公開日 2024.11.13
運動はADHDの不注意特性にも、多動/衝動性特性の改善にも効果があることが報告されています1)。
2023年のZhuらは、ADHDの実行機能に対する運動介入の有効性の比較を行い、以下の結果を報告しています1)。
- ワーキングメモリーの改善には、有酸素運動中心のクローズドスキル運動(ランニング、水泳など自分のペースで進められる運動)が有効である。
- 認知の柔軟性の改善には、複数の運動の組み合わせが有効である。
- 抑制機能の改善には、オープンスキル運動(テニス、卓球など参加者が競技の状態に合わせ、反応し活動する運動)が有効である。
2024年6月、Chenらは、上記等の結果を踏まえ、ADHDの実行機能の改善における運動の強度についての解析を報告しています2)。
報告では、高強度の運動が最も効果が高く、中強度、低強度の運動は、高強度より改善効果は低かったものの、いずれの強度の運動も有効な結果でした。
図1 ADHDの実行機能改善と運動強度との関連
ただし、ワーキングメモリーと抑制機能は高強度の運動で、有意な改善効果が認められました。
図2 高強度の運動で改善がみられるADHDの実行機能
認知の柔軟性の改善は、中強度の運動が最も有効な結果でした。
運動の種類は以下の運動が有効な結果でした。
- 水泳
- 認知運動トレーニング(コグニサイズ)
- 徒手運動トレーニング(柔道、空手など)
- サイクリング
- ランニング
図3 ADHDの実行機能改善に有効な運動の種類
ただし、水泳に関しては、含まれた研究数が少ない等の理由から結果を慎重に解釈する必要があると著者らは述べています。
とはいえ、水泳は一定の効果を示唆するといえます。
これらの結果から、もともと体力のあるADHD当事者で、WAIS検査でワーキングメモリーの弱みが指摘されている場合などは、強度の高い水泳を行うことなどは有用な運動療法になるといえます。
参考
- 1) Zhu F, et al.: Comparative effectiveness of various physical exercise interventions on executive functions and related symptoms in children and adolescents with attention deficit hyperactivity disorder: A systematic review and network meta-analysis. Front Public Health, 11:1133727, 2023.
- 2) Chen JW, et al.: Optimal exercise intensity for improving executive function in patients with attention deficit hyperactivity disorder: systematic review and network meta-analysis. Eur Child Adolesc Psychiatry, 2024.
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