川崎市高津区溝の口の心療内科・精神科 高津心音メンタルクリニック

川崎市高津区溝の口の心療内科・精神科 高津心音メンタルクリニック

川崎市高津区溝の口の心療内科・精神科 高津心音メンタルクリニックの診療時間は(火~土)9:00~12:30 14:30~18:00 休診:月曜、日・祝

<サイト内検索>

川崎市高津区溝の口の心療内科・精神科 高津心音メンタルクリニックの電話番号044-455-7500

ネット予約はこちら

田園都市線溝の口駅・南武線武蔵溝ノ口駅より徒歩3分

睡眠薬について②
マイスリー、ルネスタ

公開日 2021.1.25

Z-drugsについて

Z-drugsには日本ではゾルピデム(商品名:マイスリー)、ゾピクロン(商品名:アモバン)、エスゾピクロン(商品名:ルネスタ)、海外ではザレプロンという薬も使用されています。
(図1)

Z-drugsは脳内で興奮を抑える働きをするGABAが結合するGABAA受容体(図2)1)の一部に選択的に結合して、GABAの作用を強めます。

Z-drugsの利点はベンゾジアゼピン系睡眠薬と比較して依存、耐性のリスクが低いこと、深い睡眠がえられることが上げられます。

うつ病では睡眠が浅くなることがわかっています 2)。このため、うつ病の不眠治療では優先順位の高い選択肢になります。
(図2)

一方、転倒、骨折のリスクはベンゾジアゼピン系睡眠薬と同様にあるために高齢者では注意が必要です 3)。

睡眠時遊行症(寝ぼけて歩いてしまう)が生じることがあるため、この点にも注意が必要です。

ゾルピデム(商品名:マイスリー)は寝付きを良くする効果があり、日本で承認後、それまでのブロチゾラム(商品名:レンドルミン)などのベンゾジアゼピン系睡眠薬にかわり、入眠困難に広く使われるようになりました。

統合失調症と双極性障害に対しては保険適応がなく、使用できません。

まれに睡眠関連摂食障害(Sleep Related eating disorder ; SRED:夜間に眠ったまま起きて食べ物を食べてしまう病態)がゾルピデム内服後に生じることがあり 4)、このような夜間の行動が生じた場合は中止する必要があります。

ゾピクロン(商品名:アモバン)も同じく寝付きを良くする効果があり、入眠困難に使用されます。

副作用として苦みがでることがあり、苦みを強く生じた場合は継続できないデメリットがあります。

エスゾピクロン(商品名:ルネスタ)はゾピクロン(アモバン)から作られた薬です(正確には光学異性体というものです)。

光学異性体を用いた薬の開発には、副作用を少なくすることと、効果を高めるバランスにあります。

花粉症の薬のセチリジン(商品名:ジルテック)とレボセチリジン(商品名:ザイザル)もこの関係です。

より眠気を少なくして、抗アレルギー効果は高めるというものです。

エスゾピクロン(ルネスタ)ではゾピクロン(アモバン)より苦みを少なくして、入眠作用だけでなく中途覚醒(夜間に起きてします)を抑える効果ももっています。

米国では依存、耐性形成の少なさから睡眠薬ではじめて処方日数制限なしでの承認が認められました。

日本でも向精神薬に指定されていません(2021年1月時点)。

エスゾピクロン(ルネスタ)の効果として、抗うつ薬との併用でうつ病の改善への増強効果が得られることが報告されています(図3)5)。
(図3)

また更年期障害の不眠、PTSDにも有効であることが報告されています 6)、7)。このようにエスゾピクロンは優れた面があります。

しかし、ゾピクロン(アモバン)より苦みは少ないとされているものの(図4)8)、苦みがでてしまう場合は継続が難しいという面もあります。
(図4)

おひとりで悩んでいませんか?

眠れないことでお悩みの際は早めの心療内科・精神科の受診をおすすめします。
まずはかかりつけ内科等で相談するのも1つの方法です。

【文献】

  • 1)Richter G, et al. : The Z-Drugs Zolpidem, Zaleplon, and Eszopiclone Have Varying Actions on Human GABA (A) Receptors Containing gamma1, gamma2, and gamma3 Subunits. Front Neurosci, 14 : 599812, 2020.
  • 2)Thase ME. : Depression, sleep, and antidepressants. J Clin Psychiatry, 4 : 55-65, 1998.
  • 3)Treves N, et al. : Z-drugs and risk for falls and fractures in older adults-a systematic review and meta-analysis. Age Ageing, 47 : 201-208, 2018.
  • 4)Morgenthaler TI, Silber MH. : Amnestic sleep-related eating disorder associated with zolpidem. Sleep Med, 3 : 323-7, 2002.
  • 5)Fava M, et al. : Eszopiclone co-administered with fluoxetine in patients with insomnia coexisting with major depressive disorder. Biol Psychiatry, 59 : 1052-60, 2006.
  • 6)Soares CN, et al. : Eszopiclone in patients with insomnia during perimenopause and early postmenopause: a randomized controlled trial. Obstet Gynecol, 108 : 1402-10, 2006.
  • 7)Pollack MH, et al. : Eszopiclone for the treatment of posttraumatic stress disorder and associated insomnia: a randomized, double-blind, placebo-controlled trial. J Clin Psychiatry, 72 : 892-7, 2011.
  • 8)宇田 篤史 他, 日本医療薬学会年会講演要旨集. 2012.

睡眠薬の関連コラム一覧

執筆者:高津心音メンタルクリニック 院長 宮本浩司

  • 精神保健指定医
  • 日本精神神経学会認定専門医・指導医

医師紹介ページはこちらから

症状から探す
頭が働かない
寝つきが悪い
やる気が起きない
不安で落ち着かない
朝寝坊が多い
人の視線が気になる
職場に行くと体調が悪くなる
電車やバスに乗ると息苦しくなる
病名から探す
うつ病
強迫性障害
頭痛
睡眠障害
社会不安障害
PMDD(月経前不快気分障害)
パニック障害
適応障害
過敏性腸症候群
心身症
心的外傷後ストレス障害
身体表現性障害
発達障害
ADHD(注意欠如・多動症)
気象病・天気痛
テクノストレス
バーンアウト症候群
ペットロス(症候群)
更年期障害
自律神経失調症

問診票をダウンロードする


ネット予約する


川崎市溝の口の心療内科・精神科 高津心音メンタルクリニック院長コラム


川崎市溝の口の心療内科・精神科 高津心音メンタルクリニック漢方コラム

このページの先頭へ戻る