在宅勤務によるうつ

在宅勤務という大きな環境変化

新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、政府は企業などに在宅勤務の働きかけを行いました。

それに伴い今まで職場に出勤して勤務していた勤労者が在宅で仕事を行うという習慣の変化により、在宅勤務者のストレス増加、抑うつ・うつ病発症が懸念されています。

生活サイクルの乱れ、日光を浴びる時間の減少、運動不足、他者とのコミュニケーションの減少などは抑うつ・うつ病のリスクとなります1,2,3)。

出勤が担ってくれていた役割

会社への出勤があれば一定のライフサイクルが整います。

また、自宅から駅まで歩き、駅から職場まで歩くといった通勤パターンでは、それが少ないながらも一定の運動となっています。

その間は自然と日光にも浴びています。

職場でのちょっとした同僚との世間話もコミュニケーションの一つとなっています。

普段気にしない出勤という行動が心身のバランスを保つ役割を果たしていました。

このようなことから日本うつ病学会は新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う、自宅待機・在宅勤務等に対する日常生活の過ごし方を紹介4)しており以下に示します。

日常生活を規則的に送るための自己管理術

  • 自宅待機や在宅勤務であっても、自分自身で毎日決まって行う日課を設定しましょう。
    そうすることで、あなたの体内時計は安定して働くようになります。
  • 毎日、同じ時刻に起きましょう。
    決まった時刻に起床することは、体内時計が安定して働くために最も大切です。
  • 毎日、一定時間を屋外で過ごすようにしましょう(訳注: 密閉・密集・密接 の 3密の状況を避け、一人でいられる場所で)。
    体内時計の時刻合わせには、 朝の光が欠かせません。
    朝といっても、お昼近くよりは、午前中の早い時間帯が望ましいでしょう。
  • もし、あなたが外に出られないとしても、少なくとも2時間は窓際で過ごし、日の光を浴びながら、心の落ち着ける時間を持ちましょう。
  • 在宅での仕事や学習、友人との電話、料理など、毎日行ういくつかの活動はやる時間を決めましょう。そして、毎日、同じ時間に行いましょう。
  • 毎日、運動をしましょう。できれば、毎日、同じ時間帯で。
  • 毎日、同じ時間に食事をしましょう。
    食事の時間になっても、食べたくない時もあるかもしれませんが、それでも時間が来たら少量でも良いので何かを口にしましょう。
  • 人との交流は、たとえ社会的距離確保の期間中であっても大切です。
    リアルタイムに考えや気持ちを分かち合えるような人はいるでしょうか?
    テレビ電話か音声通話かはどちらでも結構ですので、可能そうな方とコミュニケーションの機会を持つようにしましょう。
    すぐに相手が思いつかなくとも、誰かいなかったかを思い出してみましょう。
    LINE のような文章だけの会話であっても、リアルタイムにメッセージが行き交うものであれば大丈夫です。
    そして、毎日、同じ時刻にそういった相手とコミュニケーションするスケジュールを持ちましょう。
  • 日中の昼寝(特に、午後遅くの昼寝は)は避けましょう。
    もし、どうしても昼寝が必要な方は最大でも 30分以内に抑えましょう。
    昼寝は、夜の深い睡眠を妨げます。
  • 夜間に明るい光(特にブルーライト)を浴びるのは避けましょう。
    コンピューターやスマートフォンのディスプレイも含まれます。
    ブルーライトは、睡眠に不可欠なホルモンを減らしてしまうことがわかっているからです。
  • 自分自身に合った、起床と就寝の時間を決め、一貫してその睡眠リズムを保つようにしましょう。
    もし、あなたが夜型ならば、たとえ家族の人より少し遅く寝て、少し遅く起きることになったとしても大丈夫です。毎日、同じ時間に床につき、同じ時間に起きることがポイントです。

以上11つのポイントが挙げられています。

うまく自分の生活に取り入れてこの期間を乗り越えていきましょう。

おひとりで悩んでいませんか?

うつ症状がある場合は、我慢せず早めの心療内科・精神科への受診をおすすめします。
まずはかかりつけ内科等で相談するもの1つの方法です。

ハートを包み込むイメージ

参考

  • 1) Furihata, R. et al. Unhealthy lifestyle factors and depressive symptoms: A Japanese general adult population survey. J Affect Disord, 234;156-161, 2018.
  • 2) Ge L, et al. Social isolation, loneliness and their relationships with depressive symptoms: A population-based study. PLoS One, 12(8):e0182145, 2017.
  • 3) Harb, F et al. et al. Lack of exposure to natural light in the workspace is associated with physiological, sleep and depressive symptoms. Chronobiol Int, 32;368-75, 2015.
  • 4) 日本うつ病学会:「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行下における、こころの健康維持のコツ :先の見えない中であっても、日常の生活リズムには気をつけよう」. https://www.secretariat.ne.jp/jsmd/2020-04-07-2-covid-19.pdf

執筆者

院長 宮本 浩司(みやもと こうじ)

院長 宮本浩司

川崎市・溝の口の心療内科・精神科
高津心音メンタルクリニック
・ 精神保健指定医
・ 日本精神神経学会認定専門医・指導医