作用・特徴
柴胡桂枝乾姜湯は体が弱く、冷え症で繊細な方の更年期障害、血の道症、神経症、不眠症などに効果があります(図1)。
図1 柴胡桂枝乾姜湯の効果
神経症などの心の不調だけでなく、かぜ症状が長引く時などの体の不調にも使用されることがあります。
心の不調に対しては、PTSDへの有効性も報告されています1)。
東日本大震災後にPTSDを発症した当時者の方が柴胡桂枝乾姜湯を内服したところ、2週間後にPTSD症状が改善したことが研究で報告されています1)、(図2)。
図2 柴胡桂枝乾姜湯のPTSDに対する効果
使用目標(証)は、比較的体力の低下した人で、顔色がすぐれず、疲労倦怠感があり、動悸、息切れ、不眠などの精神神経症状を伴う場合に用います(図3)。
- 1)心窩部より季肋下部にかけての軽度の苦満感を訴える場合
- 2)悪寒、微熱、盗汗、口渇などを伴う場合
とされています。
図3 柴胡桂枝乾姜湯の東洋医学的使用目標
柴胡桂枝乾姜湯はマウスに投与した際に、海馬で抗うつ、抗不安作用をもたらすセロトニンが上昇することが報告されています2)。
また、閉経後の更年期障害の女性に、柴胡桂枝乾姜湯で治療した際、うつ病発症に関与する炎症性サイトカインであるIL-6(インターロイキン6)が症状の改善とともに低下していたことが報告されています3)。
これらのことから、海馬でのセロトニンが増えることや、脳内で炎症性サイトカインのIL-6が減少することが、柴胡桂枝乾姜湯の抗うつ作用、抗不安作用に関与していると考えられます(図4)。
図4 柴胡桂枝乾姜湯の抗うつ作用・抗不安作用のメカニズム
柴胡桂枝乾姜湯は以下の生薬から構成されています(図5)。
- 柴胡(サイコ)
- 黄芩(オウゴン)
- 栝楼根(カロコン)
- 桂皮(ケイヒ)
- 牡蛎(ボレイ)
- 乾姜(カンキョウ)
- 甘草(カンゾウ)
図5 柴胡桂枝乾姜湯の構成生薬
剤型
医薬品のツムラの漢方薬(11番)は1包顆粒2.5gとなっています(図6)。
図6 柴胡桂枝乾姜湯の剤型(ツムラ医療用)
効能・効果
効能・効果は以下となっています。
体力が弱く、冷え症、貧血気味で、動悸、息切れがあり、神経過敏のものの次の諸症:
更年期障害、血の道症、神経症、不眠症
用法・用量[ツムラ柴胡桂枝乾姜湯(医療用)]
通常、成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前又は食間に内服する。なお、年齢、体重、症状により適宜増減するとなっています。
副作用
頻度は不明ながら以下が挙げられています。
重大な副作用
- 間質性肺炎
- 偽アルドステロン症
- ミオパチー
- 肝機能障害、黄疸
その他の副作用
参考
- 1) Numata T, et al.: Treatment of posttraumatic stress disorder using the traditional Japanese herbal medicine saikokeishikankyoto: a randomized, observer-blinded, controlled trial in survivors of the great East Japan earthquake and tsunami. Evid Based Complement Alternat Med, 2014:683293, 2014.
- 2) Itoh T, et al.: Effects of chaihu-guizhi-ganjiang-tang on the levels of monoamines and their related substances, and acetylcholine in discrete brain regions of mice. Am J Chin Med, 24: 53-64, 1996.
- 3) Ushiroyama T, et al.: Chai-hu-gui-zhi-gan-jiang-tang regulates plasma interleukin-6 and soluble interleukin-6 receptor concentrations and improves depressed mood in climacteric women with insomnia. Am J Chin Med, 33: 703-11, 2005.