した人の熱性疾患の初期で、頭痛、発熱、悪寒、腰痛、四肢の関節痛などがあり、自然発汗のない場合に用いる(図4)。

  • 1)喘鳴、咳嗽などを伴う場合
  • 2)乳幼児の感冒で、鼻閉塞のある場合

とされています。

図4 麻黄湯の東洋医学的使用目標

麻黄湯は以下の生薬から構成されています(図5)。

  • 杏仁(キョウニン)
  • 麻黄(マオウ)
  • 桂皮(ケイヒ)
  • 甘草(カンゾウ)

図5 麻黄湯の構成生薬

剤型

医薬品のツムラの漢方薬(27番)は1包顆粒2.5gとなっています(図6)。

図6 麻黄湯の剤型(ツムラ医療用)

効能・効果

効能・効果は以下となっています。

悪寒、発熱、頭痛、腰痛、自然に汗の出ないものの次の諸症:感冒、インフルエンザ(初期のもの)、関節リウマチ、喘息、乳児の鼻閉塞、哺乳困難

用法・用量[ツムラ麻黄湯(医療用)]

通常、成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前又は食間に内服する。

なお、年齢、体重、症状により適宜増減するとなっています。

副作用

頻度は不明ながら以下が挙げられています。

重大な副作用

  • 偽アルドステロン症
  • ミオパチー

その他の副作用

  • 過敏症:発疹、発赤、瘙痒等
  • 自律神経系: 不眠、発汗過多、頻脈、動悸、全身脱力感、精神興奮等
  • 肝臓:肝機能異常(AST、ALT等の上昇)
  • 消化器:食欲不振、胃部不快感、悪心、嘔吐等
  • 泌尿器:排尿障害等

持病がある方の注意

以下の持病がある、または、妊娠・授乳中の際は、事前に担当の医師にご相談されて下さい。

  • 狭心症・心筋梗塞などの心臓に障害がある、またはその既往がある
  • 甲状腺機能亢進症がある。・重症高血圧症がある
  • 妊娠または授乳中
  • 他に薬などを使っている(お互いに作用を強めたり、弱めたりする可能性もあります)

参考

  • 1) Saita M, et al.: The efficacy of ma-huang-tang (maoto) against influenza. Health, 3: 300-3003, 2011.
  • 2) Yoshino T, et al.: The use of maoto (Ma-Huang-Tang), a traditional Japanese Kampo medicine, to alleviate flu symptoms: a systematic review and meta-analysis. BMC Complement Altern Med, 19: 68, 2019.
  • 3) Mantani N, et al.: Inhibitory effect of Ephedrae herba, an oriental traditional medicine, on the growth of influenza A/PR/8 virus in MDCK cells. Antiviral Res, 44: 193-200, 1999.
  • 4) 鍋島 茂樹.: インフルエンザにおける漢方療法, カレントテラピー, 32: 62-65, 2014.
  • 5) Nabeshima S, et al.: A randomized, controlled trial comparing traditional herbal medicine and neuraminidase inhibitors in the treatment of seasonal influenza. J Infect Chemother, 18: 534-43, 2012.

執筆者

院長 宮本 浩司(みやもと こうじ)

院長 宮本浩司

川崎市・溝の口の心療内科・精神科
高津心音メンタルクリニック
・ 精神保健指定医
・ 日本精神神経学会認定専門医・指導医