妊娠中の抗精神病薬内服における先天奇形のリスク

2025年1月、Wangらは、抗精神病薬と気分安定薬の妊娠中の内服における胎児の先天奇形のリスクについて解析しました。

解析には以下の薬剤が含まれました。

催奇形性のリスクはルラシドンとクエチアピンが低い結果でした。

ルラシドンは米国FDAでクロザピンと並び、米国妊娠安全性分類でカテゴリーB(動物実験ではリスクなし(ヒトでの適切な研究はないが、動物実験では胎児へのリスクは示されなかった)。)に分類されています。

今回の解析では、クエチアピンのオッズ比は1.19とわずかに1を上回る結果で、著者らは、治療が有益であるならば、クエチアピンの選択を変更する理由は乏しいと述べています。

安全性の順位は以下の結果でした(図1)。

図1 妊娠中の内服における抗精神病薬・気分安定薬の胎児への催奇形性のリスク

クエチアピン、オランザピン、リスペリドン、ハロペリドールの胎盤通過率を比較した研究では、クエチアピンが23.8%と最も低い通過率であったことが報告されています2)、(図2)。

図2 抗精神病薬の胎盤通過率

この胎盤通過率の低さが催奇形性の低さにつながっていると考えられています(図3)。

図3 抗精神病薬の催奇形性と胎盤通過率の関係

実際の治療現場では、症状に応じ、治療者と当事者が合意の上で、慎重に周産期の薬剤調整を行うことになります。

参考

  • 1) Wang E, et al.: Comparative Safety of Antipsychotic Medications and Mood Stabilizers During Pregnancy: A Systematic Review and Network Meta-analysis of Congenital Malformations and Prenatal Outcomes. CNS Drugs, 39: 1-22, 2025.
  • 2) Newport DJ, et al.: Atypical antipsychotic administration during late pregnancy: placental passage and obstetrical outcomes. Am J Psychiatry, 164: 1214-20, 2007.

執筆者

院長 宮本 浩司(みやもと こうじ)

院長 宮本浩司

川崎市・溝の口の心療内科・精神科
高津心音メンタルクリニック
・ 精神保健指定医
・ 日本精神神経学会認定専門医・指導医