起立性調節障害(OD)について

症状

起立性調節障害は、自律神経の働きが悪くなり、立ちくらみ、倦怠感、立っていると気分が悪くなる、頭痛、朝起きられない、食欲不振などの症状が生じます1)。

その他にも、頭痛、動悸、乗り物酔いをしやすいなどの症状も認めます。

また、起立性調節障害により、朝の登校困難や出社困難、学業への取り組みが難しくなったり、労務遂行能力が低下することがあります。

有病率

起立性調節障害は小児期・思春期に多い障がいとされており、児童思春期の約15%にみられるとされています2)。

しかし、若年女性を対象とした研究では、20.6%に起立性調節障害を認めたとする報告があります3)。

また、高齢者では、30.3%に認められたと報告されており4)、いずれの年代でも頻度が高い障がいです。

診断

以下の項目が3つ以上、あるいは2つであっても、 起立性調節障害が強く疑われる場合には、診断アルゴリズム(図1)に沿って診療するとされています1)。

  • 1)立ちくらみ、あるいはめまいを起こしやすい
  • 2)立っていると気持ちが悪くなる、ひどくなると倒れる
  • 3)入浴時あるいはいやなことを見聞きすると気持ちが悪くなる
  • 4)少し動くと動悸あるいは息切れがする
  • 5)朝なかなか起きられず午前中調子が悪い
  • 6)顔色が青白い
  • 7)食欲不振
  • 8)臍疝痛をときどき訴える
  • 9)倦怠あるいは疲れやすい
  • 10)頭痛
  • 11)乗り物に酔いやすい

図1 起立性調節障害ガイドライン診断アルゴリズム

診断では、血圧の低下や脈拍の早さにより、以下の4つのサブタイプにわけられます(図2)。

図2 起立性調節障害のサブタイプ

サブタイプ別では、体位性頻脈症候群(POTS)の割合が高いことが報告されています5)、(図3)。

図3 起立性調節障害サブタイプの内訳

原因

寝ている状態や座っている状態から立ち上がる時に、全身の血液を巡らせる機能がうまく働かないことが要因とされています。

通常であれば、立ち上がる時に下肢の静脈や細かい血管が収縮し、血液を押し上げ、血圧を維持して、頭部の血流を保ちます。

この機能は自律神経機能によって調節されています。

自律神経の機能がうまく働かいないことにより、下肢の静脈や細かい血管が収縮せず、血液が押し上げられず、血圧が低下します。

その結果、頭部への血流が低下し、立ちくらみ、倦怠感、朝の起床不良、頭痛等が生じます6)。

併存症

起立性調節障害はASDの併存が多いことが知られています。

起立性調節障害患者さんの22.3%に自閉スペクトラム症を認め、自閉スペクトラム症の約54%に起立性調節障害を認めることが報告されています7)、8)、(図4)。

図4 ASDと起立性調節障害の相互の併存割合

また、睡眠・覚醒相後退障害(DSWPD)との合併が多いこともわかっています9)。

サブタイプの体位性頻脈症候群(POTS)では、片頭痛の併存が35.6%と多いことが報告されています10)。

治療

お薬の治療では、起立直後性低血圧と体位性頻脈症候群では、メトリジン(一般名:ミドドリン)が有効です1)。

睡眠障害を伴う場合は、睡眠・覚醒リズム安定のため、メラトベル(一般名:メラトニン)ロゼレム(一般名:ラメルテオン)の使用も有効です。

水分と塩分の摂取も重要とされており、成人で1日約2L(小児では40㎏で1日約2L)の水分の摂取、成人で1日10~12g(毎日の食事に食塩を3g程度追加)(小児では1日8~10g)の塩分摂取が有効とされています。

起立時は足をクロスして立つことや、着圧ソックスも効果があります。

体がラクになってきた午後に患者さんの可能な範囲から運動をはじめるのも効果があります。

文献

執筆者

院長 宮本 浩司(みやもと こうじ)

院長 宮本浩司

川崎市・溝の口の心療内科・精神科
高津心音メンタルクリニック
・ 精神保健指定医
・ 日本精神神経学会認定専門医・指導医