川崎市高津区溝の口の心療内科・精神科 高津心音メンタルクリニック

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ADHD・ASDの
身体的特徴について

公開日 2024.7.22

利き腕との関係

従来、精神疾患と利き腕の関係について調査が行われていました。

その中で、特に統合失調症が、左利きの率が健常者群より高いことがわかっていました。

近年は、ADHD、ASDと左利きの関連が報告されるようになっています1)、2)。

うつ病、双極性障害では十分な関連性は、今のところ見られていません3)。

体の向きの特性には以下があります。

  • 利き腕
  • 利き目
  • 利き耳
  • 利き足

健常者群では、一般にこれらが主に右側でそろっていることが多いですが、発達症では利き腕を含め、向きの特性にばらつきがみられることがあります。

指の2D:4Dとの関連

指の2D:4D(人差し指の長さ/薬指の長さ)は出生前のアンドロゲン暴露量を反映しているとされています(図1)。

図1 2D:4D比

2D:4D比

ADHD、ASDでは、2D:4D比が低いことが報告されています4)、(図2)。

図2 発達症・精神疾患の2D:4D日の低さの比較

発達症・精神疾患の2D:4D日の低さの比較

頭痛との関連

うつ病、双極性障害では、特に片頭痛の併存が多いことがわかっています5)、6)。

ADHDでも、片頭痛の併存率が高いことが報告されています7)。

また、2022年1月、Panらは、小児のADHDにおける頭痛の有病率とADHD治療薬の頭痛への影響の解析し、報告しています8)。

本研究では、小児のADHDでは、頭痛の有病率が26.6%と高いことを報告しています。

また、ADHD治療薬では、グアンファシン(インチュニブ)アトモキセチン(ストラテラ)メチルフェニデート(コンサータ)が、頭痛の増加に関連する結果でした(図3)。

図3 ADHD治療薬とADHD児童における頭痛の増加の関連

ADHD治療薬とADHD児童における頭痛の増加の関連

そのため、頭痛の有無と副作用を考慮した治療を要します。

治療薬の内服を開始し、頭痛が生じたり、もともとの片頭痛が悪化した場合は、お薬の副作用の可能性があり、担当の先生にお伝えすることをおすすめします。

胃腸障害との関連

ASDでは、胃腸障害の併存が高いことが報告されています9)、10)。

機能性胃腸障害(機能性ディスペプシア、過敏性腸症候群など)の併存が多く11)、これらの背景には、腸内細菌叢の構成が関与しているとされています12)。

また、ADHDでは、遺伝子解析により、胃腸障害と共通の遺伝子座が特定されています13)。

レストレスレッグス症候群との関連

夕方から夜間にかけて下肢がむずむずするむずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)は、糖尿病や腎疾患など種々の疾患に合併しやすいことがわかっています。

近年は、片頭痛やADHDとの併存が多いことがわかってきています14)。

2023年6月、Migueisらは、ADHDとレストレスレッグス症候群の相互の併存関係を解析し、成人ADHDの約33%にレストレスレッグス症候群を、レストレスレッグス症候群の約17.4%に成人ADHDの併存が認められたことを報告しています15)、(図4)。

図4 ADHDとレストレスレッグス症候群の併存関係

ADHDとレストレスレッグス症候群の併存関係

遺伝子解析により、ADHDはレストレスレッグス症候群の独立した危険因子であることが示唆されています16)。

ADHDとレストレスレッグス症候群が併存した場合は、ADHD特性の多動で落ち着きがなかったり、貧乏ゆすりをしているのか、背景にレストレスレッグス症候群による足のむずむずもあり、落ち着きがなかったり、貧乏ゆすりが悪化しているのを慎重にみる必要があります。

アレルギー疾患との関連

ASDは、アレルギー疾患との関連が高いことが報告されています17)。

幼児期のアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、気管支喘息などは、その後のASDの発達特性の顕在化に関連していることが示されています18)、(図5)。

図5 アレルギー性疾患とASDの関連

アレルギー性疾患とASDの関連

ADHDの児童では、喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性皮膚炎、アレルギー性結膜炎を罹患するリスクが高いことが報告されています19)。

齲歯(虫歯)との関連

ADHD、ASDでは虫歯の有病率が高いことが報告されています19)、20)。

ADHDでは特性に伴い、スナック菓子をたくさんたべることや、歯磨きの時間が短いことがリスク因子とされています21)。

ASDでは、甘いものを好むことや、感覚過敏などに伴い、歯科での予防指導やスクリーニングを受けることが難しかったり、その機会が少なることがリスクとされています22)。

