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044-455-7500HDS-R(改訂長谷川式簡易知能評価スケール)は、日本で非常によく用いられる認知機能のスクリーニング検査です。
認知症を「診断する検査」ではなく、認知機能低下の可能性を短時間で評価し、さらに詳しい評価が必要かを判断するための検査です。
正式名称は、
改訂長谷川式簡易知能評価スケール
Hasegawa’s Dementia Scale-Revised(HDS-R)
です。
もともとの長谷川式簡易知能評価スケール(HDS)は、1974年に長谷川和夫先生らによって開発されました。
その後、質問項目や採点基準が見直され、1991年にHDS-Rとして改訂されています。
改訂版の作成論文は加藤伸司先生らによるものです。
大きな特徴は、
という簡便さです。
HDS-Rは単純に「記憶力」だけを測定しているわけではありません。
検査では、9項目を通して、見当識、記憶、注意・作業記憶、計算、言語流暢性などを評価します。
| 項目 | 主にみている機能 | 配点 |
| 年齢 | 基本的な見当識 | 1 |
| 時間の見当識 | 年月日・曜日など | 4 |
| 場所の見当識 | 現在いる場所の理解 | 2 |
| 3単語の直後再生 | 記銘・即時記憶 | 3 |
| 計算 | 注意・計算 | 2 |
| 数字の逆唱 | 注意・ワーキングメモリ | 2 |
| 3単語の遅延再生 | 遅延記憶 | 6 |
| 5つの物品課題 | 視覚的な記銘・再生 | 5 |
| 言語流暢性 | 言葉の想起 | 5 |
| 合計 | 30点 |
特に3単語の遅延再生が6点と比較的大きな割合を占めている点が特徴です。
一般的には、
という20/21点のカットオフが用いられます。
開発時の研究では、このカットオフで、
と報告されています。
ただし、研究対象によって診断性能は変化します。
例えば日本の別の研究では、20/21点で認知症を識別する感度は0.67、特異度は0.89でした1)。
したがって、「20点以下なら認知症、21点以上なら認知症ではない」と機械的に判断するものではありません。
HDS-Rは、
30点 → 正常
25点 → 軽度認知障害
18点 → 軽度認知症
10点 → 中等度認知症
というように、点数だけから診断名や重症度を決定する検査ではありません。
例えば21点以上でも、初期のアルツハイマー病や軽度認知障害(MCI)を完全に除外できるわけではありません。
逆に20点以下であっても、
などの影響を考える必要があります。
したがって、総得点だけでなく「どの項目を間違えたのか」を見ることも重要です。
例えば初期アルツハイマー病では、単に全般的な点数が低下するだけではなく、新しい情報を記憶し、時間が経ってから思い出す能力(遅延再生)の低下が重要になります。
最近の研究でも、アミロイドβ陽性患者ではHDS-Rの遅延再生や視覚記憶が低く、計算は比較的保たれているという認知プロフィールが報告されています2)。
したがって同じ「HDS-R 22点」であっても、
何を間違えて22点になったのか
によって臨床的な意味は異なります。
HDS-Rと並んでよく使用される認知機能検査に、MMSE(Mini-Mental State Examination)があります。
両者とも30点満点ですが、検査内容には違いがあります。

HDS-Rの特徴の一つは、基本的に口頭で実施できることです。
MMSEには書字や図形模写がありますが、HDS-Rではそれを必要としません。そのため、運動機能に障害があっても、口頭でコミュニケーションできれば実施しやすいという利点があります。
また開発時にはHDS-RとMMSEの相関はr=0.94と報告されています。
アルツハイマー型認知症に対する診断精度では、HDS-RがMMSEよりも優れているという報告もあります3)。

臨床では特に、
という利点があります。
そのため、「最近もの忘れが増えてきた」という患者さんを最初に評価する際には非常に便利です。
まず、HDS-Rだけで認知症の原因疾患を診断することはできません。
例えば、
などをHDS-Rだけで鑑別することはできません。
また、認知機能には実行機能、社会的認知、視空間認知など多くの領域がありますが、HDS-Rですべてを詳細に評価できるわけでもありません。
必要に応じて、
などを組み合わせて診断していきます。
HDS-Rは認知症を確定する検査ではなく、認知機能に低下がないかを短時間で調べるスクリーニング検査です。
20点以下なら認知症が確定するわけではありませんし、21点以上だから認知症を完全に否定できるわけでもありません。
そのため、検査結果は、年齢、生活状況、これまでの認知機能、症状の経過、日常生活への影響、他の検査結果などと合わせて総合的に判断する必要があります。
| 1 | お歳はいくつですか? (2年までの誤差は正解) | 0 1 | |||
| 2 | 今日は何年何月何日ですか? 何曜日ですか?(年月日、曜日が正解でそれぞれ1点ずつ) | 年月日 曜日 | 0 1 0 1 0 1 0 1 | ||
| 3 | 私たちがいまいるところはどこですか? (自発的にでれば 2 点、5 秒おいて家ですか?病院ですか?施設ですか?のなかから正しい選択をすれば1点) | 0 1 2 | |||
| 4 | これから言う3つの言葉を言ってみてください。あとでまた聞きますのでよく覚えておいてください。 (以下の系列のいずれか1つで, 採用した系列に○印をつけておく) 1: a)桜 b)猫 c)電車、 2: a)梅 b)犬 c)自動車 | 0 1 0 1 0 1 | |||
| 5 | 100から7を順番に引いてください。 (100-7 は?、それからまた 7 を引くと? と質問する。最初の答えが不正解の場合、打ち切る) | (93) (86) | 0 1 0 1 | ||
| 6 | 私がこれから言う数字を逆から言ってください。 (6-8-2、3-5-2-9 を逆に言ってもらう、3 桁逆唱に失敗したら、打ち切る) | 2-8-6 9-2-5-3 | 0 1 0 1 | ||
| 7 | 先ほど覚えてもらった言葉をもう一度言ってみてください。 (自発的に回答があれば各 2 点、もし回答がない場合以下のヒントを与え正解で あれば 1 点) a)植物 b)動物 c)乗り物 | a: 0 1 2 b: 0 1 2 c: 0 1 2 | |||
| 8 | これから5つの品物を見せます。それを隠しますのでなにがあったか言ってくだ さい。 (時計、鍵、タバコ、ペン、硬貨など必ず相互に無関係なもの) | 0 1 2 3 4 5 | |||
| 9 | 知っている野菜の名前をできるだけ多く言ってください。 (答えた野菜の名前を右欄に記入する。途中で詰まり、約 10 秒間待っても出ない場合には そこで打ち切る) 0~5=0 点, 6=1 点, 7=2 点, 8=3 点, 9=4 点, 10=5 点 | 0 1 2 3 4 5 | |||
| 合計得点 | |||||
・1)Takenoshita S, et al.: Validation of Addenbrooke’s cognitive examination III for detecting mild cognitive impairment and dementia in Japan. BMC Geriatr, 19: 123, 2019.
・2)Yamakami K, et al.: Identification of Hasegawa Dementia Scale-Revised Cutoff Scores Associated With Mini-Mental State Examination Thresholds for Anti-Amyloid β Therapies in Patients With Amnesia. Psychogeriatrics, 25: e70107, 2025.
・3)Kim KW, et al.; Diagnostic accuracy of mini-mental status examination and revised hasegawa dementia scale for Alzheimer’s disease. Dement Geriatr Cogn Disord, 19: 324-30, 2005.
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