降圧薬の使用とうつ病発症リスクの関連

高血圧患者における、うつ病の有病率は26.8%と高いことが報告されています1)。

また、不安やストレスは、高血圧の誘因となることが報告されています2)、3)。

そのため、高血圧患者においては、うつ病発症の予防や、すでにうつ病を発症している場合には、降圧薬の選択を含めた慎重な治療が必要とされています。

降圧薬には主に以下のジャンルがあります。

  • アンギオテンシン変換酵素阻害薬(ACE-I)・アンギオテンシン受容体拮抗薬(ARB)
  • βブロッカー
  • カルシウム拮抗薬
  • 利尿薬

従来、βブロッカーは抑うつ症状が生じるリスクが示唆されていましたが、解析の報告は一貫していませんでした。

2025年3月、Tewariらは、降圧薬の使用とうつ病のリスクとの関連について解析し、報告しています4)。

報告では、アンギオテンシン変換酵素阻害薬(ACE-I)、アンギオテンシン受容体拮抗薬(ARB)、利尿薬に有意なリスクはみられない結果でした。

一方、βブロッカーでは高い関連性があり、それに次いで、カルシウム拮抗薬もリスクがみられる結果でした(図1)。

図1 降圧薬の使用とうつ病発症の関連

日本では、アンギオテンシン変換酵素阻害薬(ACE-I)、アンギオテンシン受容体拮抗薬、カルシウム拮抗薬での治療が多い現状です。

そのため、カルシウム拮抗薬で治療中の場合は、βブロッカー同様に注意深い観察が必要といえそうです。

内科薬等の精神疾患副作用が気になる場合は、通院中の精神科・心療内科でご相談することをおすすめします。

参考

  • 1) Li Z, et al.: Prevalence of Depression in Patients With Hypertension: A Systematic Review and Meta-Analysis. Medicine (Baltimore), 94: e1317, 2015.
  • 2) Lim LF, et al.: Association between anxiety and hypertension in adults: A systematic review and meta-analysis. Neurosci Biobehav Rev, 131:96-119, 2021.
  • 3) Liu MY, et al.: Association between psychosocial stress and hypertension: a systematic review and meta-analysis. Neurol Res, 39: 573-580, 2017.
  • 4) Tewari J, et al.: Association between antihypertensive drug use and the risk of depression: a systematic review and network meta-analysis. J Hum Hypertens, 2025.

執筆者

院長 宮本 浩司(みやもと こうじ)

院長 宮本浩司

川崎市・溝の口の心療内科・精神科
高津心音メンタルクリニック
・ 精神保健指定医
・ 日本精神神経学会認定専門医・指導医