川崎市高津区溝の口の心療内科・精神科 高津心音メンタルクリニック

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過食症の治療薬トピラマート(トピナ)
の特徴・作用・副作用

公開日 2024.4.22

特徴・作用

トピラマートは食欲低下作用があり、過食症の治療に用いられます。

過食症への有効性が示されており、過食の頻度の減少とともに、過食による肥満の改善も得られることが報告されています1)、2)、(図1)。

図1 トピラマートの過食症改善と体重減少効果

トピラマートの過食症改善と体重減少効果

体重減少作用も有しており、米国では、フェンテルミンという薬との合剤(医薬品名:QSYMIA)で、肥満症の治療薬としても承認されています。

もともとは、てんかんの治療薬として開発されましたが、治験中に食欲低下、体重減少の副作用が認められたことから、副効果として過食症、肥満症に使用されるようになりました。

トピラマートの抗てんかん作用は以下によるとされています(図2)。

  • 電位依存性ナトリウムチャネル抑制作用
  • 電位依存性L型カルシウムチャネル抑制作用
  • AMPA/カイニン酸型グルタミン酸受容体機能抑制作用
  • GABA存在下におけるGABAA受容体機能増強作用及び炭酸脱水酵素阻害作用

図2 トピラマートの作用機序

トピラマートの作用機序

これらの作用の中で、AMPA/カイニン酸型グルタミン酸受容体刺激は食欲増加に関与し、遮断は食欲低下に関与することが示されています3)、4)。

そのため、トピラマートの食欲低下作用はAMPA/カイニン酸型グルタミン酸受容体機能抑制作用によるものと示唆されています2)。

剤型

剤型は錠剤が25mg錠、50mg錠、100mg錠と細粒10%があります。

図3 トピラマート(トピナ)の剤型(錠剤)

トピラマート(トピナ)の剤型(錠剤)

効能又は効果

保険承認における効能又は効果は以下となっています。

  • 他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する抗てんかん薬との併用療法

米国では、てんかんと片頭痛予防に保険承認を得ています。

用法・用量

通常、成人では1回量50mgを1日1回又は1日2回の内服で開始します。

以後、1週間以上の間隔をあけて漸増し、維持量として1日量200~400mgを2回にわけて内服します。

なお、症状により適宜増減するが、1日最高投与量は600mgまでとするとなっています。

薬物動態

トピラマート50mgを内服すると、血中濃度は約1.4時間後に最高濃度に達し、約47時間後に半減します(図4)。

図4 トピラマートの血中濃度の推移

トピラマートの血中濃度の推移

トピラマート50mgを1日2回毎日内服すると、約5日で一定の濃度に保たれます(図5)。

図5 トピラマートを毎日内服した際の血中濃度の推移

トピラマートを毎日内服した際の血中濃度の推移

トピラマートは主としてCYP3A4で代謝されます。

副作用

重大な副作用として以下が挙げられています。

  • 続発性閉塞隅角緑内障及びそれに伴う急性近視(頻度不明)
  • 腎・尿路結石(2.3%)
  • 代謝性アシドーシス(1.8%)
  • 乏汗症及びそれに伴う高熱(0.3%)

承認時までの安全性評価症例数389例中294例(75.6%)に副作用発現を認め、主なものは以下でした(図6)。

  • 傾眠(30.3%)
  • 体重減少(21.3%)
  • 浮動性めまい(11.6%)
  • 血中重炭酸塩減少(11.6%)
  • 無食欲(8.2%)
  • 感覚減退(7.5%)
  • 頭痛(6.7%)

図6 トピラマートの主な副作用

トピラマートの主な副作用

参考

  • 1) Nourredine M, et al.: Efficacy and safety of topiramate in binge eating disorder: a systematic review and meta-analysis. CNS Spectr, 26: 459-467, 2021.
  • 2) McElroy SL, et al. Topiramate in the treatment of binge eating disorder associated with obesity: a randomized, placebo-controlled trial. Am J Psychiatry, 160: 255-61, 2003.
  • 3) Stanley BG, et al.: Lateral hypothalamic injections of glutamate, kainic acid, D,L-alpha-amino-3-hydroxy-5-methyl-isoxazole propionic acid or N-methyl-D-aspartic acid rapidly elicit intense transient eating in rats. Brain Res, 613: 88-95, 1993.
  • 4) Zheng H, et al.: Behavioral analysis of anorexia produced by hindbrain injections of AMPA receptor antagonist NBQX in rats. Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol, 282: R147-55, 2002.

執筆者:高津心音メンタルクリニック 院長 宮本浩司

  • 精神保健指定医
  • 日本精神神経学会認定専門医・指導医

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