トリメブチンマレインについて

2025.10.17

効果・作用

トリメブチンマレインは腸管の蠕動運動を調整して、過敏性腸症候群の症状を改善します。

腸管の動きが早くなり下痢になっている時は、動きをおだやかにして、下痢を改善します。

また、腸管の動きが遅くなって、便秘になっている時は、動きを早めて、便秘を改善するという、2つの作用を有します1)。

トリメブチンマレインは以下の2つの作用機序が想定されています。

消化管平滑筋に対する作用

平滑筋細胞において、弛緩した細胞に対しては、Kチャネルの抑制に基づく脱分極作用により細胞の興奮性を高め、一方、細胞の興奮性に応じてCaチャネルを抑制することで過剰な収縮を抑制することが推測されます1)、(図1)。

図1 トリメブチンマレインの消化管平滑筋に対する作用

オピオイド受容体を介する作用

トリメブチンは、運動亢進状態にある腸管では、副交感神経終末にあるオピオイドμ及びκ受容体に作用して、アセチルコリン遊離を抑制し、消化管運動を抑制する。
一方、運動低下状態にある腸管では、交感神経終末にあるμ受容体に作用してノルアドレナリン遊離を抑制する。
その結果、副交感神経終末からのアセチルコリン遊離が増加し、消化管運動を亢進するとされます2)。

もともとセレキノンの商品名で医薬品として販売されていましたが、セレキノンは販売中止となり、後発医薬品のトリメブチンマレインが医薬品として販売されています。

OTC薬品として、セレキノンはドラッグストアで購入可能です。

効能・効果

効能・効果は以下となっています。

  • 慢性胃炎における消化器症状(腹部疼痛、悪心、噯気、腹部膨満感)
  • 過敏性腸症候群

用法・用量

慢性胃炎における消化器症状

通常成人1日量300mgを3回に分けて内服する。年齢、症状により適宜増減するとなっています。

過敏性腸症候群

通常成人1日量300~600mgを3回に分けて内服するとなっています。

薬物動態

トリメブチンマレイン100mgを内服した際の血中濃度は、約30分後に最高濃度に達し、約2時間後に半減します(図2)。

図2 トリメブチンマレイン100mgを内服した際の血中濃度の推移

副作用

0.1%未満のまれな副作用として以下があげられています。

  • 消化器:便秘、下痢、腹鳴、口渇、口内しびれ感、悪心、嘔吐
  • 循環器:心悸亢進
  • 精神神経系:眠気、めまい、倦怠感、頭痛
  • 過敏症:発疹、蕁麻疹、そう痒感
  • 泌尿器:排尿障害、尿閉

文献

  • 1) Salvioli B.: Trimebutine: a state-of-the-art review. Minerva Gastroenterol Dietol, 65: 229-238, 2019.
  • 2) Taniyama K, et al.: Dual effect of trimebutine on contractility of the guinea pig ileum via the opioid receptors. Gastroenterology, 101: 1579-87, 1991.

執筆者

院長 宮本 浩司(みやもと こうじ)

院長 宮本浩司

川崎市・溝の口の心療内科・精神科
高津心音メンタルクリニック
・ 精神保健指定医
・ 日本精神神経学会認定専門医・指導医