公開日 2024.5.1
作用・特徴
苓桂朮甘湯はめまい、動悸、神経症などに使用されます(図1)。
図1 苓桂朮甘湯の作用と効果
めまいの改善効果が報告されています1)。
経験的に小児の起立性調節障害に用いられており、起立性障害に伴うめまいへの有効性も報告されています2)。
不安障害に対する有効性も報告されています3)。
使用目標(証)は、比較的体力の低下した人で、めまい、身体動揺感、たちくらみなどを訴える場合に用います。
- 1)息切れ、心悸亢進、頭痛、のぼせ、尿量減少などを伴う場合
- 2)心窩部に振水音を認める場合
とされています。
図2 苓桂朮甘湯の東洋医学的使用目標
苓桂朮甘湯は構成生薬の茯苓と桂皮が気持ちを落ち着かせ、めまいを改善し、桂皮と甘草が心血管を強化、循環血液量を増加させることにより起立性調節障害を改善させる作用が示唆されています2)、(図3)。
図3 苓桂朮甘湯の起立性調節障害とめまい改善効果の薬理作用
苓桂朮甘湯は以下の生薬から構成されています(図4)。
- 茯苓
- 桂皮
- 蒼朮
- 甘草
図4 苓桂朮甘湯の構成生薬
剤型
医薬品のツムラの漢方薬(39番)は1包顆粒2.5gとなっています(図5)。
図5 苓桂朮甘湯の剤型(ツムラ医療用)
効能・効果
めまい、ふらつきがあり、または動悸があり尿量が減少するものの次の諸症がみられます。
- 神経質
- ノイローゼ
- めまい
- 動悸
- 息切れ
- 頭痛
用法・用量[ツムラ苓桂朮甘湯(医療用)]
通常、成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前又は食間に内服します。
なお、年齢、体重、症状により適宜増減します。
副作用
頻度は不明ながら以下が挙げられています。
重大な副作用
- 偽アルドステロン症
- ミオパチー
- 肝機能障害、黄疸
その他の副作用
- 発疹
- 発赤
- そう痒
合方
苓桂朮甘湯と四物湯を合わせた処方は、のぼせ、冷え、めまい、頭痛などに有効で連珠飲の名で更年期障害等に使用されます。
連珠飲は江戸時代に日本で考案されました。
現在はドラッグストアでも、ルビーナ®の商品名等で販売されています。
参考
- 1) 安村 佐都紀.: めまいに対する漢方治療の有用性とその問題点. めまい平衡医学, 72: 254-256, 2013.
- 2) Sakata M, Egami H.: Successful treatment of orthostatic dysregulation with Japanese (Kampo) herbal medicine ryokeijutsukanto. Explore (NY), 17: 521-524, 2021.
- 3) 佐藤 泰昌, 他.: 不安障害に対する苓桂朮甘湯の頓服療法. 日本東洋心身医学研究, 27: 47-50, 2012.
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めまい、動悸、神経症などに使用されます。
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