メマンチンのASDの社会機能障害への効果

メマンチン(メマリー)は、NMDAグルタミン酸受容体の過剰な活性化を抑制する作用を有しており、グルタミン酸系に対し、抑制的に働きます。

自閉スペクトラム症(ASD)は、社会的コミュニケーション障害と限定的な反復的行動様式を中核症状とした発達障がいです。

ASDのこれらの社会的機能障害に対する薬物治療については、十分に効果のあるものは見出されていませんでした。

2025年8月、Joshiらは、メマンチンのASDの社会機能障害に対する効果を検証するため、ASDの若年者をメマンチンとプラセボの投与群にわけ、二重盲検ランダム化比較試験を行いました。

その結果、メマンチンは有意にASDの社会機能障害を改善する結果でした(図1)。

図1 メマンチンのASDの社会機能障害に対する効果

また、ASD群では、健常者より脳の前帯状皮質前部という部位のグルタミン酸濃度が高いことがわかりました(図2)。

図2 定型発達者群とASD群の前帯状皮質前部のグルタミン酸濃度の違い

ASD群では、よりグルタミン酸濃度の高い群が、特にメマンチンで改善が得られる結果でした(図3)。

図3 ADS群におけるグルタミン酸濃度の違いによるメマンチンの効果の違い

ADHDでは薬物治療がすすんでいる一方、ASDの薬物治療では、介入が困難であったため、今回の結果は、当事者や家族にとって、支援の1つになる可能性があります。

文献

  • 1)Joshi G, et al.: Memantine to Treat Social Impairment in Youths With Autism Spectrum Disorder: A Randomized Clinical Trial. JAMA Netw Open, 8: e2534927, 2025.

執筆者

院長 宮本 浩司(みやもと こうじ)

院長 宮本浩司

川崎市・溝の口の心療内科・精神科
高津心音メンタルクリニック
・ 精神保健指定医
・ 日本精神神経学会認定専門医・指導医