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【ADHDとうつ病・不安症の関係】
最新の報告

公開日 2025.1.27

従来、ADHDと双極症(双極性障害・躁うつ病)は互いに併存率が高いことが知られています。

ADHDにおける双極症の併存は7.95%で、双極症におけるADHDの併存は13.1%と報告されています1)、(図1)。

図1 ADHDと双極性障害の併存

ADHDと双極性障害の併存

近年、ADHDではうつ病や不安症の併存も高いことが報告されるようになっていました2)。

2025年1月、ADHDおよびADHD治療薬が、小児および青年のうつ病および不安症のリスクに及ぼす影響の解析が報告されました3)。

ADHD当事者は、ADHDでない人と比べて、うつ病発症のリスクが約2.2倍高い結果でした(図2)。

図2 ADHDのうつ病発症リスク

ADHDのうつ病発症リスク

また、ADHD当事者は、ADHDでない人と比べて、比べて社交不安症、広場恐怖症、限局性恐怖症のリスクが高い結果でした。

(限局性恐怖症は特定の対象や状況に強い不安や恐怖が生じることです。高所恐怖症や注射針の尖端恐怖症などがあります。)

社交不安障害は1.71倍、広場恐怖症は4.99倍、限局性恐怖症は1.68倍リスクが高い結果でした。

コンサータなどによる中枢刺激薬による治療は、中枢刺激薬による治療をしていない治療者より、うつ病のリスクが低い結果でした(図3)。

図3 ADHD治療薬の中枢刺激薬治療によるうつ病リスクの低下

ADHD治療薬の中枢刺激薬治療によるうつ病リスクの低下

アトモキセチンなどの非中枢刺激薬はうつ病のリスクに影響はありませんでした。

今回の研究のサブグループ解析で、ADHDの女性の気分変調症のリスクは、ADHDでない女性と比較して、約10倍と極めて高い結果であったことを報告しています(図4)。

図4 女性ADHDの気分変調症発症のリスク

女性ADHDの気分変調症発症のリスク

気分変調症は慢性のうつ状態が年単位で経過している疾患です。持続性抑うつ障害とも呼ばれます。

この結果の背景には、著者らが考察でも述べているように、男児では衝動性や多動など、行動の外在化に向かう一方、女児では、不安やうつなどの内在化に向かうことが要因とされています。

重篤気分調節症(Disruptive mood dysregulation disorder :DMDD)は代表的な外在化障害とされています。

DMDDは児童思春期に、かんしゃくや怒りの爆発が通常の範囲をこえてみられる症状です。

ADHDとDMDDは相互に併存することが報告されています4)、5)。

図5 ADHDとDMDD(重篤気分調節症)の併存

ADHDとDMDD(重篤気分調節症)の併存

DMDDは男児の方が高い有病率であることが報告されています6)。

ADHDに限らず、ASD当事者でも、男性はネガティブな状況でより怒りを示し、女性は悲しみの適応行動をとることが報告されています7)。

これらの性差にも注意して、慎重にADHD当事者のうつ症状をみる必要があるといえそうです。

参考

  • 1) Schiweck C, et al.: Comorbidity of ADHD and adult bipolar disorder: A systematic review and meta-analysis. Neurosci Biobehav Rev, 124:100-123, 2021.
  • 2) Meinzer MC, et al.: The co-occurrence of attention-deficit/hyperactivity disorder and unipolar depression in children and adolescents: a meta-analytic review. Clin Psychol Rev, 34: 595-607, 2014.
  • 3) Zhang Y, et al.; Effects of ADHD and ADHD medications on depression and anxiety in children and adolescents: A systematic review and meta-analysis. J Psychiatr Res, 181:623-639, 2025.
  • 4) Mulraney M, et al.: Comorbidity and correlates of disruptive mood dysregulation disorder in 6-8-year-old children with ADHD. Eur Child Adolesc Psychiatry, 25: 321-30, 2016.
  • 5) Benarous X, et al.: Prevalence and comorbidity rates of disruptive mood dysregulation disorder in epidemiological and clinical samples: systematic review and meta-analysis. Eur Psychiatry, 68: e11, 2025.
  • 6) Copeland WE, et al.: Prevalence, comorbidity, and correlates of DSM-5 proposed disruptive mood dysregulation disorder. Am J Psychiatry, 170: 173-9, 2013.
  • 7) Tan C, et al.: Autistic Traits and Aggressive Behavior in Chinese College Students: A Serial Mediation Model and the Gender Difference. Psychol Res Behav Manag, 17: 1385-1397, 2024.

執筆者:高津心音メンタルクリニック 院長 宮本浩司

  • 精神保健指定医
  • 日本精神神経学会認定専門医・指導医

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