レイボー(ラスミジタン)の特徴・作用・副作用

2022.06.20

はじめに

2022年1月に日本で、レイボーが承認されました。

片頭痛は有病率が高く、日常生活、社会生活に支障をきたす疾患です 1)、2)。

精神疾患との併存率が高いことがしられています。

中でもうつ病、双極症、パニック症、PTSDは特に併存率が高いことがわかっています 3)、4)、5)。

精神状態の悪化に伴い片頭痛も悪化し、また片頭痛の悪化に伴い精神疾患も悪化します。

そのため、相互を考慮した介入が必要とされています 6)。

現在、片頭痛の痛みの薬には、ロキソニンなどを主とした非ステロイド性抗炎症薬があります。

また、スマトリプタン(イミグラン)やエレトリプタン(レルパックス)などのトリプタン系製剤とよばれる薬剤が用いられます。

米国では2019年にジタン系製剤と総称されるレイボーが承認されました。

同年ゲパント系製剤と総称されるユブロゲパント(日本未承認)が承認、2020年にナルティーク(リメゲパント)が承認され使用されています。

レイボーの作用・特徴は?

レイボーはセロトニン5HT1F受容体に作用し、三叉神経から痛みのもととなる神経伝達物質の放出を抑制するともに、脳内で痛みの伝達を抑えることにより片頭痛の痛み改善します7)、(図1)。

図1 レイボーの作用機序

レイボー 採用機序

セロトニン(5-HT)の受容体には5-HT1から5HT7まであります

その中で5HT1はさらにサブタイプとして5HT1A・1B・1D・1E・1Fがあります。

この中で5HT1B・1D・1Fが片頭痛に関わると想定され薬の開発が進みました 8)、9)、10)。

1990年代に5HT1B・1Dに作用するトリプタン系と呼ばれる薬が登場しました。

日本では2000年から使用されるようになり、多くの片頭痛で悩む人にとって画期的な治療薬となりました。

トリプタン系製剤には以下のものがあります。

  • スマトリプタン(イミグラン)
  • ゾルミトリプタン(ゾーミッグ)
  • エレトリプタン(レルパックス)
  • リザトリプタン(マクサルト)
  • ナラトリプタン(アマージ)

トリプタン系製剤は実際には5HT1B・1Dに加え5HT1Fにも作用します

レイボーは5HT1B・1D にほとんど作用せず、5HT1Fに作用する新しい薬です(図2)。

図2 レイボーとトリプタンのセロトニン5-HT1B・1F受容体への結合能 

レイボー 5HT1B・1F結合能

現在、5-HT1Dは治療において大きく貢献しておらず、主に5-HT1B・5HT1Fが主に改善に関わっているということがわかっています。

トリプタンとレイボーの違いをより端的にいうと、トリプタンは5-HT1B・1Fに作用する薬で、レイボーは5HT1Fにのみ作用する薬ということになります。

トリプタン製剤には片頭痛の痛みが出始めてから、すみやかに(約1時間以内)内服する必要があります。

時間がたってからだと効き目が悪かったり、効果が得られないことがあります。

また、心臓の血管の病気がある場合、脳の血管の病気がある場合やそのリスクがある場合は、血管収縮を起こすことから、使用できないことがあります。

レイボーは1時間が経過した後に内服しても効果が得られます。

また、血管収縮作用を起こす5HT1B受容体へはほとんど作用しません。

そのため、心臓の血管、脳の血管の収縮を引き起こさないため、これらの疾患や疾患リスクで使用できなかった片頭痛の患者さんも使用することができます(図3)。

図3 ヒト冠動脈、内胸動脈、中硬膜動脈に対するレイボーの作用

ヒト冠動脈、内胸動脈、中硬膜動脈に対する作用

レイボーの用法・用量は?

通常、成人にはラスミジタンとして1回100mgを片頭痛発作時に経口投与する。

ただし、患者の状態に応じて1回50mg又は200mgを投与することができる。

頭痛の消失後に再発した場合は、24時間あたりの総投与量が200mgを超えない範囲で再投与できるとなっています(図4)。

図4

痛みが再発した時の服用のしかた

レイボーの薬物動態は?

レイボー100㎎を1錠内服すると血液中の濃度は約2時間半で最高濃度に達し、約3時間半後に半分に下がります(図5)。

図5 単回経口投与時の血漿中ラスミジタン濃度推移(日本人健康成人)

レイボー内服時の血中濃度の推移

食事による影響はありません。

レイボーの剤形は?

剤形は50㎎錠と100㎎錠があります(図6)。

図6 ラスミジタン(レイボー)剤形

レイボーの剤型

レイボーの副作用は?

