寝不足に対する週末の睡眠補充によるうつ病予防効果

日本人勤労者は勤務時間が長く、残業時間も長い傾向が知られています(図1)。

図1 我が国における時間外労働の現状、年平均労働時間と長時間労働者の各国比較

そのため、平日勤務日、睡眠不足になっている勤労者が多くなっています。

日本人は睡眠時間が他国と比較し短く、起床時間が早いことがわかっています1)、2)、(図2)。

図2 日本と他国の睡眠時間・起床時間の比較

週末に長く寝て睡眠不足を回復することをキャッチアップ睡眠とよんでいます。日本語の“寝だめ”とは少しニュアンスが異なります。

あえて訳すとすると寝回復といえるかもしれません。

キャッチアップ睡眠がうつ病を予防するかについては、複数の横断研究が発表されていましたが、報告は一貫していませんでした。

2025年2月、Zhouらは、2024年4月まで発表された10本の横断研究を解析し、キャッチアップ睡眠がうつ病を予防するかについて、報告しました3)。

報告ではキャッチアップ睡眠は、うつ病予防効果が認められるという結果でした(図3)。

図3 キャッチアップ睡眠のうつ病予防効果

副次解析項目による何時間が望ましいかについては、0~2時間のキャッチアップ睡眠がうつ病予防に効果的で、2時間以上になると効果は限定的な結果でした。

キャッチアップ睡眠の効果は男性と中年成人でより効果がみられる結果でした。

今回の結果から、うつ病予防のためには、寝不足の場合、週末2時間程度まで普段より長く寝て、しっかりと疲労をとることが推奨されるといえます。

参考

  • 1) Walch liOJ, et al.: A global quantification of “normal” sleep schedules using smartphone data. Sci Adv, 2: e1501705, 2016.
  • 2) Ito K, et al.: Large Questionnaire Survey on Sleep Duration and Insomnia Using the TV Hybridcast System by Japan Broadcasting Corporation (NHK). Int J Environ Res Public Health, 18: 2691, 2021.
  • 3) Zhou Y, et al.: Association of weekend catch-up sleep with depression: A systematic review and meta-analysis. J Affect Disord, 378:109-118, 2025.

執筆者

院長 宮本 浩司(みやもと こうじ)

院長 宮本浩司

川崎市・溝の口の心療内科・精神科
高津心音メンタルクリニック
・ 精神保健指定医
・ 日本精神神経学会認定専門医・指導医