カルバマゼピン(テグレトール)の特徴・作用・副作用

作用・特徴

カルバマゼピン(先発医薬品:テグレトール)はてんかん発作、双極性障害の躁状態、三叉神経痛を改善する効果を有する薬です。

カルバマゼピンは1957年にSchindlerにより開発されました。

もともとSchindlerは三環系抗うつ薬のイミプラミン(トフラニール)に似た三環系化合物の合成を行っており、そこからカルバマゼピンを開発しました。

そのため、三環系抗うつ薬のイミプラミン(トフラニール)とカルバマゼピンは似た化学構造式となっています(図1)。

図1 イミプラミンとカルバマゼピンの化学構造式

てんかんでは、部分てんかんの第1選択薬の一つとして挙げられています1)、2)。

双極性障害の急性期の躁状態への有効性も認められていますが、現在は急性期以降の病相安定や副作用も考慮して第1選択薬とはなっていません3)、4)。

三叉神経痛に対する有効性が認められおり、第1選択薬に推奨されています5)~7)。

カルバマゼピンは、主として神経細胞の電位依存性ナトリウムチャネルを遮断することにより神経の興奮を抑制し、てんかん発作・三叉神経痛を改善するとされています8)、9)。

双極性障害の躁状態の改善には、主としてGABA受容体の活性化が関与しているとされています8)、(図2)。

図2 カルバマゼピン(テグレトール)の作用機序

また、てんかん発作・三叉神経痛・双極性障害の躁状態の改善には海馬からのセロトニン放出の増加も関与しているとされています10)、11)。

剤型

剤型は錠剤が100mg錠と200錠があります(図3)。

細粒もあります。

図3 カルバマゼピン(先発医薬品:テグレトール)の剤型(錠剤)

効能・効果

効能・効果は以下となっています。

  • 精神運動発作、てんかん性格及びてんかんに伴う精神障害、てんかんの痙攣発作:強直間代発作(全般痙攣発作、大発作)
  • 躁病、躁うつ病の躁状態、統合失調症の興奮状態
  • 三叉神経痛

用法・用量

用法・用量は以下となっています。

精神運動発作、てんかん性格及びてんかんに伴う精神障害、てんかんの痙攣発作:強直間代発作(全般痙攣発作、大発作)の場合は、通常、成人では最初1日200~400mgを1~2回に分けて内服し、至適効果が得られるまで(通常1日600mg)徐々に増量します。症状により1日1,200mgまで増量することができます。

小児では、年齢、症状に応じて、通常1日100~600mg を分けて内服します。

躁病、躁うつ病の躁状態、統合失調症の興奮状態の場合は、通常、成人には最初1日量200~400mgを1~2回に分けて内服し、至適効果が得られるまで(通常1日600mg)徐々に増量します。

症状により1日1,200mgまで増量することができます。

三叉神経痛の場合は、通常、成人には最初1日量 200~400mg からはじめ、通常1日600mg までを分けて内服しますが、症状により1日 800mgまで増量することができます。

小児では、年齢、症状に応じて適宜減量します。

てんかん発作抑制では、血中濃度4~12μg/mLが推奨されています2)。

双極性障害の治療における血中濃度との関連はないことが報告されていますが、活性代謝産物の10, 11-エポキシカルバマゼピンの血中濃度が1.4μg/mLかつカルバマゼピンの血中濃度が7μg/mlにそろった時に最も治療効果が得られることが報告されています12)。

三叉神経痛の治療では、血中濃度5.7~10.1μg/mLが至適濃度であることが報告されています13)、14)。

薬物動態

1日1回内服した際の血液中の濃度は約1~6時間で最高濃度に達し、約36時間後に半分に下がります(図4)。

図4 カルバマゼピン(テグレトール)1回内服時の血中濃度の推移

毎日内服すると、カルバマゼピンを代謝する酵素が自己誘導され、代謝される時間が短くなり血液中の濃度は16~24時間で半分に下がります(図5)。

図5 カルバマゼピン(テグレトール)連日内服時の血中濃度の推移

カルバマゼピンの約10~50%は、CYP3A4により活性代謝物(薬としての効果を発揮します)の10, 11-エポキシカルバマゼピンに代謝されます15)、(図6)。

