公開日 2024.11.7
手足口病と神経学的後遺症について
現在手足口病の流行を認めています(図1)。
図1 手足口病感染症数の年次推移
手足口病は感染してから3~5日後に、口の中、手のひら、足の裏、足の甲などに2~3mmの水疱を伴う複数の発疹が出ます(図2)。
図2 手足口病の症状(手の発疹)
発熱は約3分の1にみられますが、38℃以下のことが多く高熱が続くことは通常ないとされています。
子どもを中心に、主に夏に流行し、2歳以下が半数を占めます。
小学生でも流行的発生がみられることがあります成人を含めた小学生以上の大半は、すでにウイルスの感染(不顕性感染も含む)を受けている場合が多いため、成人での発症はあまり多くないとされています1)。
原因となるウイルスには、主にコクサッキーウイルスA6(CA6)、CA16、CA10、エンテロウイルス71(EV71)などがあります。
この中でエンテロウイルス71に感染すると、重篤な中枢神経合併症と後遺症が生じることがあることが報告されています2)、3)。
神経学的後遺症として、認知機能低下、言語機能の低下が生じる可能性が報告されています4)。
(言語機能の低下はEV71に限定されず、エンテロウイルス感染全般におけるリスクであるとも報告されています5)。)
また、ADHDの発症にも関与するとされています。
過去にエンテロウイルス71が中枢神経に感染した若年者は、ADHDと診断される確率が、3倍高かかったとされる報告がなされています6)。
日本はエンテロウイルス71の流行が確認された国として報告されています2)、(図3)。
図3 エンテロウイルス71の流行が確認されている国
幸い2024年度の手足口病の原因ウイルスは、2023年と比較して、エンテロウイルス71の割合は少ないことが報告されています7)、(図4)。
図4 手足口病由来ウイルス 2023年・2024年
重症化の危険因子として以下が挙げられています2)。
- 高熱
- 神経系の関与
- 呼吸回数とリズムの異常
- 循環機能障害
- 白血球数の増加
- 血糖値の上昇
- 血中乳酸の増加
これらの兆候をモニターし、早期に治療介入を行うことが悪化予防に必要とされています。
文献
- 1) 厚生労働省HP. 感染症情報. 手足口病.
- 2) Zhu P, et al.: Current status of hand-foot-and-mouth disease. J Biomed Sci, 30: 15, 2023.
- 3) Chang LY, et al.: Enterovirus A71 neurologic complications and long-term sequelae. J Biomed Sc, 26: 57, 2019.
- 4) Chang LY, et al.: Neurodevelopment and cognition in children after enterovirus 71 infection. N Engl J Med, 356: 1226-34, 2007.
- 5) Hung TH, et al.: Association between enterovirus infection and speech and language impairments: A nationwide population-based study. Res Dev Disabil, 77:76-86, 2018.
- 6) Lin HY, et al.: Long-term psychiatric outcomes in youth with enterovirus A71 central nervous system involvement. Brain Behav Immun Health, 23:100479, 2022.
- 7) 国立感染症研究所. 病原微生物検出情報.
- 頭が働かない
- 寝つきが悪い
- やる気が起きない
- 不安で落ち着かない
- 朝寝坊が多い
- 人の視線が気になる
- 職場に行くと体調が悪くなる
- 電車やバスに乗ると息苦しくなる
- うつ病
- 強迫性障害
- 頭痛
- 睡眠障害
- 社会不安障害
- PMDD(月経前不快気分障害)
- パニック障害
- 適応障害
- 過敏性腸症候群
- 心身症
- 心的外傷後ストレス障害
- 身体表現性障害
- 発達障害
- ADHD(注意欠如・多動症)
- 気象病・天気痛
- テクノストレス
- バーンアウト症候群
- ペットロス(症候群)
- 更年期障害
- 自律神経失調症