トリプタンについて

2025.10.20

トリプタンは片頭痛の急な痛みを緩和させる効果があります。

セロトニンの受容体に作用して、血管を収縮させ、痛みのもととなる物質の放出を抑制します。

セロトニンの受容体の5-HT1B、1D、1F(特に1B、1F)に作用します1)、2)。

主として、セロトニン5-HT1B作動作用により、血管を収縮させ、セロトニン5-HT1F受容体作動により、中枢の疼痛伝達の抑制、末梢の三叉神経の過活動の抑制、疼痛物質の放出を抑制します(図1)。

図1 トリプタン剤の作用機序

トリプタンは片頭痛が生じたら、早めに内服するのがポイントとなります。

トリプタンは以下の5剤があります。

  • スマトリプタン(イミグラン)
  • ゾルミトリプタン(ゾーミック)
  • エレトリプタン(レルパックス)
  • リザトリプタン(マクサルト)
  • ナラトリプタン(アマージ)

構造式は以下のようになっています(図2)。

図2 各トリプタンの構造式

それぞれの5-HT1B、5-HT1F受容体への作用の強さの比較は、以下のようになっています(図3)。

図3 各トリプタンの5-HT1B・5-HT1D受容体への作用の比較

各トリプタンの血中濃度の推移は以下のようになっています(図4)。

図4 各トリプタン剤の血中濃度の推移

錠剤での比較では、エレトリプタンとリザトリプタンの効果が早いことがわかります。

スマトリプタン

スマトリプタンは、最初に作られたトリプタン剤です。標準的なトリプタン剤で、現在でも使用されます。

スマトリプタンは、月経時片頭痛の有効性が高いことが報告されています3)、4)、(図5)。

図5 月経時片頭痛の治療薬の有効性

また、剤型が錠剤以外に点鼻、注射剤があり、嘔気で内服できない場合などに、利便性が高い薬です。

副作用は中枢神経系への影響が多いと報告されています5)。

ゾルミトリプタン

ゾルミトリプタンは肝臓で代謝された、代謝産物が効果を発揮するため、肝機能が悪い場合はさけた方がよいくすりです。

また、同様に、内服している薬が多い場合もさけた方がよい薬です。

エレトリプタン

エレトリプタンは効果が優れている薬であることがわかっています6)、(図6)。

図6 片頭痛の鎮痛に対する薬剤の効果の比較

忍容性にも優れているとされ、第1選択で使用されることが多いです。

リザトリプタン

内服では効果が早い特徴があります。

また、口腔内崩壊錠のRPD錠という剤型もあり、スマトリプタンの点鼻、注射剤と同じく嘔気が強いさいにも使用できます。

リザトリプタンは、片頭痛に伴う嘔気の改善に優れているという報告があります7)、(図7)。

図7 リザトリプタンの片頭痛に伴う嘔気の改善効果

ナラトリプタン

効果の持続時間が長い特徴があります。短時間で症状が再燃しやすい場合には、選択肢になります。

また、他のトリプタンと比較し、副作用が少ないとされています8)。

トリプタンは以下の患者さんは禁忌とされています。

  • 心筋梗塞の既往歴のある患者、虚血性心疾患又はその症状・兆候のある患者、異型狭心症(冠動脈攣縮)のある患者[不整脈、狭心症、心筋梗塞を含む重篤な虚血性心疾患様症状があらわれることがある。]
  • 脳血管障害や一過性脳虚血性発作の既往のある患者[脳血管障害や一過性脳虚血性発作があらわれることがある。]
  • 末梢血管障害を有する患者[症状を悪化させる可能性が考えられる。]
  • コントロールされていない高血圧症の患者[一過性の血圧上昇を引きおこすことがある。]
  • エルゴタミン、エルゴタミン誘導体含有製剤、あるいは他の5-HT1B/1D受容体作動薬を投与中の患者
  • モノアミン酸化酵素阻害剤(MAO阻害剤)を投与中、あるいは投与中止2週間以内の患者

文献

  • 1) Whealy M, Becker WJ.: The 5-HT1B and 5-HT1D agonists in acute migraine therapy: Ergotamine, dihydroergotamine, and the triptans. Handb Clin Neurol, 199:17-42, 2024.
  • 2) Svane N, et al.: Regional distribution of unbound eletriptan and sumatriptan in the CNS and PNS in rats: implications for a potential central action. J Headache Pain, 25: 187, 2024.
  • 3) Zhang H, et al.: Comparative efficacy of different treatments for menstrual migraine: a systematic review and network meta-analysis. 24: 81, 2023.
  • 4) Khoo CC, et al.: Acute and preventive treatment of menstrual migraine: a meta-analysis. J Headache Pain, 25: 143, 2024.
  • 5) Liu WH, et al.: Real-world study of adverse events associated with triptan use in migraine treatment based on the U.S. Food and Drug Administration (FDA) adverse event reporting system (FAERS) database. J Headache Pain, 25: 206, 2024.
  • 6) Lipton RB, et al.: Effect of rizatriptan and other triptans on the nausea symptom of migraine: a post hoc analysis. Headache, 41: 754-63, 2001.
  • 7) Karlsson WK, et al.: Comparative effects of drug interventions for the acute management of migraine episodes in adults: systematic review and network meta-analysis. BMJ, 386:e080107, 2024.
  • 8) Ashcroft DM, Millson D.: Naratriptan for the treatment of acute migraine: meta-analysis of randomised controlled trials. Pharmacoepidemiol Drug Saf, 13: 73-82, 2004.

執筆者

院長 宮本 浩司(みやもと こうじ)

院長 宮本浩司

川崎市・溝の口の心療内科・精神科
高津心音メンタルクリニック
・ 精神保健指定医
・ 日本精神神経学会認定専門医・指導医