ヒドロキシジン(アタラックスP)の特徴・作用・副作用

2025.09.05

特徴・作用

アタラックスPは不安や緊張を和らげる作用があります。

第1世代抗ヒスタミン薬という薬のジャンルに属します。

第1世代抗ヒスタミン薬はいずれも、多少の抗セロトニン作用をもっており、この作用により、抗不安作用がもたされていると考えられています1)、2)。

中でも、アタラックスPはセロトニン5-HT2A拮抗作用が強いことが、抗不安作用に寄与しているとされています3)。

また、第1世代抗ヒスタミン薬は眠気が強いとともに、抗コリン作用という副作用ももっていますが、アタラックスPは抗コリン作用が少ない特徴があります4)。

図1 第1世代抗ヒスタミン薬のムスカリンM・ヒスタミンH1受容体阻害の強さの比較

体内で代謝され活性を有する代謝産物にセチリジンがあり、ジルテックの商品名で抗アレルギー薬として販売されました。

その後、セチリジン(ジルテック)から、レボセチリジン(ザイザル)が開発されました。

図2 アタラックスP・ジルテック・ザイザルの化学構造式

効能・効果

保険承認における効能・効果は以下となっています。

  • 蕁麻疹、皮膚疾患に伴う瘙痒(湿疹・皮膚炎、皮膚瘙痒症)
  • 神経症における不安・緊張・抑うつ

アタラックスPは古くから、一時的な不眠症の治療にも使用されることがありましたが、現在、PTSDの睡眠障害に有効であることが報告されています5)。

用法・用量

皮膚科領域には、ヒドロキシジンパモ酸塩として、通常成人1日85~128mg(ヒドロキシジン塩酸塩として50~75mg)を2~3回に分割内服する。

神経症における不安・緊張・抑うつには、ヒドロキシジンパモ酸塩として、通常成人1日128~255mg(ヒドロキシジン塩酸塩として75~150mg)を3~4回に分割内服する。
なお、年齢、症状により適宜増減するとなっています。

剤型

剤型は25mgカプセル、50mgカプセル、シロップ、散剤、注射液があります。

図3 アタラックスPカプセルの剤型

薬物動態

アタラックスPを0.7mg/kg内服した際の血中濃度は、約2.1時間後に最高濃度に達し、約20時間後に半減します。

図4 アタラックスPを0.7mg/kg内服した際の血中濃度の推移

禁忌

以下の患者さんは禁忌となっています。

  • 本剤の成分、セチリジン、ピペラジン誘導体、アミノフィリン、エチレンジアミンに対し過敏症の既往歴のある患者さん
  • ポルフィリン症の患者さん
  • 妊婦又は妊娠している可能性のある女性さん

副作用

1%以上の副作用では、眠気と倦怠感が報告されています。

以下の患者さんでは症状が悪化することがあり注意を要します。

  • てんかん等の痙攣性疾患、又はこれらの既往歴のある患者さん(痙攣閾値を低下させることがあるため。)
  • QT延長のある患者(先天性QT延長症候群等)、著明な徐脈や低カリウム血症等がある患者さん(QT延長、心室頻拍(torsade de pointesを含む)を起こすことがあるため。)
  • 前立腺肥大等下部尿路に閉塞性疾患のある患者さん
  • 重症筋無力症の患者さん
  • 認知症の患者さん
  • 狭窄性消化性潰瘍又は幽門十二指腸閉塞等消化管運動が低下している患者さん
  • 不整脈を発現しやすい状態にある患者さん(本剤の抗コリン作用により症状が悪化するおそれがあるため。)

文献

  • 1) Rogóz Z, et al.: The effect of the antihistaminic drugs on the central action of 5-hydroxytryptophan in mice. Pol J Pharmacol Pharm, 33: 459-65, 1981.
  • 2) Dowben JS, et al.: Biological perspectives: hydroxyzine for anxiety: another look at an old drug. Perspect Psychiatr Care, 49: 75-7, 2013.
  • 3) Pańczyk K, et al.: Synthesis and activity of di- or trisubstituted N-(phenoxyalkyl)- or N-{2-[2-(phenoxy)ethoxy]ethyl}piperazine derivatives on the central nervous system. Bioorg Med Chem Lett, 28: 2039-2049, 2018.
  • 4) Kubo N, et al.: Antimuscarinic effects of antihistamines: quantitative evaluation by receptor-binding assay. Jpn J Pharmacol, 43: 277-82, 1987.
  • 5) Zhao YF, et al.: Psychotherapeutic, pharmacological and other active interventions from the NICE guideline for post-traumatic stress disorder with sleep disorder: systematic review and meta-analysis. BMC Psychiatry, 25: 699, 2025.

執筆者

院長 宮本 浩司(みやもと こうじ)

院長 宮本浩司

川崎市・溝の口の心療内科・精神科
高津心音メンタルクリニック
・ 精神保健指定医
・ 日本精神神経学会認定専門医・指導医