公開日 2024.10.29
特徴
センタナファジン(centanafadine)はノルアドレナリン・ドパミン・セロトニンの3つのモノアミンの再取り込み阻害作用を有するNDSRI(ノルアドレナリン・ドパミン・セロトニン再取り込み阻害剤)です。
米国で治験が終了し、承認申請が行われる予定です。
日本ではまだ未承認です。
中枢刺激薬のメチルフェニデートは、効果は強いものの、依存性や有害事象の問題が指摘されています。
また、非中枢刺激薬のアトモキセチン、インチュニブでは用量調整、効果発現までの時間に課題があります。
センタナファジンは非中枢刺激薬でありながら、1週間で効果が認められることが、第2相試験で報告されていました1)、(図1)。
図1 センタナファジンの早期の効果発現
2020年に終了した第3相試験の2つの試験のうちの1つの試験でも、1週間でプラセボと有意差のある効果を認め、6週間効果の持続を認める結果でした2)、(図2)。
図2 センタナファジン米国成人第3相試験
作用機序
センタナファジンは、ノルアドレナリン・ドパミン・セロトニン再取り込み阻害作用を有します3)、(図3)。
図3 センタナファジンの作用機序 モノアミン再取り込み阻害作用
前島前皮質のノルアドレナリン・ドパミン濃度を大幅に上昇させることで、ADHD 症状を改善させるとされています4)。
コンサータと比較しても、ノルアドレナリンとドパミンの再取り込みを阻害作用が強いことがわかっています4)、5)、(図4)。
図4 センタナファジンとコンサータのモノアミンの再取り込み阻害の強さの比較
化学構造式
センタナファジンの化学構造式は、断酒補助薬、禁煙治療薬のために開発中の同じくトリプル再取り込む阻害剤のアミチファジンに似ていることがわかっています6)、(図5)。
図5 アミチファジンとセンタナファジンの化学構造式
副作用
治験第3相における主な有害事象に以下のものが報告されています2)、(図6)。
- 食欲低下
- 嘔気
- 頭痛
- 口渇
- 下痢
- 不眠
- イライラ感
- 発疹
図6 センタナファジンの主な副作用
センタナファジンと同じく、トリプル再取り込み阻害作用を有する食欲抑制剤のマジンドール(サノレックス)もADHDの治療薬としての開発がすすめられています。
文献
- 1) Wigal SB, et al.: Safety and Efficacy of Centanafadine Sustained-Release in Adults With Attention-Deficit Hyperactivity Disorder: Results of Phase 2 Studies. Neuropsychiatr Dis Treat, 16:1411-1426, 2020.
- 2) Adler LA, et al.: Efficacy, Safety, and Tolerability of Centanafadine Sustained-Release Tablets in Adults With Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder: Results of 2 Phase 3, Randomized, Double-blind, Multicenter, Placebo-Controlled Trials. J Clin Psychopharmacol, 42: 429-439, 2022.
- 3) Matuskey D, et al.: Neurotransmitter transporter occupancy following administration of centanafadine sustained-release tablets: A phase 1 study in healthy male adults. J Psychopharmacol, 37: 164-171, 2023.
- 4) Bymaster FP, et al.: Pharmacological characterization of the norepinephrine and dopamine reuptake inhibitor EB-1020: implications for treatment of attention-deficit hyperactivity disorder. Synapse, 66: 522-32, 2012.
- 5) Heal DJ, Pierce DM.: Methylphenidate and its isomers: their role in the treatment of attention-deficit hyperactivity disorder using a transdermal delivery system. CNS Drugs, 20: 713-38, 2006.
- 6) Aggarwal S, Mortensen OV.: Discovery and Development of Monoamine Transporter Ligands. Adv Neurobiol, 30:101-129, 2023.
- 頭が働かない
- 寝つきが悪い
- やる気が起きない
- 不安で落ち着かない
- 朝寝坊が多い
- 人の視線が気になる
- 職場に行くと体調が悪くなる
- 電車やバスに乗ると息苦しくなる
- うつ病
- 強迫性障害
- 頭痛
- 睡眠障害
- 社会不安障害
- PMDD(月経前不快気分障害)
- パニック障害
- 適応障害
- 過敏性腸症候群
- 心身症
- 心的外傷後ストレス障害
- 身体表現性障害
- 発達障害
- ADHD(注意欠如・多動症)
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- バーンアウト症候群
- ペットロス(症候群)
- 更年期障害
- 自律神経失調症