双極性うつ病とうつ病を鑑別する血液検査バイオマーカー

はじめに

双極うつ病とうつ病は、その鑑別が難しいことが知られています。

従来、うつ病と比較し、発症年齢が早いこと、過眠傾向、季節性を伴う等などが鑑別点に挙げられていました。

近年では、以下の認知との関連性が高いことも報告されています1)~3)。

  • 反芻思考が強い(嫌な出来事、辛い気持ちなどを頭の中でぐるぐる考えてしまうことです)
  • 注意散漫
  • (双極症2型では)アトリビューションの障害が多い(失敗を自分のせいとして捉えてしまう考えです)

これらの臨床的特徴に注意しても、明確な躁症状を発症していない段階では鑑別の難しさがあります。

そのため、主に血液、脳画像、遺伝子学的側面から鑑別の研究が進められています。

本稿では、血液検査におけて鑑別マーカーとなりうるとされている物質について、記載致します。

炎症因子

2025年2月、双極性うつ病とうつ病患者における、血液検査における炎症因子を比較した解析結果が報告されました4)。

今回の研究では以下の因子が比較解析されました。

  • 好中球/リンパ球比(NLR)
  • 単球/リンパ球比(MLR)
  • 血小板/リンパ球比(PLR)
  • C反応性タンパク質(CRP)
  • 血清トリヨードサイロニン(T3)
  • 血清サイロキシン(T4)
  • 遊離甲状腺ホルモン(fT3、fT4)
  • 甲状腺刺激ホルモン(TSH)
  • 補体3(C3)
  • 補体4(C4)
  • 免疫グロブリンA(IgA)
  • 免疫グロブリンG(IgG)
  • 疫グロブリンM(IgM)

解析結果では、双極性うつ病では、うつ病と比較して、CRP値の上昇とIgM値の減少がみられる結果でした(図1,2)。

図1 双極性うつ病とうつ病のCRP値の比較

(CRPは細菌感染症などで炎症、発熱が生じた際に通常測定される、代表的な炎症反応マーカーです。)

図2 双極性うつ病とうつ病のIgM値の比較

尿酸値

2023年、Chenらは、中国人双極症当事者と尿酸値の関連を解析し、報告しています5)。

解析では、双極症では、健常群、うつ病、統合失調症と比較し、双極症で尿酸値が有意に高い結果でした。

解析に含まれた研究では、うつ病と双極うつ病とを比較した研究も含まれています。

研究では、うつ病と双極うつ病とを比較しても、双極うつ病の尿酸値が高い結果が示されています6)、(図3)。

図3 双極性うつ病とうつ病の尿酸値の比較

著者らは、これらが検査バイオマーカーになる可能性になることと、これらを組み合わせることにより診断精度を高められる可能性について述べています。

お一人で悩んでいませんか?

うつ症状がある場合は、早めの心療内科・精神科の受診をおすすめします。
まずはかかりつけ内科等で相談するもの1つの方法です。

ハートを包み込むイメージ

参考

  • 1) Oliva V, et al.: Highest correlations between emotion regulation strategies and mood symptoms in bipolar disorder: A systematic review and Bayesian network meta-analysis. Clin Psychol Rev, 59:126-136, 2018.
  • 2) Siegel-Ramsay JE, et al.: Distinguishing between depression in bipolar disorder and unipolar depression using magnetic resonance imaging: a systematic review. Bipolar Disord, 24: 474-498, 2022.
  • 3) Zhang B, et al.: Social cognition in bipolar I and II disorders: an updated systematic review and meta-analysis. BMC Psychiatry, 25: 39, 2025.
  • 4) Zhang T, et al.: Comparison of clinical features and inflammatory factors between patients with bipolar depression and unipolar depression. BMC Psychiatry, 25: 108, 2025.
  • 5) Chen H, et a.; Study on association of serum uric acid levels with bipolar disorder: systematic review and meta-analysis in Chinese patients. Ann Gen Psychiatry, 22: 20, 2023.
  • 6) Lu Z, et al.: Individuals with bipolar disorder have a higher level of uric acid than major depressive disorder: a case-control study. Sci Rep, 11: 18307, 2021.

執筆者

院長 宮本 浩司(みやもと こうじ)

院長 宮本浩司

川崎市・溝の口の心療内科・精神科
高津心音メンタルクリニック
・ 精神保健指定医
・ 日本精神神経学会認定専門医・指導医