レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)の症状・診断・治療について

2024.03.18

症状

レストレスレッグス症候群は夕方から夜間にかけて、足がむずむずする症状が生じます。

夜間に悪化するため、不眠の原因になることがあります。

ムズムズする感以外にも以下のような症状が生じることがあります。

  • チクチクする(特に足裏)
  • 痛痒い
  • 熱感
  • 冷え
  • ビリビリする感 など

診断

日本神経治療学会では以下のように診断基準をもうけています。

  • 1) 脚を動かしたいという強い欲求が存在し、また通常その欲求が、不快な下肢の異常感覚に伴って生じる
  • 2) 静かに横になったり座ったりしている状態で出現、増悪する
  • 3) 歩いたり下肢を伸ばすなどの運動によって改善する
  • 4) 日中より夕方・夜間に増強する

疫学

有病率は約12%と報告されています。

男性と比較し女性でより発症率が多く、年齢が増すごとに発症率が増すとされています1)。

鉄欠乏性貧血(特にフェリチン値50µg/L未満)、パーキンソン病、心血管疾患、糖尿病、高血圧、うつ病等に併存することがわかっています2)。

近年は片頭痛、ADHDに併存しやすいことも報告されるようになっています3)、4)。

成人ADHDの約33%にレストレスレッグス症候群を、レストレスレッグス症候群の約17.4%に成人ADHDの併存が認められたことが報告されています4)、(図1)。

図1 ADHDとレストレスレッグス症候群の関連

また、妊娠、透析が発症リスクになることがわかっています5)、6)。

薬剤性のレストレスレッグス症候群では、以下の薬剤のリスクが高いことが指摘されています7)。

病因・病態

脳内では、黒質線条体、中脳辺縁系、中脳皮質神経路におけるドパミン神経伝達の機能的接合の低下がみられることが報告されています8)、(図2)。

図2 レストレスレッグス症候群の患者におけるドパミン機能的結合低下部位

この機能異常が感覚として、脊髄の背側部位の感覚ニューロンから腹側部位の運動ニューロンに伝達され、感覚運動障害としての症状が生じるとされています2)、(図3)。

図3 レストレスレッグス症候群の脊髄での病態

そして、ドパミンは概日リズム(体内時計)の光の調整を受けて、日中に増加し、夜間に低下します9)。

そのため、症状は夕~夜間に発生、悪化します。

鉄はドパミン合成の原料となるため、不足すると発症の原因となります。

抗精神病薬はドパミン受容体阻害がリスクとされています7)。

抗ヒスタミン薬はドパミン受容体阻害作用を有するため、発症要因となります10)。

抗うつ薬のミルタザピンは、強い抗ヒスタミン薬作用を有しており、レストレスレッグス症候群を高い確率で誘発します11)。

治療

鉄欠乏がある場合はまず、鉄剤を使用し、フェリチンの値が50μg/dlを超えるまで使用します2)。

飲酒・喫煙・カフェインは悪化因子のため、可能な範囲で軽減を図ります。

女性は月経があり、さらに眠気覚ましでエナジードリンクを飲むことがあり、悪化因子の重複に注意を払います。

腎疾患、糖尿病などは悪化因子となるため、治療によるコントロールが重要となります。

抗ヒスタミン薬は悪化因子となるため、第1世代抗ヒスタミン薬の使用は避け、なるべく第2世代抗精神病薬、中でも脳内ヒスタミンH1受容体占有性の低い、フェキソフェナジン(医薬品名:アレグラ)、ビラスチン(医薬品名:ビラノア)が推奨されます。

適度な運動、ぬるま湯につかることや、眠前の下肢のマッサージも効果的です。

治療薬は代表的なものに以下があります。

レストレスレッグス症候群に対する薬剤の有効性を比較した解析では以下の順に有効であることが報告されています12)、(図4)。

  • オキシコドン・ナロキソン合剤(日本未承認)
  • ガバペンチン(医薬品名:ガバペン)
  • プレガバリン(医薬品名:リリカ)
  • プラミペキソール(医薬品名:ビ・シフロール)
  • ロチゴチン(医薬品名:ニュープロパッチ)
  • 鉄剤
  • ガバペンチンエナカルビル(医薬品名:レグナイト)
  • ロピニロール(医薬品名:レキップ)
  • レボドパ(医薬品名:ネオドパストン、ネメシット(レボドパとカルビドパの合剤として))

図4 レストレスレッグス症候群に対する治療薬の有効性の比較

透析患者のレストレスレッグス症候群では、ビタミンCが有効であることが報告されています13)。

一般のプライマリーや睡眠専門外来では通常プラミペキソールが第1選択となることが多いです。

しかし、心療内科・精神科で抗精神病薬を使用している当事者の場合、作用が拮抗し、症状悪化につながるリスクがあるため、ガバペンチンエナカルビル徐放剤やクロナゼパムを使用します。

参考

  • 1) Nanayakkara B, et al.: Restless legs syndrome, Aust J Gen Pract, 52: 615-621, 2023.
  • 2) Trenkwalder C, et al.: Comorbidities, treatment, and pathophysiology in restless legs syndrome. Lancet Neurol, 17: 994-1005, 2018.
  • 3) Ghasemi H, et al.: The Prevalence of Restless Legs Syndrome in Patients with Migraine: A Systematic Review and Meta-Analysis. Pain Res Manag, 2020: 2763808, 2020.
  • 4) Migueis DP, et al.: Attention deficit hyperactivity disorder and restless leg syndrome across the lifespan: A systematic review and meta-analysis. Sleep Med Rev, 69: 101770, 2023.
  • 5) Chen SJ, et al.: Prevalence of restless legs syndrome during pregnancy: A systematic review and meta-analysis. Sleep Med Rev, 40: 43-54, 2018.
  • 6) Liu Y, et al.: Prevalence of restless legs syndrome in maintenance hemodialysis patients: A systematic review and meta-analysis. Sleep Med, 114: 15-23, 2024.
  • 7) Patatanian E, Claborn MK.: Drug-Induced Restless Legs Syndrome. Ann Pharmacother, 52: 662-672, 2018.
  • 8) Kocar TD, et al.: Differential functional connectivity in thalamic and dopaminergic pathways in restless legs syndrome: a meta-analysis. Ther Adv Neurol Disord, 13: 1756286420941670, 2020.
  • 9) Kim R, Reed MC.: A mathematical model of circadian rhythms and dopamine. Theor Biol Med Model, 18: 8, 2021.
  • 10) Arias-Montaño JA, et al.: Histamine H(3) receptor-mediated inhibition of depolarization-induced, dopamine D(1) receptor-dependent release of [(3)H]-gamma-aminobutryic acid from rat striatal slices. Br J Pharmacol, 133: 165-71, 2001.
  • 11) Kolla BP, et al.: The influence of antidepressants on restless legs syndrome and periodic limb movements: A systematic review. Sleep Med Rev, 38: 131-140, 2018.
  • 12) Zhou X, et al.: The Efficacy and Safety of Pharmacological Treatments for Restless Legs Syndrome: Systemic Review and Network Meta-Analysis. Front Neurosci, 15: 751643, 2021.
  • 13) Tang M, et al.: A network meta-analysis of the effectiveness and safety of drugs for restless legs syndrome in dialysis patients. Semin Dial, 35: 293-306, 2022.

執筆者

院長 宮本 浩司(みやもと こうじ)

院長 宮本浩司

川崎市・溝の口の心療内科・精神科
高津心音メンタルクリニック
・ 精神保健指定医
・ 日本精神神経学会認定専門医・指導医