公開日 2023.10.10
作用・特徴
ズラノロン(Zuranolone)はGABAA受容体に作用し、GABAのシグナル伝達を促進することで抗うつ作用を発揮する新しいメカニズムの抗うつ薬です1)、(図1)。
図1 ズラノロンの作用機序
作用機序からGABAA受容体ポジティブアロステリックモジュレーターと呼ばれています。
内服3日目から効果が得られる即効性と忍容性に優れている利点を有しています2)、(図2)。
図2 ズラノロンの効果発現(米国第Ⅲ相試験)
産後うつ病への効果も示されたことから3)、(図3)、2023年8月4日米国FDAは初の産後経口抗うつ薬として、ズラノロン(販売名:Zurzuvae)を承認しました。
図3 ズラノロン:米国産後うつ Phase3試験
日本では、うつ病に対する治験第Ⅲ相が進行中です。
進捗状況は順調で早い段階での承認が期待されています。
開発経緯
ズラノロンは内因性神経ステロイドのアロプレグナロンから開発されました(図4)。
図4 アロプレグナロンとズラノロンの化学構造式
アロプレグナロン自体は、すでに米国でbrexanolone(販売名:zulresso)の医薬品名で点滴薬の産後うつ病の治療薬として、2019年に承認を得ています。
用法・用量
米国では産後うつ病に対し、脂肪分を含む食事とともに1日1回夕に50mgを14日間内服することとなっています。
従来の抗うつ薬のように投与量や投与期間の調節の必要がない特徴を有しています。
薬物動態
ズラノロン30mgを内服した際の血中濃度は、約5時間後に最高濃度に達し、約14時間後に半減します4)。
図5 ズラノロン10、20、30mgを内服した際の血中濃度の推移
副作用
主な副作用は以下が報告されています3)、(図6)。
- 眠気(36%)
- めまい(13%)
- 下痢(6%)
- 疲労(5%)
- 尿路感染症(5%)
- 記憶障害(3%)
- 腹痛(3%)
図6 ズラノロンの主な副作用
参考
- 1) Cutler AJ, et al. : Understanding the mechanism of action and clinical effects of neuroactive steroids and GABAergic compounds in major depressive disorder. Transl Psychiatry, 13 : 228, 2023.
- 2) Clayton AH, et al. : Zuranolone for the Treatment of Adults With Major Depressive Disorder: A Randomized, Placebo-Controlled Phase 3 Trial. Am J Psychiatry, 180 : 676-684, 2023.
- 3) Deligiannidis KM, et al. : Zuranolone for the Treatment of Postpartum Depression. Am J Psychiatry, 180 : 668-675, 2023.
- 4) Sonoyama T, et al. : Pharmacokinetics, safety, and tolerability of single and multiple doses of zuranolone in Japanese and White healthy subjects: A phase 1 clinical trial. Neuropsychopharmacol Rep, 43 : 346-358, 2023.
- 頭が働かない
- 寝つきが悪い
- やる気が起きない
- 不安で落ち着かない
- 朝寝坊が多い
- 人の視線が気になる
- 職場に行くと体調が悪くなる
- 電車やバスに乗ると息苦しくなる
- うつ病
- 強迫性障害
- 頭痛
- 睡眠障害
- 社会不安障害
- PMDD(月経前不快気分障害)
- パニック障害
- 適応障害
- 過敏性腸症候群
- 心身症
- 心的外傷後ストレス障害
- 身体表現性障害
- 発達障害
- ADHD(注意欠如・多動症)
- 気象病・天気痛
- テクノストレス
- バーンアウト症候群
- ペットロス(症候群)
- 更年期障害
- 自律神経失調症