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044-455-7500「自分はどうして人に気を遣いすぎてしまうのだろう?」
「つい自分にも他人にも厳しくなってしまう」
「感情よりも、まず理屈で考えることが多い」
このような考え方や感じ方、行動のパターンには、人それぞれ特徴があります。
こうした特徴を理解するために用いられる心理検査の一つが、東大式エゴグラム(TEG:Tokyo University Egogram)です。
現在使用されている新版TEG3では、私たちの心の働きを5つの「自我状態」という観点から評価し、そのバランスから性格特性や行動パターンを理解していきます。
TEGは、精神科医Eric Berne(エリック・バーン)が創始した交流分析(Transactional Analysis)の考え方をもとに、日本で開発された自己記入式の性格検査です。
現在の新版TEG3は、東京大学医学部心療内科TEG研究会によって開発され、2019年に刊行されました。
TEGの特徴は、
「あなたは○○タイプの性格です」と一つのタイプに決めるのではなく、5つの自我状態の強さとバランスから、その人の特徴を考える
ところにあります。
新版TEG3では、次の5つを評価します。
| 自我状態 | 主な特徴 |
| CP(Critical Parent) | 規律、責任感、厳しさ、価値判断 |
| NP(Nurturing Parent) | 思いやり、共感、受容、養育性 |
| A(Adult) | 論理性、客観性、合理的・現実的判断 |
| FC(Free Child) | 自由さ、自発性、好奇心、感情表現 |
| AC(Adapted Child) | 協調、順応、我慢、周囲への配慮 |

ここで大切なのは、どの自我状態が高ければ良い、低ければ悪い、という検査ではないということです。
それぞれについてもう少し詳しく見てみましょう。
CPは、規則、責任、倫理観、厳しさなどに関係する自我状態です。
CPが高い人では、
といった考え方を重視する傾向があります。
責任感や信念の強さとして現れることがある一方、状況によっては自分や他人に厳しくなりやすいという側面として現れることもあります。
NPは、思いやり、共感、受容、他者への配慮などに関係します。
困っている人を見ると助けたくなる、人の気持ちを考えて行動するといった傾向を理解する手がかりになります。
一方で、一つの得点だけで性格を判断するのではなく、他の自我状態とのバランスを見ることが重要です。
Aは、
と、情報を整理しながら判断する側面です。
論理性、客観性、合理性、現実的判断などに関係します。
感情や価値観だけで判断するのではなく、事実を確認しながら考えようとする特徴を表します。
FCは、自発性、好奇心、創造性、感情表現などに関係します。
といったように、自分の感情や欲求を比較的自由に表現する側面です。
活動性や創造性につながることがある一方、その現れ方は他の尺度との組み合わせによって異なります。
ACは、周囲の期待やルールに合わせようとする側面です。
協調性や順応性、我慢、周囲への配慮などとして表れることがあります。
一方、
と考えやすいなど、状況によっては自分の気持ちを抑えて周囲に合わせる傾向として現れることもあります。
TEGでは、一つの得点だけを見るのではありません。
例えば、
CP ■■■■■■■■
NP ■■■■■■
A ■■■■■■■
FC ■■■■
AC ■■■■■■■■■
というように5尺度をプロフィールとして表し、その全体的な形(エゴグラム)を見ていきます。
同じ「ACが高い」という結果であっても、CP、NP、A、FCとの組み合わせによってプロフィール全体の意味は変わります。
したがって、
「CPが高いから○○な性格」
と一つの数値だけで決めつけるのではなく、5つの自我状態のバランスを総合的に考えることが重要です。
新版TEG3の紙版は、53項目からなる自己記入式質問紙です。
質問について、
「はい」
「どちらでもない」
「いいえ」
から回答していきます。
概要をまとめると次のようになります。
| 新版TEG3 | |
| 検査の種類 | 質問紙法による性格検査 |
| 理論的背景 | 交流分析 |
| 項目数 | 53項目(紙版) |
| 評価する自我状態 | CP・NP・A・FC・AC |
| 回答時間 | 約10分 |
| 適用年齢 | 16歳以上 |
| 主な目的 | 性格特性・行動パターンの理解 |
| 精神疾患の確定診断 | できない |
比較的短時間で回答できることもTEG3の特徴です。
TEGは長年使用されてきた検査で、
TEG初版 → 新版TEG → 新版TEG II → 新版TEG3
と改訂されてきました。
新版TEG3では、検査項目の検討に**項目反応理論(IRT:Item Response Theory)**が導入されています。
また、オンライン版ではIRTを利用したCAT(Computerized Adaptive Testing:コンピュータ適応型テスト)も採用されています。
CATでは回答に応じて次に提示する項目を調整することで、より効率的に測定することが可能になります。
心理検査では、単に得点を計算するだけではなく、回答結果を適切に解釈できるかを確認することも大切です。
新版TEG3には5つの自我状態に加えて、回答の妥当性を検討するためのL尺度やQ尺度があります。
例えば「どちらでもない」という回答が極端に多い場合などには、プロフィールをそのまま解釈してよいのか慎重に検討する必要があります。
つまり、
結果の数字だけを見るのではなく、どのように回答したかも含めて解釈する
ことが重要です。
新版TEG3だけで精神疾患を診断することはできません。
例えば、
「ACが高いからうつ病」
「FCが低いから発達障害」
と判断することはできません。
新版TEG3はあくまで性格特性や行動パターンについて理解するための心理検査です。
精神科・心療内科における診断では、現在の症状だけでなく、これまでの経過、生活状況、診察・面接、必要に応じた他の心理検査などを総合して判断します。
新版TEG3を受けたときに、
「私はAC型の人間なんだ」
「FCが低いから性格に問題があるんだ」
と考える必要はありません。
人の心理や行動はそれほど単純ではありません。
また、性格や行動の現れ方は、家庭、職場、人間関係、そのとき置かれている環境やストレスなどによっても変化します。
新版TEG3は人を一つのタイプに分類するためではなく、
などを考えるための自己理解の手がかりとして利用することが大切です。
新版TEG3(東大式エゴグラム)は、交流分析の考え方をもとに、
という5つの自我状態を評価する自己記入式の性格検査です。
一つの尺度だけで性格を判断するのではなく、5つの自我状態のバランスをプロフィールとして捉えることが大きな特徴です。
また、TEG3は病気を診断するための検査ではありません。
自分の考え方、感じ方、対人関係や行動の傾向を振り返り、自分自身への理解を深めるための一つの手がかり
と考えると分かりやすいでしょう。
心理検査は「あなたはこういう人です」と決めるためのものではなく、自分自身について新しい視点から考えるきっかけとして活用することが大切です。
当院のコラムは、一般的な医療情報の提供を目的として掲載しております。コラムの内容に関する個別のご相談やご質問につきましては、診察を行わずに医学的な判断をすることが難しいため、当院に通院されていない方への個別の回答はいたしかねます。何卒ご理解くださいますようお願いいたします。
