公開日 2024.12.25
作用・特徴
ボルノレキサントは、他のオレキシン受容体拮抗薬と同じく、覚醒に関与する神経ペプチドであるオレキシンの受容体(OX1RおよびOX2R)への結合を選択的に阻害し、自然な睡眠状態への移行を促します。
大正製薬により開発され、2024年9月12日に厚生労働省に承認申請が行われています。
承認されると以下の順で、不眠症治療薬として4剤目のオレキシン受容体拮抗薬となります。
- スボレキサント(ベルソムラ)
- レンボレキサント(デエビゴ)
- ダリドレキサント(クービビック)
- ボルノレキサント
ボルノレキサントの特徴として、内服後約30~45分で最高血中濃度に達し、入眠効果にすぐれているとされています1)。
また、半減期は約1時間半から2時間で短く、翌日への持ち越しが少ないとされています1)、(図1)。
図1 各オレキシン受容体拮抗薬の血中濃度の推移
構造はベルソムラ、クービビックと同じ、2H-1,2,3-トリアゾール環を有する構造となっています2)、(図2)。
図2 ベルソムラ・クービビック・ボルノレキサントの化学構造式
クービビックと同様にオレキシン1受容体、2受容体の阻害作用が強い(効果が強い)ことがわかっています2)、(図3)。
図3 各オレキシン受容体拮抗薬のオレキシン1受容体・2受容体阻害率の比較
薬物動態
ボルノレキサント10mgでは、内服後約45分で最高血中濃度に達し、約2時間で半減します1)、(図4)。
図4 ボルノレキサントの血中濃度の推移
ボルノレキサントは速やかに吸収され、酸化により代謝され、排泄されることが示されています3)、(図5)。
図5 ボルノレキサントの代謝
主な有害事象は傾眠(5mg群で3.1%、10mg群で3.6%、プラセボ群で1.5%)及び上咽頭炎(5mg群で0.5%、10mg群で3.0%、プラセボ群で1.5%)であったことが報告されています4)。
眠れないことでお悩みの際は早めの心療内科・精神科の受診をおすすめします。
まずはかかりつけ内科等で相談するのも1つの方法です。
参考
- 1) Kambe D, et al.: Pharmacokinetics, pharmacodynamics and safety profile of the dual orexin receptor antagonist vornorexant/TS-142 in healthy Japanese participants following single/multiple dosing: Randomized, double-blind, placebo-controlled phase-1 studies. Basic Clin Pharmacol Toxicol, 133: 576-591, 2023.
- 2) Futamura A, et al.: Discovery of ORN0829, a potent dual orexin 1/2 receptor antagonist for the treatment of insomnia. Bioorg Med Chem, 28: 115489, 2020.
- 3) Konno Y, et al.: Preclinical metabolism and the disposition of vornorexant/TS-142, a novel dual orexin 1/2 receptor antagonist for the treatment of insomnia. Pharmacol Res Perspect, 12: e1183, 2024.
- 4) 大正製薬 ニュースリリース. オレキシン受容体拮抗剤「ボルノレキサント水和物」の不眠症患者様を対象とした第Ⅲ相臨床試験結果のお知らせ. 2024.
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