ADHDの食事・栄養療法について

近年、栄養面から精神疾患の治療や予防を試みる精神栄養学が注目を浴びています。

ADHDについても種々の報告がなされており、最新の報告を概説致します。

朝食とADHDの関係

2024年4月、朝食を抜くとうつ病、ADHD発症のリスクが増加するという研究データが報告されました1)。

うつ病はオッズ比1.56、ADHDはオッズ比2.89の結果でした。

食事内容・パターンとADHDの関係

食事内容・パターンとADHDの関連については、多くの調査、報告がなされています。

野菜、果物、豆類、魚を多く含む健康的な食事内容はADHDの発症リスクを37%減少させることが報告されています2)。

一方、ジャンクフードはADHD症状と関連していることが報告されています2)、3)(図1)。

図1 食事内容とADHD症状の関連

ジャンクフードは、お菓子・キャンディー、甘味飲料・ソフトドリンク、その他のジャンクフードの順にリスクが高いことが報告されています3)、(図2)。

図2 ADHD症状と関連するジャンクフード

抗酸化物質とADHDの関係

抗酸化物質とは、活性酸素の過剰な発生を抑制したり、除去する物質のことです。

活性酸素の過剰な産生は、神経細胞の損傷や老化に関係しているとされています。

主要なADHDの神経伝達経路は、酸化物質のレベルに影響を受けるとされており、酸化ストレスはADHDの発症リスク要因とされています4)。

そのため、抗酸化物質による治療が効果をもたらす可能性が示唆されていました。

2024年3月、Zhouらは、児童思春期のADHDに対する抗酸化物質の有効性と安全性の比較の解析を報告しています5)。

報告では、コナーズの親評価尺度の合計スコアの改善には以下の抗酸化物質が有効な結果でした(図3)。

  • ビタミンD
  • ホスファチジルセリン+オメガ3不飽和脂肪酸
  • オメガ3+6不飽和脂肪酸
  • オメガ3不飽和脂肪酸
  • アセチルL-カルニチン
  • オメガ6不飽和脂肪酸

図3 ADHD症状に有効な抗酸化物質

ビタミンDは青魚やキノコ類に多く含まれています。

オメガ3不飽和脂肪酸も青魚に多く含まれています。

ホスファチジルセリンは鳥レバー、牛レバー、魚に含まれています。

普段の食事に魚料理を多く取り入れることは、ADHDの食事療法としてメリットがあるといえます。

ただし、高尿酸血症の持病がある場合、魚を多くとると尿酸値が上がってしまうので注意が必要です。

ミネラルとADHDの関係

ミネラルの中で、ADHD当事者の血清マグネシウム濃度及び、児童のADHDの毛髪のマグネシウム濃度が低いことが報告されています6)、7)。

マグネシウムの補給はADHD症状改善の可能性が示唆されています8)。

マグネシウムはナッツやバナナ、魚介類に多く含まれています。

ビフィズス菌とADHDの関係

ニューロダイバージェントでは、腸内細菌叢の変化の関与が指摘されています9)。

ビフィズス菌をADHD当事者に補充することにより、注意力の改善がみられたことが報告されています10)、(図4)。

図4 ビフィズス菌摂取によるADHDの注意力改善効果

先行研究、今回の研究は、ビフィズス菌Bf-688株を用いたものですが、ビフィズス菌入りのヨーグルトを食事に取り入れることは、有効と考えられます。

これらの結果から、ジャンクフードの摂取を控え、健康的な食事を増やすことは、ADHDの症状改善に有効であり、できるところから取り組んでみることをおすすめします。

おひとりで悩んでいませんか?

ミス、不注意等で生活や仕事に支障をきたしている場合は、早めに心療内科・精神科に相談することをおすすめします。

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参考

  • 1) Zhang Z, et al.: Associations between breakfast skipping and outcomes in neuropsychiatric disorders, cognitive performance, and frailty: a Mendelian randomization study. BMC Psychiatry, 24: 252, 2024.
  • 2) Shareghfarid E, et al.: Empirically derived dietary patterns and food groups intake in relation with Attention Deficit/Hyperactivity Disorder (ADHD): A systematic review and meta-analysis. Clin Nutr ESPEN, 36:28-35, 2020.
  • 3) Khazdouz M, et al.: The association between junk foods consumption and attention deficit hyperactivity disorder in children and adolescents: a systematic review and meta-analysis of observational studies. Eur Child Adolesc Psychiatry, 2024.
  • 4) Visternicu M, et al.: Investigating the Impact of Nutrition and Oxidative Stress on Attention Deficit Hyperactivity Disorder. Nutrients, 16: 3113, 2024.
  • 5) Zhou P, et al.: Safety and efficacy of antioxidant therapy in children and adolescents with attention deficit hyperactivity disorder: A systematic review and network meta-analysis. PLoS One, 19: e0296926, 2024.
  • 6) Effatpanah M, et al.: Magnesium status and attention deficit hyperactivity disorder (ADHD): A meta-analysis. Psychiatry Res, 274:228-234, 2019.
  • 7) Huang YH, et al.: Significantly lower serum and hair magnesium levels in children with attention deficit hyperactivity disorder than controls: A systematic review and meta-analysis. Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry. 90:134-141, 2019.
  • 8) Abhishek F, et al.: Dietary Interventions and Supplements for Managing Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder (ADHD): A Systematic Review of Efficacy and Recommendations. Cureus, 16: e69804, 2024.
  • 9) Caputi V, et al.: Functional contribution of the intestinal microbiome in autism spectrum disorder, attention deficit hyperactivity disorder, and Rett syndrome: a systematic review of pediatric and adult studies. Front Neurosci, 18:1341656, 2024.
  • 10) Wang LJ, et al.: Add-On Bifidobacterium Bifidum Supplement in Children with Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder: A 12-Week Randomized Double-Blind Placebo-Controlled Clinical Trial. Nutrients, 16: 2260, 2024.

執筆者

院長 宮本 浩司(みやもと こうじ)

院長 宮本浩司

川崎市・溝の口の心療内科・精神科
高津心音メンタルクリニック
・ 精神保健指定医
・ 日本精神神経学会認定専門医・指導医