統合失調症症状改善に有効な運動の種類と運動量について

はじめに

近年、うつ病を含めて、精神疾患に対する運動療法の効果やメカニズムがより詳細に検討されています1)。

2024年9月、Yangらは、統合失調症症状改善に有効な運動の種類と運動量について解析し、報告しています2)。

統合失調症症状改善に有効な運動

統合失調症の全体症状では、通常のケアと比較して、以下の種類の運動が有効でした(図1)。

  • ヨガ
  • 卓球
  • レジスタンス運動
  • 有酸素運動
  • レジスタンス運動+有酸素運動
  • 太極拳
  • バランストーントレーニング

図1 統合失調症症状改善に有効な運動の種類と有効性

陽性症状に対しては、以下の運動が有効でした。

  • ヨガ
  • レジスタンス運動+有酸素運動
  • 有酸素運動

陰性症状に対しては、以下の運動が有効でした。

  • ヨガ
  • レジスタンス運動+有酸素運動
  • 有酸素運動

抑うつ症状に対しては、以下の運動が有効でした。

  • 有酸素運動
  • レジスタンス運動

認知機能に対しては、以下の運動が有効でした。

  • 有酸素運動

生活の質では、以下の運動が有効でした。

  • 身体運動+心理看護
  • マルチコンポーネントエクササイズ(有酸素運動、レジスタンス運動、バランス運動を組み合わせた身体活動)
  • 有酸素運動
  • レジスタンス運動+有酸素運動

統合失調症症状改善に有効な運動量

統合失調症全体症状を改善するのに、有効な運動量の有効範囲は340~1200 METs-min/週で、最も効果のある運動量は1200 METs-min/週でした(図2)。

図2 運動量と統合失調症症状改善の用量反応関係

統合失調症に対するヨガの効果

クンダリーニヨガは、海馬体積の増加、神経接続を改善させ、気分の向上、認知機能の改善に有効であることが報告されています3)。

これらの認知と感情の調整の作用を通して、陽性症状を改善に関与している可能性があると著者らは述べています。

また、ヨガの瞑想とリラクゼーションのテクニックは、心理的幸福感を高めます4)。

そのため、社会参加の促進と生活の質を高めることができ、陰性症状の改善に寄与すると著者らは述べています。

おわりに

今回の研究では、統合失調症の陽性症状、陰性症状いずれに対してもヨガが有効であることが示されました。

在宅でもできるプログラムの開発など、当事者がより運動療法にアクセスしやすい環境が増えることに期待したいと思います。

参考

  • 1) Noetel M, et al.: Effect of exercise for depression: systematic review and network meta-analysis of randomised controlled trials. BMJ, 384: e075847, 2024.
  • 2) Yang Y, et al.: Optimal exercise dose and type for improving schizophrenia symptoms in adults: A systematic review and Bayesian network meta-analysis. Neurosci Biobehav Rev, 167:105896, 2024.
  • 3) Giridharan S, et al.: The Impact of Kundalini Yoga on Cognitive Function and Memory: A Systematic Review of Randomized Controlled Trials. Cureus, 16: e63161, 2024.
  • 4) Singh A, et al.: Rajyoga Meditation and wellbeing status: an exploratory study. International journal of current research, 11: 64-67, 2019.

執筆者

院長 宮本 浩司(みやもと こうじ)

院長 宮本浩司

川崎市・溝の口の心療内科・精神科
高津心音メンタルクリニック
・ 精神保健指定医
・ 日本精神神経学会認定専門医・指導医