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044-455-75002024年3月にOlivaらにより、精神病性うつ病に対する薬物治療の有効性の比較が報告されていました1)。
この研究では、有効性だけでみると、サブ解析も含めて抗うつ薬単剤ではアモキサピン(アモキサン)、イミプラミン(トフラニール)、アミトリプチリン(トリプタノール)が優れていました。
抗うつ薬と抗精神病薬の併用では、同じくサブ解析も含めて、アミトリプチリン+ペルフェナジン(PZC・トリラホン)、ベンラファキシン(イフェクサー)+クエチアピン(セロクエル)が優れていました。
6月にTaipaleらにより、精神病性うつ病の維持治療における薬物治療の有効性の比較が報告されました2)。
精神病性うつ病では再発リスクが高く、維持治療が重要であるため、今回の研究報告はOlivaの報告と合わせ、貴重な報告と言えます。
主要評価項目は再入院率が低いことに設定されています。
抗うつ薬を使用しない場合と比較して以下の3剤の抗うつ薬が再発リスクの低下と関連していました(図1)。

抗精神病薬単剤では持効性注射製剤(薬剤別に限定せず)とクロザピン(クロザリル)が再発リスクの低下と関連していました。
抗うつ薬と抗精神病薬の併用では以下の組み合わせが再発リスクの低下と関連していました(図2)。

抗うつ薬と抗精神病薬の併用と比較した場合でも、ブプロピオンとボルチオキセチンは再発リスクの低下が認められる結果でした。
抗うつ薬と抗精神病薬のいずれも使用しない場合との比較における薬剤の有効性の比較は以下の結果でした(図3)。

著者らは、エスシタロプラムは精神病性うつ病の再発リスクの低下に関連しておらず、使用は控えることが望ましいとのべています。
また、ミルタザピン(リフレックス・レメロン)は再発リスクと関連している結果でした。
日本未承認薬のブプロピオンはノルアドレナリンとドパミンの再取り込みを阻害し、ドパミン活性を高めます。
著者らはドパミン活性を強めることが、精神病性うつ病の改善に有効である可能性について述べています。
ボルチオキセチン、セルトラリン、ベンラファキシンいずれも、ドパミンへの作用を有しており、仮説を支持するものと考えられます。
実際には主として前頭前野で低下したドパミン活性を抗うつ薬で改善し、精神病性に関わる中脳辺縁系のドパミン活性の亢進を抗精神病薬で改善させるという、脳全体のドパミン活性レベルの安定化が精神病性うつ病の改善につながっていると考えられます。
Olivaらの研究では、ボルチオキセチンが解析に組み込まれていなかったため、今回、あらためて単剤で精神病性うつ病の再発リスクの低下に関連していた結果は、各ガイドラインが抗うつ薬と抗精神病薬の併用を推奨する中において注目に値すると言えます。