そのため、口内衛生に対する介入も、可能な範囲で必要となります。

体重・体型との関連

ASDでは約33%に平均以上の体重、肥満がみられることが報告されています10)。

一方で約32%に摂食障害の併存を認めることや、胃腸障害の併存が多いこともあり、児童思春期や若年のASDではやせ型の当事者も多くみられます。

ADHDでも、肥満の率が高いことが報告されています。

ADHD治療薬を使用している場合では肥満のリスクが高くないことが示されています23)。

疲れやすさ

ASD当事者では、健常者群と比較し、一般に疲れやすい傾向があります。

疲れやすさには、ミトコンドリアの機能異常が関与している可能性が示唆されています24)。

一般に感覚過敏や過剰適応などが疲れやすさが理由とされていますが、正確には、これらは原因ではなく結果です。

ASD圏の当事者は子ども頃から学校の行事で、クラスの子と一緒に遠足に行っても、他のクラスの子より帰宅するとどっと疲れてしまいます。

翌日、学校にいけないこともあります。

成人になって就職しても、残業のない通常勤務でも、やはり疲労しやすい状態が続きます。

育児や家事が重なれば、とても困難でしょう。

終わりに

ADHD、ASDの特性は現在、かなり知られるようになりました。

さらに2次障害としてのうつ症状や不安などの精神症状も認知度が高くなりました。

ADHD、ASD当事者では、実際にはこれらに加え、頭痛、アレルギー、腹痛、下痢などの多彩な身体症状を併存していることが多く、困難さは大きなものがあります。

中でもASD当事者の疲れやすさは、人生を通して、負担となっています。

なかなか周囲からは目に見えるかたちで評価できるものでないため、理解されないことが多いです。

「すぐにぐったり」する“生まれながらの特性”を有する当事者に理解が広まればと思います。

参考

  • 1) Nastou E, et al.: Handedness in ADHD: Meta-Analyses. Neuropsychol Rev, 32: 877-892, 2022.
  • 2) Markou P, et al.: Elevated Levels of Atypical Handedness in Autism: Meta-Analyses. Neuropsychol Rev, 27: 258-283, 2017.
  • 3) Mundorf A, et al.: Handedness in schizophrenia and affective disorders: a large-scale cross-disorder study. Eur Arch Psychiatry Clin Neurosci, s00406-024-01833-9, 2024.
  • 4) Fusar-Poli L, et al.: Second-to-Fourth Digit Ratio (2D:4D) in Psychiatric Disorders: A Systematic Review of Case-control Studies. Clin Psychopharmacol Neurosci, 19: 26-45, 2021.
  • 5) Falla K, et al.: Anxiety and Depressive Symptoms and Disorders in Children and Adolescents With Migraine: A Systematic Review and Meta-analysis. JAMA Pediatr, 176: 1176-1187, 2022.
  • 6) Fornaro M, Stubbs B.: A meta-analysis investigating the prevalence and moderators of migraines among people with bipolar disorder. J Affect Disord, 1: 178:88-97, 2015.
  • 7) Salem H, et al.: ADHD is associated with migraine: a systematic review and meta-analysis. Eur Child Adolesc Psychiatry, 27: 267-277, 2018.
  • 8) Pan PY, et al.: Headache in ADHD as comorbidity and a side effect of medications: a systematic review and meta-analysis. Psychol Med, 52: 14-25, 2022.
  • 9) Muskens JB, et al.: Medical comorbidities in children and adolescents with autism spectrum disorders and attention deficit hyperactivity disorders: a systematic review. Eur Child Adolesc Psychiatry, 26: 1093-1103, 2017.
  • 10) Micai M, et al.: Prevalence of co-occurring conditions in children and adults with autism spectrum disorder: A systematic review and meta-analysis. Neurosci Biobehav Rev, 155:105436, 2023.
  • 11) Petropoulos A, et al.: Functional Gastrointestinal Symptoms in Children with Autism and ADHD: Profiles of Hair and Salivary Cortisol, Serum Leptin Concentrations and Externalizing/Internalizing Problems. Nutrients, 16: 1538, 2014.
  • 12) Korteniemi J, et al.: Systematic review: Autism spectrum disorder and the gut microbiota. Acta Psychiatr Scand, 148: 242-254. 2023.
  • 13) Gong W, et al.: Role of the Gut-Brain Axis in the Shared Genetic Etiology Between Gastrointestinal Tract Diseases and Psychiatric Disorders: A Genome-Wide Pleiotropic Analysis. JAMA Psychiatry, 80: 360-370, 2023.
  • 14) Ghasemi H, et al.: The Prevalence of Restless Legs Syndrome in Patients with Migraine: A Systematic Review and Meta-Analysis. Pain Res Manag, 29: 2763808, 2020.
  • 15) Migueis DP, et al.: Attention deficit hyperactivity disorder and restless leg syndrome across the lifespan: A systematic review and meta-analysis. Sleep Med Rev, 69:101770, 2023.
  • 16) Xiao G, et al.: Association among attention-deficit hyperactivity disorder, restless legs syndrome, and peripheral iron status: a two-sample Mendelian randomization study. Front Psychiatry, 15:1310259, 2024.
  • 17) Lee CY, et al.: Longitudinal association between early atopic dermatitis and subsequent attention-deficit or autistic disorder: A population-based case-control study. Medicine (Baltimore), 95: e5005, 2016.
  • 18) Miyazaki C, et al.: Allergic diseases in children with attention deficit hyperactivity disorder: a systematic review and meta-analysis. BMC Psychiatry, 17: 210, 2017.
  • 19) Drumond VZ, et al.: Dental Caries in Children with Attention Deficit/Hyperactivity Disorder: A Meta-Analysis. Caries Res, 56: 3-14, 2022.
  • 20) da Silva SN, et al.; Oral health status of children and young adults with autism spectrum disorders: systematic review and meta-analysis. Int J Paediatr Dent, 27: 388-398, 2017.
  • 21) Paszynska E, et al.: Management for Caries Prevention in ADHD Children. Int J Environ Res Public Health, 19: 7455, 2022.
  • 22) Zerman N, et al.: Insights on dental care management and prevention in children with autism spectrum disorder (ASD). What is new? Front Oral Health, 3:998831, 2022.
  • 23) Cortese S, et al.: Association Between ADHD and Obesity: A Systematic Review and Meta-Analysis. Am J Psychiatry, 173: 34-43, 2016.
  • 24) Rose S, et al.: Clinical and Molecular Characteristics of Mitochondrial Dysfunction in Autism Spectrum Disorder. Mol Diagn Ther, 22: 571-593, 2018.

執筆者:高津心音メンタルクリニック 院長 宮本浩司

  • 精神保健指定医
  • 日本精神神経学会認定専門医・指導医

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