エスゾピクロン(ルネスタ)の効果・作用・副作用

作用・特徴

ルネスタは入眠困難、中途覚醒、熟眠障害に効果があります1)。

ゾルピデム(先発医薬品名:マイスリー)は入眠作用に優れていますが、ルネスタは作用時間を延長させることにより、中途覚醒にも効果があります(図1)。

図1 ゾルピデムとエスゾピクロンの血中濃度の推移

翌日の眠気が生じる副作用が少なく、日中の覚醒度がたかまる効果があります2)。

うつ病へも効果があることもわかっています3) 。

抗うつ薬との併用で、うつ病治療の改善効果が高まることが報告されています4)、(図2)。

図2 SSRI+エスゾピクロンによるうつ病治療の増強効果

耐性形成のリスクは低いことが報告されています5)。

ルネスタはゾピクロン(先発医薬品:アモバン)をベースに開発された薬剤です。

正確にはラセミ体であるゾピクロンを光学分割して得られたS体の製剤です(図3)。

図3 アモバンとルネスタの化学構造式

アモバンとの血中濃度の推移を比較すると、作用時間がゆるやかに延長していることがわかります(図4)。

図4 ゾピクロンとエスゾピクロンの血中濃度の推移

エスゾピクロンは中枢神経系のGABAA受容体複合体のベンゾジアゼピン結合部位に結合し、GABAによる塩化物イオンの神経細胞内への流入を促進することにより、GABAの作用を増強することにより、睡眠を促します(図5)。

図5 エスゾピクロン(ルネスタ)の作用機序

効能・効果

保険承認における効能・効果は不眠症となっています。

用法・用量

通常、成人では1回2mgを、高齢者では1回1mgを就寝前に内服する。なお、症状により適宜増減するが、成人では1回3mg、高齢者では1回2mgを超えないこととするとなっています。

剤型

剤型は1mg錠、2mg錠、3mg錠があります(図6)。

図6 エスゾピクロン(ルネスタ)の剤型

薬物動態

ルネスタを1回1mg内服した際の血中濃度は、約1.25時間に最高血中濃度に達し、約5時間後に血中濃度は半減します。

ルネスタを1回2mg内服した際の血中濃度は、約1時間に最高血中濃度に達し、約5時間後に血中濃度は半減します。

ルネスタを1回3mg内服した際の血中濃度は、約1.5時間に最高血中濃度に達し、約5.2 時間後に血中濃度は半減します(図7)。

図7 エスゾピクロン(ルネスタ)の血中濃度の推移

ルネスタ3mgを絶食時と摂食後に内服した場合、絶食時では血中濃度は、約0.5時間に最高血中濃度に達しますが、摂食後では3時間で約2.5時間の遅延が認められました。

また、血中濃度も約30%低下が認められました(図8)。

図8 絶食時と摂食後内服におけるエスゾピクロン(ルネスタ)3mgの血中濃度の推移

エスゾピクロンは主に肝臓に代謝され、代謝にはCYP3A4及びCYP2E1が関与していることが示されています6)。

副作用

国内臨床試験で報告された1%以上の副作用は以下があります(図9)。

  • 味覚異常(36.3%)
  • 傾眠(3.7%)
  • 頭痛(2.2%)
  • 口渇(1.8%)
  • 浮動性めまい(1.2%)
  • 不眠症(1.2%)

図9 エスゾピクロン(ルネスタ)の副作用

よくいただくだくご質問

マイスリーとルネスタの違いは何ですか?

マイスリーは入眠困難に効果的です。

ルネスタはマイスリーより入眠困難への作用は弱いです。しかし、中途覚醒に対しても効果があることと、睡眠の質への効果が高く、より“ぐっすり眠れた感”を得ることができます7)、(図10)。

図10 マンスリーとルネスタの睡眠の質の比較

ルネスタとデエビゴの違いは何ですか?

ルネスタは抑制系神経伝達(GABA)の作用を強めることにより睡眠を促します。

デエビゴは覚醒系の神経伝達物質(オレキシン)をブロックすることによる睡眠を促します(図11)。

図11 ルネスタとデエビゴの作用機序の違い

入眠作用も中途覚醒に対する作用もデエビゴの方が効果が強いです。

しかし、ルネスタは睡眠の質が得意であり、ルネスタの方が合うという方もいます。

ルネスタの苦みはなぜ生じるのですか?

エスゾピクロン中の苦味化合物が、経口経路と血液経路の両方を介して味覚障害を引き起こすと考えられています。

味を感じる味蕾は、唾液に溶けて味孔に入る薬剤の影響だけでなく、「血管内味覚」と呼ばれる現象である、毛細管拡散を介して味蕾を刺激する薬剤の影響も受けます。

エスゾピクロンは、この両者の影響をうけると考えられています7)。

苦みへの対策などはありますか?

うがいをしたり、口をゆすぐことで副作用を軽減できます。

おひとりで悩んでいませんか?

不眠症状がある場合は、我慢せず早めの心療内科・精神科への受診をおすすめします。
まずはかかりつけ内科等で相談するもの1つの方法です。

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文献

  • 1) Uchimura N, et al.: Effects of eszopiclone on safety, subjective measures of efficacy, and quality of life in elderly and nonelderly Japanese patients with chronic insomnia, both with and without comorbid psychiatric disorders: a 24-week, randomized, double-blind study. Ann Gen Psychiatry, 11: 15, 2012.
  • 2) Zhou M, et al.: Effects of new hypnotic drugs on cognition: A systematic review and network meta-analysis. Sleep Med X, 6:100094, 2023.
  • 3) Palagini L, et al.: Effects of Approved Pharmacological Interventions for Insomnia on Mood Disorders: A Systematic Review. Clin Neuropsychiatry, 21: 385-402, 2024.
  • 4) Fava M, et al.: Eszopiclone co-administered with fluoxetine in patients with insomnia coexisting with major depressive disorder. Biol Psychiatry, 59: 1052-60, 2006.
  • 5) Monti JM, Pandi-Perumal SR.: Eszopiclone: its use in the treatment of insomnia. Neuropsychiatr Dis Treat, 3: 441-53, 2007.
  • 6) Greenblatt DJ, Zammit GK.: Pharmacokinetic evaluation of eszopiclone: clinical and therapeutic implications. Expert Opin Drug Metab Toxicol, 8: 1609-18, 2012.
  • 7) Doty RL, et al.: A double-blind study of the influences of eszopiclone on dysgeusia and taste function. Pharmacol Biochem Behav, 94: 312-8, 2009.

執筆者

院長 宮本 浩司(みやもと こうじ)

院長 宮本浩司

川崎市・溝の口の心療内科・精神科
高津心音メンタルクリニック
・ 精神保健指定医
・ 日本精神神経学会認定専門医・指導医