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044-455-75002025年10月、Pillingerらにより、30種類の抗うつ薬の心血管・代謝への影響の解析が発表されました。
解析に含まれた、30種類の抗うつ薬は以下となっています。
本コラムでは、日本未承認薬を除き、統計学的に有意差のあったもののみを図に再構成しました。
体重の変化は、マプロチリン、アミトリプチリン、ミルナシプラン、ミアンセリン、フルボキサミン、ミルタザピンで増加がみられました。
一方、セルトラリン、ベンラファキシン、デュロキセチン、パロキセチンでは体重の低下がみられました(図1)。

総コレステロール値は、ベンラファキシン、デュロキセチン、パロキセチンで上昇がみられました(図2)。

血糖値は、デュロキセチンのみ上昇がみられました(図3)。

心拍数は、ノルトリプチリン、クロミプラミン、イミプラミン、アミトリプチリン、ベンラファキシン、デュロキセチンで増加がみられました。
一方、フルボキサミンは減少がみられました(図4)。

血圧(収縮期)は、アミトリプチリン、ベンラファキシン、イミプラミン、デュロキセチンで上昇がみられました。
一方、ノルトリプチリンは低下がみられました(図5)。

AST・ALT値は、デュロキセチンのみで上昇がみられました(図6)。

ALP値は、セルトラリン、ベンラファキシン、パロキセチン、デュロキセチンで上昇がみられました(図7)

ナトリウムは、デュロキセチンとベンラファキシンで低下がみられました(図8)。

今回の研究では、ベースの体重が増加しているほど、抗うつ薬による収縮期血圧の上昇と関連している結果でした。
性別が心血管・代謝に影響をあたえる根拠は見出されませんでした。
また、うつ病の重症度は、体重、総コレステロール値、血糖値の変化は相関しませんでした。
抗うつ薬による体重増加を気にする方が多くいますが、今回の結果からは、セルトラリン、ベンラファキシン、デュロキセチン、パロキセチンは安心して使用して問題ない結果が提示されたと言えます。
一方で著者らも、考察で述べていますが、ベンラファキシン、デュロキセチン、パロキセチンは体重減少がみられるものの、総コレステロールは上昇がみられ、この関係性には今後の研究が待たれます。
一部の三環系抗うつ薬とデュロキセチン、ベンラファキシンが心拍数、血圧上昇に関連するのは、従来の研究結果と同様といえます。
AST・ALT値の上昇は、デュロキセチンでみられ、ALP値の上昇はセルトラリンで高い結果は、すでに2剤が併用されている場合で、いずれかの肝酵素が上昇している時(または上昇してきた時)に、どちらの薬剤がより誘因になっているかのヒントになりそうです。
抗うつ薬の効果は、個人の薬剤反応性があるといわれています。
しかし、症状により薬剤を選択するだけでなく、個人の体重や血圧から抗うつ薬を慎重に検討することの重要さを、今回の結果は示しています。
