初診はお電話でのご予約のみ
044-455-7500アンヘドニア(anhedonia)とは、「楽しい」、「うれしい」、「やってみたい」といった喜びや意欲を感じにくくなる症状です。
うつ病や双極症では代表的な症状の一つであり、
などとして現れます。
アンヘドニアは、一般的な抗うつ薬では十分に改善しないことも多く、生活の質や社会復帰に大きく影響する症状として注目されています。
プラミペキソールは、ドパミン受容体作動薬に分類される薬です。
日本では
の治療薬として承認されています。
一方、近年では脳の「報酬系(ご褒美を感じる神経回路)」を活性化する作用から、うつ病のアンヘドニア改善にも期待されています。
アンヘドニアでは、脳の報酬系、とくに
の働きが低下していると考えられています。
プラミペキソールは、この回路に多く存在するドパミンD3受容体を刺激することで、
を改善する可能性があります。
2026年、Nature Medicineに掲載されたランダム化比較試験では、
でアンヘドニアが強い患者82名を対象に、
プラミペキソール追加治療とプラセボを9週間比較しました。
アンヘドニアを評価するSHAPS(Snaith-Hamilton Pleasure Scale)では、
プラミペキソール群はプラセボ群よりも有意にアンヘドニアが改善しました(図1)。
さらに、この改善は6か月後まで維持されていました。
図1

研究では、患者に活動量計(加速度計)を装着してもらい、日常生活の活動量も客観的に評価しました。
その結果、
プラミペキソールを服用した患者では、
が有意に増加しました。
つまり、「気分が良くなった」と感じるだけではなく、実際の行動量も増えたことが確認されました。
研究では7テスラMRIを用いて脳活動も調べました。
その結果、プラミペキソール群では、報酬を期待したときに働く腹側線条体の活動が保たれていました。
これは、ドパミン系が実際に活性化され、アンヘドニア改善につながった可能性を示しています。
プラミペキソールは概ね安全に使用できました。
比較的多くみられた副作用は、
などでした。また、一部で
がみられたため、使用中は医師による十分な経過観察が必要です。
今回の研究では、プラミペキソールはアンヘドニアに対して有効であることが示されました。
さらに、
まで確認された初めての質の高い臨床試験となりました。
従来の抗うつ薬では改善しにくいアンヘドニアに対して、新たな治療選択肢となる可能性があります。
ただし、プラミペキソールは日本ではうつ病に対して承認されていない適応外使用であり、使用する場合は有効性と副作用について十分に説明を受け、精神科医の管理のもとで慎重に治療をうけることが必要です。
Ventorp F, et al.: Efficacy and target engagement of dopamine agonist pramipexole for anhedonic depression: a randomized placebo-controlled trial. Nat Med, 2026.
