公開日 2024.9.9
2024年8月、Vitaらにより、統合失調症スペクトラム障害の急性期患者における持効性注射製剤の有効性と受容性の最新の比較が報告されました1)。
解析では、持効性注射製剤とプラセボ、経口薬との比較、持効性注射製剤を互いに比較した研究が含まれました。
報告では、経口薬を含めて以下の順に有効性が認められる結果でした。
- アリピプラゾール経口薬(エビリファイ)
- アリピプラゾールLAI(エビリファイ持続性水懸筋注用)
- オランザピン経口薬(ジプレキサ)
- オランザピンLAI(日本未承認)
- リスペリドンLAI(リスパダールコンスタ)
- パリペリドンLAI(ゼプリオン)
受容性を加味すると以下の結果でした(図1)。
図1 統合失調症スペクトラム障害急性期における持効性注射製剤の有効性と受容性の比較
注射後2週間の時点での、持効性注射製剤の剤型別の有効性評価では、以下の順に有効性が認められました(図2)。
- アリピプラゾール持続性水懸筋注(エビリファイ持続性水懸筋注用)
- オランザピン持効性注射製剤(日本未承認薬;Zyprexa Relrevv)
- リスペリドンISM(日本未承認薬;Risvan)
- リスペリドン持効性懸濁注射液(リスパダールコンスタ)
- パリペリドン持効性懸濁注射液(ゼプリオン)
- アリピプラゾールラウロキシル(日本未承認薬;Aristada)
図2 統合失調症スペクトラム障害急性期における持効性注射製剤の剤型別の有効性
リスペリドンISM(Risvan)について
リスペリドンISMは2024年4月に米国であらたに承認されたリスペリドンの持効性注射製剤の剤型です。
即時的かつ持続的に血液中の薬物濃度を維持し、内服薬から直接注射剤に切り替えることができます2)、3)。
過去にリスペリドンの内服歴があり、忍容性が確認されていれば、初回から直接注射が可能な製剤となっています。
また、リスパダールコンスタは2週間に1回の注射ですが、リスペリドンISMは4週に1度で負担が軽減されています。
アリピプラゾールラウロキシル(Aristada)について
アリピプラゾールラウロキシルはアリピプラゾールの前駆体で、持効性注射製剤として、米Alkermes社にて開発され、2015年に米国で承認されました。
内服量に応じて、4週、6週、8週の期間が調節できる特徴があります4)。
また、1日で有効血中濃度に達する、ナノクリスタル製剤も承認されています。
1日のみナノクリスタル製剤とアリピプラゾールを内服し、アリピプラゾールラウロキシルの注射を開始する方法と、21日間アリピプラゾールを内服し、アリピプラゾールラウロキシルの注射を開始する2つの開始法で有効性と安全性は同等であることが示されています5)、6)。
リスペリドンISM(Risvan)に加え、米国では同じく2023年4月にアリピプラゾール2ヵ月持続性注射剤(ABILIFY ASIMTUFII)が承認されており、今後の日本での承認が期待されています。
持効性注射製剤を急性期から速やかに導入することで、アドヒアランスが維持され、再発率の低下、良好な予後が保たれると考えられます。
参考
- 1) Vita G, et al.: Efficacy and acceptability of long-acting antipsychotics in acutely ill individuals with schizophrenia-spectrum disorders: A systematic review and network meta-analysis. Psychiatry Res, 340:116124, 2024.
- 2) Walling DP, et al.: The Steady-State Comparative Bioavailability of Intramuscular Risperidone ISM and Oral Risperidone: An Open-Label, One-Sequence Study. Drug Des Devel Ther, 15: 4371-4382, 2021.
- 3) Laveille C, et al.: Development of a population pharmacokinetic model for the novel long-acting injectable antipsychotic risperidone ISM. Br J Clin Pharmacol, 90: 2256-2270, 2024.
- 4) Maini K, et al.: Aripiprazole Lauroxil, a Novel Injectable Long-Acting Antipsychotic Treatment for Adults with Schizophrenia: A Comprehensive Review. Neurol Int, 13: 279-296, 2021.
- 5) Hard ML, et al.: Pharmacokinetic Evaluation of a 1-Day Treatment Initiation Option for Starting Long-Acting Aripiprazole Lauroxil for Schizophrenia. J Clin Psychopharmacol, 38: 435-441, 2018.
- 6) Sommi RW, et al.: Initiating Aripiprazole Lauroxil: Post Hoc Analysis of Safety and Tolerability of 1-Day and 21-Day Regimens. J Clin Psychiatry, 85: 23m15132, 2024.
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