非定型うつ病とメラコリー型うつ病の鑑別と根拠

うつ病では、症状の特徴からサブタイプに分類することがあります。

アメリカ精神医学会の診断基準であるDSM-5ではうつ病のサブタイプに以下の分類を提示しています。

  • 不安性の苦痛を伴う
  • 混合性の特徴を伴う
  • メランコリアの特徴を伴う
  • 非定型性の特徴を伴う
  • 気分に一致する精神病性の特徴を伴う
  • 気分に一致しない精神病性の特徴を伴う
  • 緊張病を伴う
  • 周産期発症
  • 季節型

非定型の特徴を伴ううつ病は「非定型うつ病」と呼ばれています。

非定型うつ病は、以下の特徴があります。

  • 気分反応性(楽しいことには、気分が明るくなる)
  • 体重増加または食欲増加
  • 鉛様麻痺(手足が鉛のように、重い感覚)
  • 対人過敏性(特に他人から拒絶されることに敏感。うつ状態以外の期間にもみられます)

メランコリアの特徴を伴ううつ病は「メラコリー型うつ病」と呼ばれています。

メラコリーうつ病には、以下の特徴があります。

  • 喜びの喪失
  • 快適である刺激への反応の消失
  • 抑うつ気分、絶望、空虚感
  • 朝に悪化する抑うつ気分
  • 早朝覚醒
  • 著しい焦燥感または制止(精神運動焦燥または制止)
  • 食欲不振または体重減少
  • 過度な罪責間

2025年8月、Preisigらは、臨床現場における非定型うつ病とメラコリー型うつ病の分類における根拠についてのレビューを報告しました1)。

報告では以下のような結果でした。

家族内発症

家族間での発症では、非定型うつ病に関連がみられる結果でした。

一方、メラコリー型うつ病には、一貫性がみられませんでした。

食事の質

非定型うつ病では、食事の質が低下している結果でした。

メラコリー型うつ病では、非うつ病群との比較根拠が不十分でした。

肥満スコア

非定型うつ病では、BMI等の肥満スコアの上昇と関連している結果でした。

一方、メラコリー型うつ病では、相関はみられませんでした。

非定型うつ病とメラコリー型うつ病の比較では、非定型うつ病は、メラコリー型うつ病の約2.55倍BMIが高くなる結果でした。

炎症マーカー

非定型うつ病では、炎症のCRPの上昇と関連している結果でした。

一方、メラコリー型うつ病では、相関はみられませんでした。

デキサメタゾン抑制試験

通常うつ病では、発症要因の1つに視床下部-下垂体-副腎(Hypothalamus-pituitary-adrenal : HPA) 軸が挙げられています。

ストレスがかかると副腎から、コルチゾールというホルモンが分泌されますが、過剰かつ長期になると、HPA軸に異常をきたし、うつ病の発症要因になるとされています。

うつ病患者さんでは、デキサメタゾン抑制試験とうのを行うと、通常ではコルチゾールの分泌が抑制されますが、抑制されないことが分かっています。

このデキサメタゾン抑制試験は、非定型うつ病では、一貫性がみられませんでした。

一方、メラコリー型うつ病では、抑制されない結果でした。

以下図1にDSM-5に記載されている、非定型うつ病とメラコリー型うつ病の特徴と、今回の論文で示された両サブタイプの鑑別点をまとめました。

図1 非定型うつ病とメラコリー型うつ病の特徴と鑑別

おひとりで悩んでいませんか?

うつ症状がある場合は、我慢せず早めの心療内科・精神科への受診をおすすめします。 まずはかかりつけ内科等で相談するもの1つの方法です。

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文献

  • 1)Preisig M, et al.: The rationale for subtyping depression into atypical and melancholic in research and clinical settings: A narrative review. J Affect Disord, 391:120045, 2025.

執筆者

院長 宮本 浩司(みやもと こうじ)

院長 宮本浩司

川崎市・溝の口の心療内科・精神科
高津心音メンタルクリニック
・ 精神保健指定医
・ 日本精神神経学会認定専門医・指導医