図6 カルバマゼピンの代謝

副作用

副作用調査症例数1,613例中614例(38.1%)に副作用が認められ、主なものは以下でした(図7)。

  • 眠気(13.8%)
  • めまい(9.1%)
  • ふらつき(8.5%)
  • けん怠・易疲労感(3.5%)
  • 運動失調(3.5%)
  • 脱力感(3.1%)
  • 発疹(2.9%)
  • 頭痛・頭重(2.7%)
  • 立ちくらみ(2.5%)
  • 口渇(2.1%)

図7 カルバマゼピン(テグレトール)主な副作用

重大な副作用として重症の皮疹があり、以下が挙げられています。

  • 中毒性表皮壊死融解症(TEN)
  • 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson 症候群)
  • 薬剤性過敏症症候群(DIHS)
  • 急性汎発性発疹性膿疱症(AGEP)

中毒性表皮壊死融解症(TEN)と皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson 症候群)の発症にはHLA-B*1502が強く関連するとされていますが、日本人ではHLA*1502の保有率は低く、HLA-A*3101が関連するとされています16、17)。

そのほかに重大な副作用として、以下等が生じることがあります。

  • 汎血球減少
  • 肝機能障害
  • 間質性肺炎
  • 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)

文献

  • 1) Nevitt SJ, et al. : Antiepileptic drug monotherapy for epilepsy: a network meta-analysis of individual participant data. Cochrane Database Syst Rev, 4 : CD011412, 2022.
  • 2) 日本神経学会. てんかん診療ガイドライン2018.
  • 3) Kishi T, et al. : Pharmacological treatment for bipolar mania: a systematic review and network meta-analysis of double-blind randomized controlled trials. Mol Psychiatry, 27 : 1136-1144, 2022.
  • 4) 日本うつ病学会. 日本うつ病学会診療ガイドライン, 双極性障害(双極症)2023.
  • 5) Yang F, et al. : Efficacy of 8 Different Drug Treatments for Patients With Trigeminal Neuralgia: A Network Meta-analysis. Clin J Pain, 34 : 685-690, 2018.
  • 6) 日本ペインクリニック学会. 神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン 改訂第2版, 2016.
  • 7) 日本神経治療学会. 標準的神経治療:三叉神経痛, 2021.
  • 8) Harkins G. : Carbamazepine. Practical Diabetes International, 27 : 205-206, 2010.
  • 9) Pergolizzi JV J, et al. : Pharmacotherapeutic management of trigeminal neuropathic pain: an update. Expert Opin Pharmacother, 23 : 1155-1164, 2022.
  • 10) Dailey JW, et al. : Carbamazepine-induced release of serotonin from rat hippocampus in vitro. Epilepsia, 39 : 1054-63, 1998.
  • 11) Okada M, et al. : Effects of carbamazepine on hippocampal serotonergic system. Epilepsy Res, 31 : 187-98, 1998.
  • 12) Chbili C, et al. : Relationships between pharmacokinetic parameters of carbamazepine and therapeutic response in patients with bipolar disease. Ann Biol Clin (Paris), 72 : 453-9, 2014.
  • 13) Tomson T, et al. : Carbamazepine in trigeminal neuralgia: clinical effects in relation to plasma-concentration. Ups J Med Sci Suppl, 31 : 45-6, 1980.
  • 14) Tomson T, et al. : Carbamazepine therapy in trigeminal neuralgia: clinical effects in relation to plasma concentration. Arch Neurol, 37 : 699-703, 1980.
  • 15) Bertilsson L, Tomson T. : Clinical pharmacokinetics and pharmacological effects of carbamazepine and carbamazepine-10,11-epoxide. An update. Clin Pharmacokinet, 11 : 177-98, 1986.
  • 16) Wang Q, et al. : Association between the HLA-B alleles and carbamazepine-induced SJS/TEN: A meta-analysis. Epilepsy Res, 135 : 19-28, 2017.
  • 17) Yip VL, Pirmohamed M. : The HLA-A*31:01 allele: influence on carbamazepine treatment. Pharmgenomics Pers Med, 10 : 29-38, 2017.

執筆者

院長 宮本 浩司(みやもと こうじ)

院長 宮本浩司

川崎市・溝の口の心療内科・精神科
高津心音メンタルクリニック
・ 精神保健指定医
・ 日本精神神経学会認定専門医・指導医