臨床試験における副作用発現頻度は4625例中1884例(40.74%)に認められました。

主な副作用は以下でした(図7)

  • 浮動性めまい(18.66%)
  • 傾眠(6.85%)
  • 錯感覚(5.97%)
  • 疲労(4.35)、
  • 悪心(4.32%)

図7 ラスミジタン(レイボー)の主な副作用

レイボーの副作用

重大な副作用に頻度(0.1%未満)はまれながらセロトニン症候群が挙げられています。

セロトニン症候群はセロトニンが脳や体に強く作用してしまうことにより、ミオクローヌス、発熱、発汗、震え、下痢などの症状が生じる病態です。

精神科領域ではセロトニンに作用する抗うつ薬を高容量で使用した際にまれに生じることがあります。

そのため、以前からSSRISNRIトリプタン系製剤の併用ではセロトニン症候群のリスクに注意が必要とされ、レイボーでも同様に併用注意とされています。

しかし、トリプタン系製剤とSSRI、SNRIの処方とセロトニン症候群の関係を調査した研究では相関性は乏しいことが報告されています 11)、(図8)。

うつ病やパニック障害でSSRIを服用している患者さんが過度に心配する必要はないと思われます。

図8 トリプタン系製剤+SSRI(またはSNRI)とセロトニン症候群の関係(米国の研究)

トリプタン+SSRI セロトニン症候群

おわりに

片頭痛では急性期治療と予防治療の2本柱が要となります。

予防療法では2021年に抗CGRP抗体の注射剤であるガルカネズマブ(エムガルディ)、エレヌマブ(アイモビーク)、フレマネズマブ(アジョビ)が発売され大きな変革の年となりました。

加えて、急性期治療薬にトリプタン系製剤にジタン系製剤のレイボーが加わりました。

急性期治療薬の選択肢が増えたことにより、さらに片頭痛治療は前進したといえます。

精神疾患と片頭痛の併存は多く、各患者さんに合った片頭痛治療薬による介入で、精神疾患の改善・安定にも寄与するものと思われます。

文献

1) Sakai F, Igarashi H.: Prevalence of migraine in Japan: a nationwide survey. Cephalalgia, 17 : 15-22, 1997.

2) Burch RC, et al.: Migraine: Epidemiology, Burden, and Comorbidity. Neurol Clin, 37 : 631-649, 2019.

3) Radat F.: What is the link between migraine and psychiatric disorders? From epidemiology to therapeutics. Rev Neurol (Paris), 177 : 821-826, 2021.

4) Amiri S, et al.: Migraine headache and depression in adults: a systematic Review and Meta-analysis. Neuropsychiatr, 33 : 131-140, 2019.

5) Fornaro M, Stubbs B.: A meta-analysis investigating the prevalence and moderators of migraines among people with bipolar disorder. J Affect Disord, 178 : 88-97, 2015.

6) Dresler T, et al.: Understanding the nature of psychiatric comorbidity in migraine: a systematic review focused on interactions and treatment implications. J Headache Pain, 20 : 51, 2019.

7) Clemow DB, et al.: Lasmiditan mechanism of action – review of a selective 5-HT1F agonist. J Headache Pain, 21 : 71, 2020.

8) Nilsson T, et al.: Contractile 5-HT1B receptors in human cerebral arteries: pharmacological characterization and localization with immunocytochemistry. Br J Pharmacol, 128 : 1133-40, 1999.

9) Villalón CM, VanDenBrink AM.: The Role of 5-Hydroxytryptamine in the Pathophysiology of Migraine and its Relevance to the Design of Novel Treatments. Mini Rev Med Chem, 17 : 928-938, 2017.

10) Ramadan NM, et al.: 5-HT1F receptor agonists in acute migraine treatment: a hypothesis. Cephalalgia, 23 : 776-85, 2003.

11) Orlova Y, Association of Coprescription of Triptan Antimigraine Drugs and Selective Serotonin Reuptake Inhibitor or Selective Norepinephrine Reuptake Inhibitor Antidepressants With Serotonin Syndrome. JAMA Neurol, 75 : 566-572, 2018.

12) VanderPluym JH, et al.: Acute Treatments for Episodic Migraine in Adults: A Systematic Review and Meta-analysis. JAMA, 325 : 2357-2369, 2021.

13) Yang CP, et al.: Comparison of New Pharmacologic Agents With Triptans for Treatment of Migraine: A Systematic Review and Meta-analysis. JAMA Netw Open, 4 : e2128544, 2021.

執筆者

院長 宮本 浩司(みやもと こうじ)

院長 宮本浩司

川崎市・溝の口の心療内科・精神科
高津心音メンタルクリニック
・ 精神保健指定医
・ 日本精神神経学会認定専門医・指導医