トルデスベンラファキシン(日本未承認薬)の特徴・作用・副作用について

特徴

トルデスベンラファキシンはセロトニン、ノルアドレナリン、ドパミンの再取り込み阻害作用を有し、3重の作用で抗うつ作用を発揮する抗うつ薬です。

トリプル再取り込み阻害剤(Triple reuptake inhibitor :TRI)または、SNDRI(セロトニン・ノルアドレナリン・ドパミン再取り込み阻害剤:Serotonin-Noradrenaline- Dopamine Reuptake Inhibitors)と呼ばれています。

2022年11月に中国でうつ病の治療薬として承認されました(図1)

図1 トルデスベンラファキシンの剤型

セロトニン、ノルアドレナリン、ドパミンに同時に作用することで即効性があり、認知機能の改善やSSRI、SNRIで問題となる性機能障害が軽減されています1)。

トルスデスベンラファキシンは、ベンラファキシン、デスベンラファキシンと一部同一の構造を有します(図2)。

図2 ベンラファキシン・デスベンラファキシン・トルデスベンラファキシンの化学構造式

ベンラファキシンと同様に、代謝されデスベンラファキシンに変換されます。

プラセボとの比較で、8週目に有意差がつきましたが、寛解率が高い結果でした2)、(図3)。

図3 トルデスベンラファキシンの抗うつ効果

トルデスベンラファキシン80mgの反応率(レスポンス)は約80%と非常に優れており、プラセボの約42.4%を大きく上回りました。

ベンラファキシンの反応率が48%-65%、ボルチオキセチンの反応率が46.3% ~51.6%とされていることからも、その有効性がわかります2)。

作用機序

トルデスベンラファキシンはシナプス前ニューロンのセロトニン・ノルアドレナリン・ドパミン再取り込みトランスポーターの働きを阻害し、シナプス間隙のセロトニン、ノルアドレナリン、ドパミン濃度を高めることにより抗うつ作用を発揮します3)、(図4)。

図4 トルデスベンラファキシンの作用機序

ベンラファキシンはわずかにドパミン再取り込み阻害作用を有していることが知られていますが、ベンラファキシンと比較するとトルデスベンラファキシンのSNDRI作用がより明確にわかります3)、(図5)。

図5 SNDRI作用 ベンラファキシンVSトルデスベンラファキシン

うつ病では症状の1つとして、アンドニア(快感や快楽を失ってしまう状態)が生じることがあります。

アンドニアは、脳の線条体(特に左被殻)という部位の機能障害が関与しているとされています4)、(図6)。

図6 アンドニア患者の脳PET画像

トルデスベンラファキシンは、線条体のドパミントランスポーターに結合し、ドパミン活性を高め、アンドニアの改善効果を示すと考えられています5)、(図7)。

図7 トルデスベンラファキシン服用時の脳PET画像

アンドニアはうつ病改善後の残遺症状としても知られ、当事者のリカバリーを遅らせる要因となります6)。

また、若年うつ病では自殺念慮にも関与するため7)、アンドニア症状は、休職者や希死念慮を有するうつ病の治療において、より重視する必要があります。

副作用

治験第3相試験では、トルデスベンラファキシン80mg内服群の約59.2%に副作用を認め、主なものは以下図8でした。

図8 トルデスベンラファキシンの主な副作用

気力低下や今まで楽しめていたことが楽しめない感覚が生じている場合は、早めの心療内科・精神科への受診をおすすめします。まずはかかりつけ内科等で相談するもの1つの方法です。

文献

  • 1)Zhu H, et al.: Pharmacological Characterization of Toludesvenlafaxine as a Triple Reuptake Inhibitor. Front Pharmacol, 12: 741794, 2021.
  • 2)Mi W, et al.: A phase 3, multicenter, double-blind, randomized, placebo-controlled clinical trial to verify the efficacy and safety of ansofaxine (LY03005) for major depressive disorder. Transl Psychiatry, 13: 163, 2023.
  • 3)Vasiliu O.: Efficacy, Tolerability, and Safety of Toludesvenlafaxine for the Treatment of Major Depressive Disorder-A Narrative Review. Pharmaceuticals (Basel), 16: 411, 2023.
  • 4)Phillips RD, et al.: Striatal dopamine in anhedonia: A simultaneous [(11)C]raclopride positron emission tomography and functional magnetic resonance imaging investigation. Psychiatry Res Neuroimaging, 333: 111660, 2023.
  • 5)Huang Z, et al.: PET/CT study of dopamine transporter (DAT) binding with the triple reuptake inhibitor toludesvenlafaxine in rats and humans. Eur J Nucl Med Mol Imaging, 51: 2638-2648, 2024.
  • 6)Geugies H, et al.: Impaired reward-related learning signals in remitted unmedicated patients with recurrent depression. Brain, 142: 2510-2522, 2019.
  • 7)Cai H, et al.: Suicide ideation and anhedonia among clinically stable adolescents with the recurrent depressive disorder during the COVID-19 pandemic: A network perspective. J Affect Disord, 324: 317-324, 2023.

執筆者

院長 宮本 浩司(みやもと こうじ)

院長 宮本浩司

川崎市・溝の口の心療内科・精神科
高津心音メンタルクリニック
・ 精神保健指定医
・ 日本精神神経学会認定専門医・指導医