公開日 2023.5.29
作用・特徴
ブロチゾラム(先発医薬品名:レンドルミン)は、寝つきをよくする作用とともに、不安を和らげる作用をもつ、短時間作用型の入眠剤です。
エチゾラム(先発医薬品名:デパス)と同じく、チエノジアゼピン環にトリアゾール環を縮合させたチエノトリアゾロジアゼピン系に属し、不眠と不安に効果を発揮します。
チエノジアゼピン環の側鎖第2位部位がエチル基のエチゾラムに対し、ブロモ基(Br)に置換されているため、ブロチゾラムの一般名称がつけられています(図1)。
図1 エチゾラム(デパス)とブロチゾラム(レンドルミン)の化学構造式
ドイツのベーリンガーインゲルハイム社によって開発され、日本では1988年から発売されています。
短時間作用型のベンゾジアゼピン系睡眠薬に分類されているロルメタゼパム(エバミール・ロラメット)、リルマザホン(リスミー)と比較すると、催眠作用が強いことがわかっています1)~4)、(図2)。
図2 短時間作用型ベンゾジアゼピン系睡眠薬の催眠作用・抗不安作用の比較
剤型
剤型は錠剤の0.25mg錠と口腔内崩壊錠(先発医薬品:レンドルミンD)の0.25mg錠があります(図3)。
図3 ブロチゾラム(先発医薬品レンドルミン)の剤型
効能・効果
効能・効果は不眠症、麻酔前投薬となっています。
用法・用量
不眠症では1回0.25mgを就寝前に内服します。
麻酔前投薬では手術前夜に1回0.25mgを就寝前に内服します。
麻酔前では1回0.5mgを内服します。
薬物動態
肝臓で薬物代謝酵素CYP3A4によって代謝されます。
ブロチゾラムを成人が内服した際は、血液中の濃度は約1.1時間で最高濃度に達し、約5時間後に半分に下がります5)、6)、(図4)。
図4 ブロチゾラム(レンドルミン)を内服した際の血中濃度の推移
高齢者では血中の濃度が半分に下がる(半減期)のが約9時間と成人の約2倍になることが報告されています7)。
副作用
承認時までの調査症例1,701例中215例(12.64)に副作用が認められ、代表的な副作用は以下でした。
- 残眠感(7.82%)
- ふらつき(2.94%)
- 頭重感(2.76%)
- だるさ(2.7%)
参考
- 1)Kuhn FJ, et al. : Pharmacology and hypnogenic properties of brotizolam in animals. Br J Clin Pharmacol, 16 : 253S-260S, 1983.
- 2)Ueki S, et al. : Behavioral Effects of Brotizolam, a New Thienotriazolodiazepine Derivative. Japan. J. Pharmacol, 35 : 287-299, 1984.
- 3)植木 昭和. 他. : Lormetazepamの行動薬理学的・脳波学的研究. 日薬理誌, 86 : 145-163, 1985.
- 4)山本 研一. 他. : 新しい睡眠導入剤1H-1,2,4-Triazolylbenzophenone誘導体450191-Sの薬理(1)行動薬理学的研究. 日薬理誌, 109-154, 1984.
- 5)Jochemsen R, et al. : Comparative pharmacokinetics of brotizolam and triazolam in healthy subjects. Br J Clin Pharmacol, 16 : 291S-297S, 1983.
- 6)Langley MS, Clissold SP. : Brotizolam. A review of its pharmacodynamic and pharmacokinetic properties, and therapeutic efficacy as an hypnotic. Drugs, 35 : 104-22, 1988.
- 7)Jochemsen R, et al. : Pharmacokinetics of brotizolam in the elderly. Br J Clin Pharmacol, 16 : 299S-307S, 1983.
- 頭が働かない
- 寝つきが悪い
- やる気が起きない
- 不安で落ち着かない
- 朝寝坊が多い
- 人の視線が気になる
- 職場に行くと体調が悪くなる
- 電車やバスに乗ると息苦しくなる
- うつ病
- 強迫性障害
- 頭痛
- 睡眠障害
- 社会不安障害
- PMDD(月経前不快気分障害)
- パニック障害
- 適応障害
- 過敏性腸症候群
- 心身症
- 心的外傷後ストレス障害
- 身体表現性障害
- 発達障害
- ADHD(注意欠如・多動症)
- 気象病・天気痛
- テクノストレス
- バーンアウト症候群
- ペットロス(症候群)
- 更年期障害
- 自律神経失調症